【本を語る】IT全史(8)ラジオ放送のはじまり
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この記事は、Podcast「にゃおのリテラシーを考えるラジオ」の2022年6月4日配信の書き起こしです。
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にゃおのリテラシーを考えるラジオ
読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書と IT 時代の読み書き、そろばんを中心に様々な話をしています。
今回のタイトルは、
【本を語る】IT全史(8)ラジオ放送の始まり
というものです。
IT全史を読んでいくシリーズの 8 回目です。
前回は電波に音声をのせて放送の形を作り始めたのはアマチュア無線家達だったという話をしました。
今回もその続きです。
双方向通信から片方向通信へ
アマチュア無線家は新しいと思う実験をどんどんやる人たちです。
当初の音声による無線通信はあくまでも情報をやり取りするというものでしたが、双方向で情報をやり取りするためには、通信する両側に受信送信の機能を積んだ無線システムが必要でした。
このうち、送信側のシステムは高価なものになってしまうのです。
遠くに届かせるためにはそれなりの出力が必要だし、使う周波数によって届き方も変わってしまう厄介なものです。
さらには軍事を中心に極めて重要性の高い情報のやり取りのために電波を使うのが優先され、それ以外のある意味不要不急の用途のために大出力の電波を発射するのは国家から規制され、許可がなければできないことになり、送信設備を誰でも使えるというわけにはいかないということになってしまいました。
それでも戦時中のアマチュア無線家の無線通信技士としての活躍もあり、戦後は狭いながらもアマチュア無線化が使える電波の待機が認められ、その範囲で様々な実験を行う人が出てきたのです。
ラジオのビジネスモデルのはじまり
そういう送信設備を持つアマチュア無線家の中に、決まった時間にトークを流したり音楽を流す人が現れ、それを聴いて楽しむ人もできます。
無線通信のうち、受信側機能だけであれば、比較的安価の装置で済むことから、受信機だけでこのようなトークや音楽を聴くということもできるようになってきました。
そして、ある人が音楽を流すためにレコード屋さんと提携し、レコードを提供してもらう代わりにそのレコード屋さんの宣伝をするということを思いつきます。
これを無線によるコンサートと呼んだようです。
そこに目をつけた百貨店が、お店で扱う安価な鉱石ラジオで無線コンサートを聞き放題と言ってラジオ受信機を売り始めました。
ラジオの値段は 10ドルだったそうです。
これが人気になり、一般の人たちがラジオを聴く素地が出来上がりました。
そして、広告を資金源とした放送のビジネスに本格的に参入する企業が出てきます。
この時に原則として 1 対 1 のコミュニケーションである通信とは別に、 1 対 N のコミュニケーションができる放送というものが理解され始めたわけです。
オープンな技術開発の世界
とても面白いのは放送の可能性を開いたのがアマチュア無線家であり、それはオープンな技術開発という新しい世界を生み出したということです。
知識とアイデアがあれば、誰でも参入できるオープンな世界の誕生はインターネットが存在する現代でも引き継がれているというか、今のネットの世界はオープンな技術開発の世界なしには成立していないと言えるでしょう。
また、 1 対 1 の通信の時代から 1 体 N の放送の時代になり、今や誰でも情報が発信できるN対N の SNS の時代になりました。
僕たちが当たり前に使っているネット上のサービスやツールはこのような背景で育ち、人類のコミュニケーションを進化させてきたという見方はとても面白いと思いませんか?
次回はラジオの誕生で起きた様々な問題について話してみようと思います。
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今後配信の中で参考にしていきたいと思います。
おわりに
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。
ではまた。
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