読書メモ ドストエフスキー『白夜』

 ドストエフスキーの初期の短編。何度か映画化されており、ヴィスコンティとブレッソンの作品が広く知られている。この小説はいわゆる失恋もので、ドストエフスキーの小説としてはかなり甘口。だがそこはさすがドストエフスキー。この若書きともいえる短編でさえすでにドストエフスキーしている。主人公とヒロインのナースチェンカは完全にドストエフスキー的登場人物として出来上がっている。ついでに言えば主人公の鬱陶しさも会話の長さも完全にドストエフスキーである。だから失恋ものの甘ったるい小説となめているとのっけから鬱陶しいドストエフスキー劇場を見せられるのでそれなりに覚悟が必要である。


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