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寝袋男
2022年3月20日 17:54
柔らかくて気持ち良い。興奮している。脳の奥底から何かが溢れ出す。彼女の潤んだ瞳。水中から水面に顔を出す時の様に。モコモコにカットした中高音を徐々に元に戻していく時の様に。音の解像度が上がる。その中でアラームの音をより鮮明に掴んだ。瞼が上がる。[am 7:00]アラームを止めて、枕に顔を埋める。昨晩の酒で頭が痛い。夢の続きが見たい。もう少し寝かせてくれ。さっきのは念の為の
2022年3月19日 15:23
「どうしたの?」彼は振り返って、心配そうな顔で私を見つめている。「乗りたくない。」急激に思い起こされる幼少期の記憶。「メリーゴーランドだよ?皆好きだ。怖いの?」彼は無邪気に笑う。その幼さの残る顔に今は嫌悪感を覚えてしまう。「帰る。」なんとなく遊園地に足が伸びなかったのは、絶叫マシーンに乗せられるのが嫌だからだと思い込んでいた。なんで忘れてしまってたんだろう。「待ってよ」と彼に声が
2022年3月17日 14:32
サークルクラッシャーという者がいるというのは知っていた。むさくるしい男の魔窟にふらりと現れ、最速で玉座に腰を据える魔性。有象無象どもは甘い香りに誘われて、我先にと姫君の靴を舐めに行くが、ある者は顎をしたたか蹴り上げられ、またある者は同士討ちして塵になっていった。こうして、我がミステリー研究会は終焉を迎えた。何故俺がこうして語り部を担える、言わば無傷の状態でいられるかと言えば、それは俺が同性愛
2022年3月16日 00:43
少女は脚立の上で震えながら、僕を見つめていた。「多くの人が勘違いしているんだが、」声のする方を見ると教授だった。教授は少女を脚立から大事そうに抱え上げて地面に下ろす。「こういった日常生活で使う程度の高さのものでも恐怖を感じるのが、高所恐怖症だ。」少女は未だに落ち着かない様子で震えている。「続きは部屋で話そう。」少女はふかふかのソファーの端でその小さい体を沈めて、未だ落ち着かなげに膝