五つの短編5(初ものがたり航空/消しゴム/セーブ/駐車場/愛情のティラミス)

初ものがたり航空

その航空会社は初ものがたり航空といい、機長や操縦士らがいつも新米なのだ。
葬られた人間数しれず。
特に、昨日の事故はひどかった。
死者1182人、重軽傷者33352人、行方不明6792人、消失家屋681軒。
初ものがたりにしてはひどい始まり方だ。

消しゴム

消しゴムで未来は消せない。私達も同じなのだ。
自力で未来を消す事なんてできない。

セーブ

セーブ。
ゲームでは「今の状況を保存する」という意味で使われているが、saveは「救う」という意味でもある。


人を救うため、この言葉は生まれたのだ。

駐車場

その駐車場は漠然としている。車さえ停まっていない。
駐 “車” 場なのに。

愛情のティラミス

その夜、ルカはティラミスを持って走っていた。
あと十分で終電、逃すわけにはいかない。
彼女は雪の中を、足の痛みも気にせず時間の計算もせずただ走った。その後ろ姿が優雅だった。
走って、走って、走りきったとき、気づいたらもう家にいた。
彼女は自分の夫と、ティラミスを食べているところだった。
彼女は力いっぱい叫んだ。
「いただきまーす!」

サポートのご利用は計画的に。