【食物繊維】その効果や手軽な摂り方についてご紹介
こんにちは!管理栄養士の松岡です。
コロナ禍で「免疫力アップ」という言葉につい敏感になってしまう今日この頃。
食物繊維といえば、「便秘解消」が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、じつは、「免疫力アップ」の効果もあるのです。
今や、健康な身体を保つために欠かせない栄養素として注目されている食物繊維について、詳しくご紹介します。
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食物繊維は「第6の栄養素」として注目されている
食物繊維は、5大栄養素のうち、「炭水化物」に分類されます。
体内に吸収されず、エネルギーもほとんどないため、過去には、不要な成分として扱われていました。
しかし最近、健康に重要な役割を果たしていることが分かり、「第6の栄養素」として注目されています。
食物繊維とは? ~定義と分類~
【食物繊維の定義】
人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体
「たんぱく質」「脂質」「糖質」は、消化管で消化酵素によって消化(分解)され、小腸で吸収されます。
「食物繊維」は、消化酵素の消化を受けず、小腸を通過して吸収されることなく、大腸まで到達します。
【食物繊維の分類とおもな食べ物】
●不溶性食物繊維
水を吸収してふくらむ
●水溶性食物繊維
水に溶けるとゼリー状になる
食物繊維は、その他の栄養素と違って、消化酵素によって消化されず、体内にも吸収されない食物繊維ならではの効果があります。
どんな効果があるのか早速見てみましょう。
食物繊維の5大効果
① ダイエット効果 ー『水溶性食物繊維』『不溶性食物繊維』
食物繊維を多く含む食品は、必然的に噛む回数が増えます。噛む回数が増えると、唾液や胃液の分泌を促し、満腹を感じやすくなり、食べ過ぎを防ぐことが出来ます。
・食物繊維は、0~2kcalと低カロリー
食物繊維そのものが低カロリーなので、食物繊維を意識して摂る事で、満腹を感じながら食事制限ができます。
② 疾病予防効果 ー『水溶性食物繊維』
・食後の血糖値の上昇を緩やかにする
小腸での糖の吸収を遅らせることにより、食後の血糖値を抑える効果があり、糖代謝がスムーズに行われやすくなります。これにより、糖尿病予防効果が期待できます。
・コレステロールの吸収を抑える
食物繊維がコレステロールと結合し、小腸からの吸収を妨げることにより、LDL-コレステロールを下げ、脂質異常の改善効果が期待できます。
・血圧上昇を抑える
海藻に含まれる食物繊維「アルギン酸」は、カルシウムやカリウムと合わせて摂ることで、血圧を上げるナトリウムの排泄を促し、血圧上昇を抑える効果が期待できます。
③ 虫歯予防効果 ー『不溶性食物繊維』
唾液の分泌を促し、口の中を洗浄する効果によって、虫歯を予防する効果が得られます。
④ 便秘解消効果 ー『水溶性食物繊維』
不溶性食物繊維は、水分を吸収しふくらむことで、便のかさを増し、腸のはたらきを活発にすることで、便意をもよおしやすくします。十分な水分と合わせて摂ることがおすすめです。
水溶性食物繊維は、便を柔らかくし、排便をスムーズにします。
⑤ 免疫力アップ ー『水溶性食物繊維』
腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減少することで腸内環境を整える効果が得られます。
腸内環境が整うことは、免疫力アップや太りにくい身体づくりにもつながります。
食物繊維の1日の必要量は?
※日本人の食事摂取基準2020より抜粋
食物繊維は、18歳以上で男性:21g/日、女性:18g/日以上の摂取が目標量となっています。
<令和元年国民健康・栄養調査>より、実際に摂っている食物繊維の量は、以下のグラフの通りです。
10代から40代と若い年代の方が少ない傾向があります。
「1日プラス3~4gの食物繊維」を摂ることがおすすめです。
食物繊維の手軽な摂り方
●果物習慣を身につける
キウイ:1個100g (+2.5g)
りんご:1/2個 150g (皮なし:+2.1g 皮つき:+2.9g)
もも:1個 250g (+ 3.3g)
バナナ:1本 (+1.1g)
●いつもの食事にひと工夫
白ご飯を麦ごはんに変える (+0.7g/150g)
食パンを全粒粉パンに変える (+0.3g/100g)
1日1パックの納豆をプラス (+3.4g)
●機能性表示食品で手軽に摂る
・「血糖値の上昇を緩やかにする」「脂肪の吸収を抑制する」などと書かれた機能性表示食品には、難消化性デキストリンという水溶性食物繊維が添加されているものが多くあります。お茶などの飲料で手軽に摂れる点もおすすめです。
・ヨーグルトなど「オリゴ糖」を添加している商品も、よく見かけるようになりました。このオリゴ糖も食物繊維の仲間です。
・機能性表示食品ではありませんが、ナチュレSは、小さじ1杯で水溶性食物繊維が1.6gも摂れます。
まとめ
さまざまな健康効果があることが分かり、「第6の栄養素」として注目されている食物繊維。
水溶性と不溶性と2つの性質があり、それぞれ役割が違っています。
どちらかに偏ることなく両方摂ることが理想です。
過去には、食物繊維の摂りすぎは、カルシウムなどのミネラルの吸収を妨げるとも言われていましたが、最近では、むしろ吸収を促進する効果が分かっています。
免疫力を高めて、身体の調子を整えるためにも、毎日積極的に摂りたいですね。
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<参考>
食物繊維|e-ヘルスネット(厚生労働省)
令和元年国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省
日本人の食事摂取基準(2020年版)|厚生労働省
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
食物繊維の保健効果|JST
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