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ネコと人間

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ネコの小物入れとヒゲケースはようやく仕様も固まり、まもなく発売できそうです。とはいえ、組み立てに非常に手間がかかるので、当面はできたものから順に楽天ラクマで1点ずつ販売する形になりそうです。

↓詳細はここに載せていきます
https://www.instagram.com/picons_df?igsh=amxxc3JqaDI0Nnh1

ネコと人間と喘息の話

ネコと人間と喘息の話

この年末年始はかなり体調が悪かった。ネコではなく人間がである。

毎年寒くなってくると咳が出やすくなる体質で、埃や冷気を吸い込むと咳が止まらなくなることがある。わさびやからしでもむせやすく、ラーメンの湯気でも発作的に咳き込んでしまうので冬は食べられない。

10年以上そんな調子だが、この冬は例年以上にひどくて、とくに夜になると咳が出だして朝までおさまらない。ベッドをよく見ればネコの毛やらフケのよう

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ネコと人間と首輪の話

ネコと人間と首輪の話

これは前回の「ネコと人間と膿の話」でFIPの治療が注射から飲み薬に変わった頃のお話。下半身の麻痺は日に日に改善し、高いところによじ登ったり、そこから飛び降りたり、ネコは自由に動けることがうれしいようで、体力の続くかぎり遊びまわった。体が自由に動くようになるにつれてアクセスできる場所も広がり、家中のさまざまな物陰に入り込むようになり、少し目を離すといったいどこへ隠れているやらわからないということが多

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ネコと人間と膿の話

ネコと人間と膿の話

最後の晩餐の翌朝、もしもネコが目覚めなくても人間は動物病院へ行くつもりでいた。ネコの死をひとりで受け止める自信はなかったし、その後どういう手続きが必要なのかも確認する必要があった。

人間が目を覚ますと、ネコはもう起きていた。上半身を起こし、お腹がすいたのか小さく「あ」と鳴いた。ネコは昨日の残りのサンマをうまそうに食べた。動物病院へ行き「ちょっと元気になりました」というと、先生は少し驚き、そしてほ

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ネコと人間と最後の晩餐

ネコと人間と最後の晩餐

ネコを保護して八日目、動物病院でFIP(猫伝染性腹膜炎)と診断され、太い注射を打たれて帰ってきたネコは(ネコと人間の八日間⑤)、エサもほしがらず横になって眠っていた。もう一度なにか食べられるとしたら、それが最後の晩餐になるかもしれない。

「最後まで諦めない」ことが大切とよくいわれる。このような状況で、絶対に病気を治すんだという強い思いをもつ人もいるだろう。しかしそれは弱ったネコを余計に苦しめるよ

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ネコと人間の八日間⑤

ネコと人間の八日間⑤

六日目、朝からネコは元気だった。ベッドの上を転げまわりイヤホンのコードに絡まって遊んでいた。食事を終えると遊び疲れたのか、ヨロヨロと押し入れに入っていって横になった。人間は今日、出かける用事が2件あって、のんびり寝ていてくれるのはありがたい。

1件目の用事を終え帰宅する。ネコはまだ疲れが残っているのか足を引きずるように歩いている。元気になったとはいえケガをしているのだ。しかもまだ体力のない生後1

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ネコと人間の八日間④

ネコと人間の八日間④

ネコはうんちに続きおしっこも必ずトイレに行ってするようになった。プラスチックの容器に木材を加工したチップを入れただけのものが、なぜ排便をする場所だとわかるのだろうか、不思議だ。ひとまずトイレを教えるというミッションはなにもしないままクリアできた。
おしっこをしたあとはブラブラと部屋の中を歩き回る。仕事をする人間の足下を通り、机の下を抜け、コンセントに差し込まれた電源コードをくぐったり噛みついたり。

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ネコと人間の八日間③

ネコと人間の八日間③

相変わらずAmazonの小さなダンボール箱は大活躍だ。
ネコは狭くて暗い場所が好きなので、閉塞感が増すように上部のふたをテープで止め、側面に穴を開けてみた。ネコはこれが気に入り、だいたいいつもこの箱の中で丸まって過ごすようになった。夜も人間が寝る横にこの箱を置き、その中で眠る。

ネコは起きている時間の大半を人間の仕事部屋で過ごす。出入り口はネコ用のトイレを置いてふさいでいる。人間はまたいで通れる

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ネコと人間の八日間②

ネコと人間の八日間②

人間はネコを再び小さなダンボール箱に入れ、それをベッドの傍らに置いて就寝した。しかしネコは心細いのか「あ、あ、」と小さく鳴き続ける。人間はネコを箱から取り出すと、腹の脇に寝かせて、背中やら首やらをなでてやる。ネコは安心したのかやがて寝息を立てはじめた。できれば箱に戻したかったが、そうすればまた起きてしまいそうだ。しかたなくそのまま寝ることにしたが、熟睡すると寝返りを打ったときにネコを潰してしまいそ

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ネコと人間の八日間①

ネコと人間の八日間①

日々生きていると、いま自分は試されているな、と感じることがある。前を歩く人がものを落とす、道に迷ってそうな外国人、大荷物をもった老人……そういうとき即座に行動できる人は立派だけど、迷った末に意を決して行動するのも立派だし、たとえなにもできなくて苦い思いを抱えながら立ち去ったとしても、それはそれで次につながるなんらかの価値はあるように思う。

9月下旬の月曜日、マンガの原稿が予定してたより早く片づい

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ネコと人間

ネコと人間

じつは1ヶ月ほど前から家にネコがいます。

9月下旬に路上でうずくまっていた生後1ヶ月ほどの子ネコを保護しましたが、下半身に麻痺があり、のちに猫伝染性腹膜炎(FIP)と診断されました。

FIPは非常に致死率の高い病気で、一時はかなり危ない状況になりましたが、幸いにも回復しました。

闘病中はしおらしくしていましたが、麻痺がなくなった今は、走り回って悪戯に励んでいます。

完治したわけではないので

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