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140字小説【ああ無償】

 俺はかつて、空腹に耐えかねて無銭飲食を働いてしまったことがある。
 でもそのときのラーメン屋の大将は俺を警察に突き出さないばかりか、『食った分は働いて返せ』と、仕事も住む所も与えてくれた。

 あれから十年。俺は今も住み込みで、トッピングだけをエサに働かさ――働かせていただいている。