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美術館に取材にいってみた

作家さんが取材といっていろんなところに出かけることが羨ましくて、わたしも出かけてみた。文章を書くネタになるかもしれない。コロナ禍ですっかり出不精になっていたわたしにとっては、この上ないきっかけとなった。


近くの美術館で催されていた民藝の展示を観に行くことにした。
何かに出合い、触れることができたらそれでよかった。
その道の人からしたら失礼な考えだろうか。いや何がきっかけにせよその分野に興味を持ってもらえたことはきっと嬉しいに違いない。自分の中でもっともな言い訳を見つけたのでそのまま行ってみることにした。


蒸されたように熱い外から自動ドアをくぐりぬけると冷ややかな風を浴びることができた。
美術館の静かな雰囲気が心と体と汗を静めてくれる。

100年前の本立てがガラスケースの向こう側に仰々しく飾られている。
なんと、面白い。
『美は暮らしの中にある』というキャッチフレーズの通り、生活の中にあるものの美しさを慈しむ。
その当時に使われていた、実用性と美を兼ね備えた品々が飾られている。日常を過ごす中で、身の回りの物に美しさを見出すことは、インテリアが好きなわたしにとって身近な観点だった。ただ使うのであればデザインなどどうでもよいはずだが。
美しいから着物を着たくなる。美しさが着物を着物たらしめるというような言葉に納得した。

美術館にあるカフェで、隣に座った老夫婦のような二人はとても楽しそうに会話をしている。女性は知的な話を繰り広げ、男性はその話を楽しそうに聞いて相槌を打つ。なんだか素敵だと思った。
何をしに来たのだったか?いつのまにか人間観察をしていたとは。

最初に書いた作家が行う取材をやってみたというにはお粗末な結果。
結局、民藝とはなんぞや。
新しいことを学ぶのは難しい。
きっともっと、時間をかけて、お金をかけて、深めていく必要があるのだろう。気ままに出かけて感じたことを書くわたしに取材はまだ早かった。
それでも、文章のネタになったのでよしとしよう。


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