介護日記2#105母の散歩後に落とし物探し
この2日間、母は久しぶりによく覚醒していた。
目はしっかりと開いていたし、言葉も単語のいくつかは聞き取れたし、私が話しかけると頷いたり聞き取れはしなかったが返事をしてくれていた。
食事も、水分も、準備した物を殆ど食べてくれた。
呼吸困難も血圧低下も起こさず穏やかに過ごせてほっとした。
午前中は雲だったが、降水確率は40%で雨の予報も当分降らないと予想していたので散歩に行く事にした。
約30分程度の散歩だったが、半分以上目が開いてキョロキョロしていた。
カラスが近くで鳴いていたし、川にはカワセミがいたし、金木犀が二度咲きで再び満開になっていたし、保育園の側に行くと4〜5歳位の子供達が縄跳びをしながら各々遊んでいたりした。
母が車椅子に乗っているのが珍しかったようで数人の子供達がフェンス越しではあるが、近くに寄ってきて
「なんでそれ(車椅子)にのってるの?」「歩けないの?」
と聞いてきた。
「そう。歩けないからこれ(車椅子)に乗ってお散歩してるの」
ふ〜ん…とちょっと不思議そうに見送ってくれた。
母は特に反応はしなかったが、子供は可愛らしいなぁと感じてくれていればいいのだけれどと思いながら移動した。
帰宅して顔を見るとまだまだしっかり目が開いていたので、朝準備していた緑茶を飲んでもらう。
以前から手指の拘縮予防を目的としたハンドクッションを両手にはめているのだが、散歩中に落としてしまったようで片方無くなっていた。
それは私の手作りの物で、予備も沢山作っているので紛失してもさほど困らないのだが、やはり探さなくてはいけないかなと思った。
母には昼食前にいつもの様にベッドにて休んでもらう。
私はその間に、散歩した道をもう一度歩いて探すことにした。
5分程歩いてみたが見当たらない。持って行く人はいないだろうけれど…と考えながら先を進む。
ちょうど散歩コースの中間地点あたり、遠くの道の真ん中にそれらしき物体があるような形が見えた。
きっとあれだ。
母との散歩コースは歩道か、人も車も殆ど通らない場所を選んで進んでいるのできっとあるはず。しかし、2箇所車通りが多い横断歩道を通るのでそこだったらもう無いかもとも思ったり。
気配のするその近くに行くと確信に変わった。
間違いない、母のそれだ。
なんだか主がいなくて寂しそうに見えた。良かった。
時間にしてトータル約10分。
急いで自宅に戻る。
母は特に変わった様子はない。
最近はなかなか覚醒できていなかった母。
しっかり覚醒出来たこの日はご褒美感がある。
読んで下さってありがとうございます
素敵な出会いがありますように(ホトトギス)
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