歌で訴えたいんだ
歌声にのった少年
監督:ハニ・アブ=アサド(2016/パレスチナ)
出演:タウフィーク・バルホーム ディーマ・アワウダ
たとえ時間がかかっても、忘れさえしなければいつか叶えることができる。それが夢。平和と未来への希望をのせて、その歌声は人々の心に届いていく。
パレスチナのガザ地区で暮らす幼い姉と弟は友人とバンドを組み、ホコリだらけの道端で演奏しては小銭を稼ぐ日々を送っている。
2人の合言葉は「スターになって世界を変えよう」。姉は弟の美しい声を絶賛し、彼の才能を心の底から信じている。だから弟は、歌うことをやめない。
夢には具体的な目標が必要。そこで2人が目指したのは、カイロのオペラハウスに出場することだった。
え?そんなことできるわけないでしょ?
でもこれは実話。だから本当に驚いてしまう。
一体どうやって弟がスター歌手になったのか、彼の歩んだ困難な道が温かい眼差しを通して描かれる。
またこのお姉ちゃんが物怖じしないポジティブな女の子で、そのしっかり者のお姉ちゃんについていく大人しい弟という関係だっただけに、彼の喪失感は想像に余りある。
自分をまっすぐに信じてくれる存在というものは、これほどまでに心を支えるのだ。それは、どれだけ時が経っても消えることはなく、周りを巻き込んで大きな力となる。夢はシンプルな方がいい。
彼の歌声がパレスチナの希望そのものだということが、喜びに沸く街の映像からひしひしと伝わってくる。住民にとって彼は他人ではない。
あなたは私。私はあなた。奇跡はこうやって生まれる。
彼の歌声は、パレスチナの希望そのもの。喜びに沸く街の映像がスクリーンいっぱいに流れると、ついもらい泣きしてしまいそうになるのは何故?
人生を変えるオーディション番組よ。バンザイ!
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