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freee株式会社 CEOの佐々木大輔氏ご登壇「大型IPOを目指すための資本政策」ウェビナーを開催しました

先日、「NEXTユニコーン経営サロン」アドバイザリーボードであるfreee株式会社 CEOの佐々木大輔氏を招き、「大型IPOを目指すための資本政策」ウェビナーを開催しました。

下記に当日のウェビナーの内容や資料の一部をハイライトしておりますが、当日の資料をダウンロードしたい方や、関連するトピックや内容に関してより詳しく知りたい方は、下記リンクのフォームからご連絡くださいませ。

(ご希望の方はこちらから資料ダウンロード可能です。また、お問い合わせはこちらから。)

イベント前半は、佐々木氏及びドリームインキュベータ プライベート・キャピタルグループ (PCG) エグゼクティブディレクター 松井克成による「大型IPOを目指すための資本政策~起業家視点~」、後半は、ドリームインキュベータ PCG ディレクター 草嶋健介による「大型IPOを目指すための資本政策~専門家視点~」についてお話させていただきました。

2019年12月に大型IPOを実現され、その後も事業成長を続けている佐々木氏のお話を直接聞いたり質問ができる機会とあって、IPOを目指しているスタートアップの起業家・CFOをはじめ、多くの方にご参加いただきました。

1) 「大型IPOを目指すための資本政策~起業家視点~」


前半は佐々木氏とドリームインキュベータPCG松井で対談をさせていただきました。

freee株式会社は、日本発のSaaSとして、会計や人事労務等のバックオフィス業務の効率化だけでなく、経営の可視化や課題解決を提案する事業を展開されています。

2019年12月に初値時価総額約1,166億円にて上場を実現し、2020年12月末時点の時価総額は約4,913億円です。

「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションのもと、創業時の社名は「CFO株式会社」であったことをみなさんご存知でしょうか?IPOまでの資本政策の主なポイントとして以下の6点が挙げられます。

1) シード・アーリー期から海外VC中心に調達
 ・DCM Ventures(現在も一部保有)等 

2) 成長ステージ毎に人材を強化、SOも活用
 ・COO,CFO等の人材を段階的に強化
 ・SO(新株予約権)を21回に分けて付与 

3) レイター期は事業会社と協業・資本提携
 ・リクルート、Salesforce、LINE等

4) 自社プロダクトを上場準備にフル活用
 ・クラウド会計freee、人事労務freee等

5) 上場株の海外機関投資家から調達
 ・シリーズEでT.Rowe Price等から調達
 ・海外SaaSと比較可能なKPI明示
 ・時価総額はPSR約20倍超を維持

6) IPO時にグローバルオファリングを実施
 ・海外投資家に7割超の募集・売出


参考までにfreee株式会社のIR資料を一部抜粋してご紹介します。

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①海外比較での国内市場ポテンシャルの大きさ、②バックオフィス領域全般へ拡大、③ERPの中でもユニークなポジショニング、④成⾧企業セグメントでの強固なポジショニング、等が特徴です。

日本ではまだまだ成長段階のSaaS領域ということもあり海外の投資家からの期待も大きく、株式公開時は国内の投資家はもちろん、海外の投資家に対しても7割超という高い比率で募集・売出しなどを同時に行いました。(グローバル・オファリング)


松井:グローバル・オファリングのメリットやハードルはどんな点だと感じましたか?また、公募価格の決定方法などで課題は感じましたか?

佐々木氏:グローバルオファリングは海外の機関投資家、特に米国の機関投資家を意識してオファリングするうえではメリットが大きかったと感じておりますが、一番のハードルは実施のためのコストは高い点でした。また、公募価格の決定方法などは、業界の慣習などに起因すると思われる課題を感じました。


松井:シード・アーリー期のVC (DCM Ventures等) の選び方や付き合い方のコツは何でしょうか?

佐々木氏:自分達がシード・アーリー期だった当時は、クラウド会計・SaaSの成長ポテンシャルについて、海外VCは理解して投資してくれた一方で、国内VCにはなかなか理解されませんでした。海外のVCは、米国でのSaaS企業への投資について当時から実績や知見が豊富だったことが背景だったと考えています。


松井:創業者の持分比率について、上場前・上場後、どのようにお考えでしたか?

佐々木氏:創業者の持分比率については気にし過ぎない方が良いという考えで経営してきました。上場後は公開企業ですし、上場前も公開企業を目指して準備してきました。
松井:事業会社からの調達においてメリットや留意すべきと感じた点などはありますか?

佐々木氏:Salesforceとの協業はメリットが大きかったです。出資していただく前から取り組み内容について双方で確認できていました。資本業務提携は資本面に注力し過ぎると協業面が抽象的になってしまうため、結果的に出資を受けるだけに終わってしまう可能性もあります。この点には注意が必要ですね。


松井:大型IPO以外の選択肢として、M&Aのオファーを受けたことはありますか?そして、どういう状況ならオファーを断りIPOに集中する、またはM&Aも前向きに考えるかなど、ポイントがありましたら教えてください。逆に、どのような状況ならfreeeとしてスタートアップをM&Aで迎え入れたいですか?

佐々木氏: freeeのMission/Vision/Valueを実現することが最も重要であり、上場前もそれが加速できるのであればM&Aも検討する考えでした。freeeがスタートアップをM&Aで迎え入れる場合 (スタートアップ企業を買収する場合) も、同様の考え (その会社のMission/Vision/Valueの実現に向かって加速できるか、同じ方向に向かえるかが重要) です。

他にも、日本版IntuitやSalesforceのような巨大かつ複合SaaSは日本にも登場するか? 自社開発力と、M&Aによる他社プロダクトの統合の両方に強い覇者は現れるか?といった日本のSaaS業界の将来に関する質疑応答などもなされました。

2) 「大型IPOを目指すための資本政策~専門家視点~」

続いて、ドリームインキュベータ ディレクター 草嶋 健介による「大型IPOを目指すための資本政策~専門家視点~」をお話しさせていただきました。2016年~2020年に大型IPO (=時価総額300億円以上で上場) したのは48社です。

● そのうち、時価総額1,000億円以上で上場したのは6社
– SaaS: freee、Sansan、PLAID
– SaaS以外: メルカリ、MTG、HEROZ

● 上場後に時価総額1,000億円以上に成長したのは12社 (2/12時点)
– SaaS: マネーフォワード、メドレー、AI insideなど
– SaaS以外: PKSHA Technology、ラクスル、ウェルスナビ、Sun Asteriskなど

● 上場時や上場後に海外の機関投資家にオファリング (グローバルオファリング含む) した事例は増加
– 上場時はメルカリ、freee、Sansan、PLAIDなど。上場後はメドレーなど


マザーズのIPOは近年大型化していますが、大型IPOの数は直近の2020年でもまだ全体の25%にすぎません。

なお、本イベントでは、上場時時価総額300億円以上でのIPOを大型IPO、300億円未満でのIPOを小型IPOと定義しております。

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上場株式に多くの機関投資家が投資する最小規模は、時価総額500億円以上が目安と言われており、小型IPOは9割強がその後に時価総額500億円を超えることに苦戦するのに対し、大型IPOは上場後6割弱が時価総額500億円を超えることに成功しているということが2016年以降の5年間のデータから見て取れます。

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どうすれば大型IPOを実現しその後も成長できるのか、IPO前の具体的な資本政策を4社の事例から分析しました。4社で活躍したCFOの略歴などもまとめた資料は大変好評をいただきました。(ご希望の方はこちらからダウンロードいただけます!本記事の冒頭のリンクと同じです。)

最後に大型IPOを目指すスタートアップのための近年の資本政策における主な共通項をまとめました。

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今後、大型IPOへの関心がますます高まることが予想される一方で、大型IPOを目指すために取るべき資本政策に考えを巡らせていらっしゃる起業家やCFOなどの皆様が多いのも現状です。本記事がそのような皆様のご参考になりますと嬉しいです。

また、本記事に対するご質問や資本政策等に関する個別のご相談もお受けしておりますので、こちらからご連絡いただけますと幸いです。


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私どもは、主にシリーズB以降等のNEXTユニコーン起業家のファイナンスの相談(大型IPO向け資金調達やスタートアップM&A)に応えるべく、2020年1月に、戦略コンサルティングやベンチャーインキュベーションを推進するビジネスプロデューシングカンパニーのドリームインキュベータ(以下、DI)と公認会計士の集合知とテクノロジーを活用した経営管理支援サービスを展開するブリッジコンサルティンググループが共同で立ち上げたサロンです。

NEXTユニコーン経営サロンでは、今回のようなピッチ・イベントを、社会的課題の解決に向け1千億円超の事業創造に挑戦する起業家・VC投資家・大企業のコミュニティ形成を目的として開催しております。様々な起業家の中から、ほぼ毎月、シード期からレイター期まで様々な成長ステージの起業家3名前後にご登壇頂き、毎回10社前後のVC投資家や大企業・CVC等にご参加頂く形で運営する予定です。

その他にも、コミュニティ参加者に有益な情報提供を目的とし、定期的にイベントや交流会、情報発信を行ってまいります。今後のイベントに関しては公式Twitterで随時お伝えしますので、是非フォローをお願いいたします!



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