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ジョブ理論が面白い

言わずと知れた世界で最も影響力のあるHBB教授で、「イノベーションのジレンマ」でも話題のクレイトン・M・クリステンセンの著書である、「ジョブ理論」を現在読んでいるのだが、なかなか面白い。


実際の本は少し分厚くて、私も少しの間本棚で温めていたが、再び読みたくなったので読み進めていると、役立つ考え方がぎっしり。それを掻い摘んで、注目したポイントを書いていきたい。

ジョブ理論とは

消費者や顧客の行動を”ジョブ”に注目して、観察・分析することで今までの手法では見えてこなかったイノベーションのヒントが見つかるという考え方。今まで通りの数字やデータから読み取っていく方法を否定するわけではないが、それをいくらやってもたどり着かない情報にこの理論では気づくことを強調している。

ジョブ VS ニーズ

じゃあ、”ジョブ”っていったい何なのか。私は以下のように解釈している。

マーケティングなどでよく聞く「ニーズ」という言葉。新規事業においても重要な要素であるが、「ジョブ」とはどう違うのか。
ジョブというのは”ニーズをより具体化したもの”、といえると思う。本書中のジョブの定義は「特定の状況で人が成し遂げようとする進歩」であるとする。重要なのは状況・コンテクストを踏まえてニーズを捉えること。

「何か食べたい」というのは普遍的なニーズであるが、これには状況に関する情報がない。なので、同じ「何か食べたい」でも、

・空腹なので何か食べたいなのか
・カフェで何も注文しないのは申し訳ないので何か食べたいのか
・運転中に暇なので何か口にしたいのか
・なかなか来れない場所なので何か食べたいのか

それぞれの状況で求めるものが違う。

面白い考えとして人々はこの片づけたいジョブのために商品やサービスを自分の生活に引き入れる、つまりそれらを”雇う”という概念が出てくる。当然雇われるものもあれば、解雇されるものも出てくる。

本書中の例ではファストフードのミルクシェイクの例が登場する。
あるファストフード店では朝にドライブスルーでミルクシェイクを買っていく客がいる。この売り上げを上げようとすれば何を考えるだろう。シェイクをよりよくすれば売れるのではないか。味、香り、種類、サイズ、セット、価格などを新たに考案してはどうか。競合の他のファストフード店の商品も調べてみよう。これはいたって普通で問題もないようなアプローチであるが、これでは顧客のジョブをうまく片付ける商品はできない。
「彼らは朝のミルクシェイクをどんなジョブを片付けるために雇用するのか。」
実は彼らは通勤中の退屈なドライブに何か楽しみが欲しい。けれど同僚や知り合いに朝から見るとミルクシェイクをを買っているのは見られたくない。というジョブを抱えていた。これに気づいたときにまず競合が同じファストフード店だけでない事に気づく。ドライブ中の楽しみになるのは、片手で食べられるものなら何でも、音楽やラジオとも戦っていることになる。この点で味や香りなどの製品改良のインパクトは薄いかもしれない。
夕方ごろ、子供たちとミルクシェイクを買う父親のジョブは朝のそれと全く異なっている。子供にミルクシェイクを買ってあげる良い父親でいたい。が、片づけたいジョブでそのためにミルクシェイクを雇用するなら、偶然雇用したものがミルクシェイクだっただけで、片づけたいジョブは全く違う。

すごく面白い解釈だと思った。今まで見えていなかった競合従来のアプローチではたどり着けなかった解が見えてきそうだ。

身近な例でもたくさんある。スマホにアラームや時計、タイマーの機能がついたとき、多くの人が腕時計を”解雇”した。

または間に合わせの何かで片づけたいジョブを中途半端に片づけている可能性もある。それならば、その製品やサービスで顧客が片づけようとしているジョブは何だろうか。それに素直に答えられているだろうか、無駄に多い機能をつけていないだろうか、よりよくジョブを片付ける製品であるには何が足りないか等考える余地はさらに広がりそうだ。

私は幸運なことに実践の機会はすぐそこにあった。自分のインターンでもぜひ「ジョブ理論」を”雇用”してみたいと思う。

まだまだ、本書には素晴らしいエッセンスが詰まっているので今後もどのように活かせたかを書いていこうと思う。

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