自分てなんだろう

と時々考える時がある。そんな時いつも病気なのかなと思い、それ以上考える事をやめてしまおうとするのだが、結局他の用事さえ飛ばして、この回答のない問題について考えてしまう。しかしそう一日中考えてみたところで回答どころか、問いさえ漠然とし過ぎて、考えれば考えるほど頭の中はグレーになってしまう。三島由紀夫のように自分の生まれた時の記憶が有れば、多少この問いへの解決に役だってくれるかもしれないが、残念ながら私は生まれた時の記憶なんて持ち合わせていない。いや、持っていた。今思い出したのだ。たしかに私は生まれた時の記憶をはっきりと覚えている。私は腹から出た瞬間「チース!」とか言ってのだ。そして母がやたらに祖父母に謝っていたのも覚えている。こんな子供を生んですみません。と謝っていた。その母に祖父母は「こんな宇宙人の子供なんて山にでも捨ててきなさい」と言ったのだ。私は自分の体を見てそういう事だったのか。だからみんなと違うんだと気づいたのだった。たしかに手足は四本あるが肌は真っ赤で両腕ともタコが生えているし、指もない。そして私の口は異常に突き出ていて、人まで丸呑みできそうなのだ。小学校時代から私の渾名はタコだった。私は自分の親がタコではないか、自分とはいったいなんだろうかとずっと問うていたが、これで疑問は一気に解決した。私の父はタコ型の宇宙人であって決してタコではなかったのだ。ああ!よかった僕がタコじゃなくて!


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