なわんご

合唱指揮者。教育関係者。2児の父。

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合唱指揮者。教育関係者。2児の父。

最近の記事

通信制と全日制の違い(教員の視点)

私の勤める学園には、通信制課程を持つ学校(以下、通信制)と全日制課程を持つ学校(以下、全日制)とがあり、私は通信制で10年弱勤めた後、全日制に異動しました。 そろそろ異動して、3年が経とうというところなのですが、正直、まったく全日制に慣れない、というか馴染めない…というか…。 教員からの視点で通信制と全日制を語っている文章も面白いかと思ったので、今回はそんな感じで書いてみようと思います。 通信制を選択している人には、中学校に馴染めなかった人や全日制から転学した人も多いの

    • 頭小僧

      子どもの頃は、頭小僧だった。 と書き始めたが、頭小僧が何を指すのか、よく分からないと思ったので、丁寧に書こう。 子どもの頃は、頭で考えることがすべてで、身体性のない子供だった。 「分かる=できる」だと思っていたのは、勉強ができたからかもしれない。 ・・・いや、ゲームのしすぎかもしれない。 体育はからきしできなかったが、そこに対する自己省察はなかった。 大学に入って、指揮を振るという行為に対しても同様だった。 今振り返れば、ひどい動きをしていたのだろうが、頭小僧は、

      • 人生の後半戦(40歳を迎えて)

        何歳まで生きられるか、誰も分からない。 こうやって文章を書いた次の日に、もしかしたら死んでいるかもしれない。 先のことは分からないが、80歳までは生きたいと思っているし、80歳を一つの区切りと計算したいと思っている。 0歳から39歳までの40年が、人生の前半。 40歳から79歳までの40年が、人生の後半。 そして、80歳からは人生のアディショナルタイム。 そう考えたとき、40年という時間感覚は、まだ実感としてどれくらいの長さか、見当がつかないのは、そもそも自分が存在して

        • 伊藤亜沙さんの「利他とは漏れ出るもの」は僕の思う合唱のあり方に繋がる。

          伊藤亜沙さんの著書が好きで、よく読んでいる。 最近、伊藤さんの「利他」についての対談、著書を読んだ。 この中で、「利他とは漏れ出るもの」という言い回しがあり、自分の行っている合唱活動のあり方と共鳴した気がして、ちょっと書いてみたい。 辞書を引くと「利他」とは、 他人に利益となるように図ること、 自分のことよりも他人の幸福を願うこと。 とウィキペディアには書いてある。つまり、「利己」と対応する単語であるわけだ。 この「利他」というのが、僕は苦手だ。「利他」として、人にや

          第60回パストラールコンサートによせて

          本日客演指揮をさせていただく広島大学東雲混声合唱団パストラールのパンフレットに寄稿させていただいた文章です。 新型コロナウィルス感染症の流行によって、合唱文化は大きな打撃を受けました。3密の条件が揃う合唱は、全く活動ができない事態となりました。 特に、壊滅的な状況に陥ったのが、大学合唱でした。サークル活動は大学によって厳格に管理され、長期間の休止を余儀なくされました。   新歓活動を行うことも難しく、人数は激減しました。また学年進行で運営が進んでいく大学合唱は、バトンを次

          第60回パストラールコンサートによせて

          第60回パストラールコンサートで「合唱組曲『田園・わが愛』」を客演指揮します。

          今週の日曜日(2024年1月21日)に第60回のパストラールコンサートが行われます。 ありがたいことに、今年の記念定期演奏会も依頼を戴き、第50回、第55回に引き続き、3回目のOBOGステージ客演指揮をさせていただきます。 第2ステージで演奏する「合唱組曲『田園・わが愛』」は、詩・寺山修司、曲・山本直純により1962年に書かれた作品で、初演は東京混声合唱団です。 「合唱組曲『田園・わが愛』」を作曲された山本直純先生は、指揮者としても活躍し、お茶の間でも人気を博した方です

          第60回パストラールコンサートで「合唱組曲『田園・わが愛』」を客演指揮します。

          合唱団ぽっきりという大きな広場

          アンコンで嬉しかったことのひとつに、「広島で男声合唱したいんじゃ(仮)」の出場がある。 演奏前の団紹介で、「広島で男声合唱したいんじゃ(仮)」は合唱団ぽっきりとKoala Harmoniaの男声中心のメンバーであるとアナウンスされていた。 合唱団ぽっきりが創団して、2月で17年になる。光陰矢の如しとはこのこと、気づいたら17年経っていたというのが正直な感覚だ。 ぽっきりのプロフィールで10代から70代までと書いている通り、17年も続くと幅広い年齢層の人が揃うコミュニティ

          合唱団ぽっきりという大きな広場

          18th広島アンコンに出場しました。

          3週連続本番の2週目、「第18回ヴォーカルアンサンブルコンテストinひろしま」に出場した。 このイベントは、広島県合唱連盟とエリザベト音楽大学の共催となっており、広島の音楽シーンの中心にあるエリザベト音楽大学のセシリアホールで行われることが最大の特徴である。 セシリアホールは私自身、過去にエリザベトシンガーズの本番で演奏したことがあるが、縦に広いホールで、響きが素晴らしく。教育施設なので、一般に貸し出されることはあまり無いが、広島の誇るホールのひとつである。 今回のアン

          18th広島アンコンに出場しました。

          Psalm 43 / Richte mich, Gott Op.78-2

          合唱にとって、言語は壁のひとつだと思う。 ただ、その壁を超えたところに豊かな世界が待っているのは真だ。 団員のすみおくんの強い希望もあり、 久々に合唱団ぽっきりでドイツ語に取り組むことになった。 メンデルスゾーン作曲の「Richte mich,Gott」だ。 合唱練習の前に改めて作品に向き合う。 Psalm(詩編)は旧約聖書に収められている150編に及ぶ詩だ。 詳しい説明はここでは省くが、誰かひとりが書いたわけではなく、長い間収集されたものが収められている。 旧約聖書は

          Psalm 43 / Richte mich, Gott Op.78-2

          問うとはどういうことか

          まとまった休みがあると、本屋に行く。 その時々に興味のある本を買って、読むのが楽しい。 今回、読んだのは「問うとはどういうことか」(大和書房)。 「問う力」「問う方法」について書かれている本だ。 改めて考えると、これまでの学校教育に求められていたのは、いかに問いをつくらない生徒を育てるかであった。それは、工業化社会の中で、マニュアルに沿って動く人間こそが必要とされていたからだろう。 校則にしてもそうだ。例え、一般常識とかけ離れていたとしても、文句を言わずに守ることこそが

          問うとはどういうことか

          新年振りはじめ。

          広島で合唱指揮活動をしているなわんごです。 2024年から、noteで記事を書いていくことにしました。 どうぞよろしくお願いいたします。 2024年の振りはじめは、島根県益田市で行われたグラントワ・カンタートでした。演奏は合唱団ぽっきり市内組。 益田市は広島から2時間半。後から知ったのですが、 広島→益田より、松江→益田の方が遠いのですね!横に長い島根県! 指揮したのは、三善晃先生の「私が歌う理由」、武満徹先生の「死んだ男の残したものは」の2曲でした。 特に「死んだ男の残

          新年振りはじめ。