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見習い一刀彫職人、気持ちは前のめり!だがしかし…。ー雪ん子だるまができるまで<2>

こんにちは!

伝統工芸・奈良一刀彫ブランド「NARADOLL HIGASHIDA」のスタッフ、阪本小雪です。
作家 東田茂一先生のもとで、見習いとして勉強させていただいています。

10月1日に無事発売の運びとなりました「雪ん子だるま」全10色。早速の予約注文もいただき、お届けに向けて製作に励んでいる日々です。

喜んでもらえるかなぁ、とドキドキして、木地と向き合う気持ちにも心地よい緊張感があります。

まもなく、ご注文いただいた第一陣をお届けできる運びとなりそうです。
受注生産のため少々お時間を頂戴しており、いまご注文いただくと11月半ば頃のお届けとなります。

クリスマスシーズンのお供に、一刀彫の雪ん子だるまをぜひお手にとっていただければ幸いです。

さて、「雪ん子だるまができるまで」第2回の今回は、“なぜ雪ん子だるまを作ることになったのか”についてお話させていただきたいと思います。

日々、工房で学ぶこと


私たちは、東田先生による一刀彫教室の生徒というかたちで彫りや彩色の技術を教えていただいています。

また、木地の下準備や絵の具の取り扱いといった、些細な、でも欠かせない準備工程の部分で実践的なお手伝いをさせていただく機会も少しずつ増えてきました。先生による指示のもと、細やかな目配りがある環境下とはいえ、実際にお客様にお届けする品物に触れさせていただくときにはとても緊張するとともに敬虔な心持ちになります。
(そんなとき、同じく見習いのさとちゃんの背中からは張り詰めた集中力が漂います。話しかけても気づかないことも。笑)

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工房では、先生の仕事を間近で見ることができます。
ノミを持つ手元から学ぶことの他にも、お客様からのご相談や取引先との打ち合わせ、取材のオファーやイベントの企画など、多種多様な案件が次々に動くNARADOLLの現場はいつも活気に溢れています。それぞれに真摯に取り組む東田先生から、「作るだけ」ではない工芸に取り組む姿勢を、日々学んでいます。

誰に届けたい?今の私たちにできること

NARADOLL HIGASHIDAの軸になるのは、節句人形である雛人形と五月人形(兜)です。お子さまの健やかな成長を願って飾る大切な節句人形。先生の手により、ひとつひとつに手間と時間をたっぷりとかけ、細部までこだわり抜いて仕上げられていきます。

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そうして、家族が子どもを大切に想うという節句文化に、一刀彫をとおして寄り添っていく。その先にはさらに広くあらゆる人に、一刀彫の魅力に触れて楽しんでほしいという願い・目標もあります。

たとえばNARADOLLには、お客様からこんな声が寄せられることがあります。
「とてもかわいいけど、うちには初節句の子どもがいないから…。」
「一刀彫、イイけど、もう別の節句人形を持っているからなぁ…。」
「節句の時期以外にも飾れるものがあったらいいのに。」
「気軽に贈り物にできるような一刀彫が欲しい。」

こうした声に応え、より多くの方に一刀彫を届けるきっかけとしても、東田先生もこれまで節句人形以外の作品を作ったことがあったそうです。

干支人形や、ハロウィンのジャック・オー・ランタン。そして、雪だるまもそのひとつでした。

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過去に数量限定で発売したこれらの作品は、あっという間に完売し、今でも再販を望むリクエストが絶えないそうです。しかし、前述したように多忙を極める状況に加え、NARADOLLの何よりの軸は節句人形です。まず、節句人形を待っていてくださるお客様が目の前にいる。だから、届けたい気持ちはあっても節句人形以外のシリーズにはなかなか手がつけられず、そのことに歯がゆい思いももっている。
……先生からそう聞いたとき、私のなかに、その思いを少しでも担える作り手になりたいという気持ちが芽生えました。

節句人形をきっかけに一刀彫に関心をもってくださった方に、手に取っていただきやすい小さな品物を。
反対に、ささやかな飾りものとしての一刀彫をきっかけに、節句人形や本格的な一刀彫作品にも気づいていただけたら。
そんな、「興味の入口」になるようなものを作り出してみたいという気持ちが、一刀彫の作り手の入口に立っている私のなかでどんどん大きくなっていきました。

お客様に、“これは私のための一刀彫!”と気に入って手にとっていただけたら。そんな風にシンプルに、カジュアルに、一刀彫や伝統工芸の世界と日々の暮らしが繋がってほしい。そんな思いから、雪だるま作りへの挑戦が始まりました。

気持ちは前のめり!だがしかし…そんなに甘くない。

「人気の小物シリーズの復刻を、小雪ちゃんたちが作れるようになったらいいね」というのは、以前から先生方との雑談のなかで挙がっていた話題でした。もしかしたら、(あと数年後に、)という括弧がついていたのかもしれません。

しかし、一度火がついた勢いは止められず、「今年の冬に、雪だるまを届けたいです!」と先生に思い切って伝えたのが初夏のことでした。
「………!」と一瞬あっけにとられた東田先生の顔は忘れません。

そこから、「できるのか?」「どんな技術を身につける必要があるか」「どうすれば、NARADOLLとしてお客様に喜んでもらえるかたちにできるか」「そもそも今、やるべきなのか?」等々、検討するべき事柄がわんさか浮かび上がってきました。

日を改めて全員参加の会議の場を設けてくださり、具体的なビジョンを共有したうえで、「雪ん子だるま」誕生に至る一歩目がいよいよ踏み出されることになりました。

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その会議から、アイディアを実際に練り上げていく過程については、次回お話していきたいと思います。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
「雪ん子だるま」の物語をまたほんの少し、心に留めていただければ幸いです^^

それでは、また!

NARADOLL HIGASHIDA HP
http://naradoll.com/

NARADOLL HIGASHIDA Instagram
https://www.instagram.com/naradollhigashida/




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