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【談】マニュアルが大事だと考えるようになったきっかけはISO9001対応でした

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この記事は、Podcast「にゃおのリテラシーを考えるラジオ」の2023年5月23日配信の書き起こしです。

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にゃおのリテラシーを考えるラジオ

読書と編集の千葉直樹です。

このチャンネルでは、読書と IT 時代の読み書きそろばんを中心に様々な話をしています。

今回のタイトルは 、

【談】マニュアルが大事だと考えるようになったきっかけはISO9001対応でした

というものです。

マニュアルへの誤解

火曜日は日頃考えていることを話しています。

先週の火曜日は業務マニュアルというものに対する誤解の話をしました。

マニュアル人間なんて言葉があるみたいですね。

決められた通りにしか働かない人のことを言うみたいです。

実際、マニュアルを使う業務システムにはそういう人を生み出してしまう弊害があります。

決められた通りに動くのは楽なのですよね。考えないで済みますから。

まぁ、それで生きていけるならそれはそれで幸せかもしれません。

ただ、世の中はそういうふうにはできていないものです。

同じことを繰り返していることは残念ながら許されません。

それはなぜかというと、物事は変化してしまうからです。

自分自身のことを考えたってそうですよね。

5年前の自分と5年後の自分が全く同じという人はいないでしょう。

これは会社などの組織でも同じことなんです。

変化に対応し続けることが必要不可欠なのですね。

ISO9000シリーズの認証取得活動

僕がマニュアルを作ることと、それを改善していくということの基礎を学んだのは、勤めていた会社がISO9000シリーズの認証取得に動いていたきでした。

もう20年以上も前のことです。

当時は会社のプロセスがISOの標準に則っていることを外部に示すことが一種のステータスであり、競争優位条件だったのです。

今はステータスというより当然のことと考えられているかもしれません。

認証を取得するためには、会社の中のすべての部門で業務プロセスの監査を受けて合格する必要があります。

これが結構大変でした。

まず、業務プロセスをきちんと文書にする必要があります。

さらに、プロセスで発生する出来事を文書として記録する必要があるのです。

ということは、文書をきちんと管理しなければなりません。

文書を管理するというのは、文書を正式化するということです。

この意味わかりますか?

簡単に言うと、正式な文書は、決められた手続で作られたことを記録されている必要があるのです。

記録するのが文書なのに、それ自体を記録する文書が必要ってことです。

こんなふうに言うとわけがわからないかもしれませんね。

もっと簡単に言うと、文書は文書一覧に載せる必要があるということです。

そして、文書一覧に載せるためには、あらかじめ決められた手続に沿って、文書の承認を行う必要があります。

大抵は文書一覧に承認記録もついています。

文書を管理するということ

今はそんなのは当たり前と思うのですが、認証取得前は文書に作成・査閲・承認のハンコがあればOKで、その文書の原本をキングファイルに綴じておくだけでした。

文書番号はあまり使っていなかったし、部門とかプロジェクトのローカルルールでやっていたんですね。

これを監査が通るように整備するのは本当に大変でした。

監査前は、文書の整備をするために徹夜になりました。

まともに番号を付けていない文書に、番号体系に合った番号を振るのです。

ひとつの文書には関連する文書がありますが、 適当に番号をつけると日付との兼ね合いで矛盾が生じることがあるのです。

何にもないところから始めるなら、そんなことはあまり起きないのですが、既にある文書を整備するのは本当に大変でした。

認証を維持するということ

そうやって頑張って監査を乗り越えましたが、大変なのはその後の方でした。

認証は取ったらおしまいではありません。

毎年維持監査がありますし、認証は3年ごとに更新監査が必要なのです。

認証後の監査で重要なのは、プロセスが維持されていることではなくて、改善されていることなのです。

プロセスの改善ポイントを見つけて修正した記録がないと、それ自体が不適合ということになってしまうのです。

もちろん、修正自体も決められたプロセスで行わなければなりませんし、評価も行う必要があるのです。

ということは業務プロセスは常に改善し続けなければならないわけですね。

これ、認証を取ることが目標だと辛いし、面倒だなって思ってしまうものです。

でもよく考えると、環境の変化に伴って、業務プロセスというのは常に変化し続けているもので、日常の業務の中では結構やっているんですよね。

それを記録していないだけです。

記録を残して改善のチャンスを見つける

ただ、対外的にそういうことをやっていることを示すためには文書化が不可欠ということなんです。

「やってます」というだけでは、本当かどうかわからないということですよね。

もちろん、認証取得のようなやり方以外にも対外的に示す方法はあります。

だから、ISOの認証取得が決して効率のいいやり方だと僕も思っていないんです。

でも、それは自分一人とか小さな組織で仕事をしている段階のことで、ある程度の規模の組織では、こういう認証みたいなことが必要不可欠になってくるでしょう。

できれば記録は自動的に取られるといいのですが、そんな自動化はまだまだなので、記録を残すというちょっと余計な仕事がしばらくはついてまることでしょう。

そして、その記録を使ってプロセス改善のチャンスを見つけ、環境の変化に対応していくわけですね。

マニュアルで改善のチャンスを見つける

ここで業務マニュアルが大切なのです。

マニュアル通りにやったことを記録することも大切ですが、もっと大事なのはマニュアル通りにやらなかったことを記録することです。

やらなかったこと、やれなかったことには何か理由があって、それはプロセス改善の必要性を示している可能性が高いのです。

だから、ある人がマニュアル通りにやらなかったことを責めると、せっかくの改善の機会を失うことになります。

それから、マニュアルがあるとイレギュラーな対応がやりやすくなるということがあります。

突発的な事象が起きたときに、マニュアルを基準にできないことを考え、標準からのずれを小さくしながら対応するということができる可能性が出てくるわけですね。

そして、そのイレギュラーを改善の機会としてマニュアルの中に取り込んでいけば、次回同じ事態が起きたときにはイレギュラーではなくなるわけですね。

これがプロセスを改善していくということで、こういうことを組織の全ての人が考えられるようになると強い組織になるのです。

仕事が楽しくなるものの見方

まあ、これは理想化した表現で、現実はこんなに単純ではないのですが、仕事に取り組むときにこういう考え方を持っておくと、案外筋の通ったことができるようになります。

忙しくて目の前の仕事をこなすのがやっとだという方も多いと思いますが、 たまにこういうよりマクロな視点で組織を見ると、少しだけ仕事が楽しくなるかもしれません。

今回は、マニュアルが大事だと考えるようになったきっかけは、ISO9001対応だったという話をしました。

今日はここまで。

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おわりに

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この配信の書き起こしをnoteで連載しています。

今日もワクワクする日でありますように。

千葉直樹でした。

ではまた。

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