個人授業
「俺、もう我慢出来ないんだ。だから先生に教えてもらいたいんだよ。いわゆる……何ていうか……は、恥ずかしいんだけど……いわゆるABCってやつを」
「……私なんかでいいの? 他の人の方が私なんかより丁寧に教えてくれるよ?」
「先生じゃなきゃダメなんだ! 俺、先生にしかABC教わりたくないよ! 俺ずっと決めてたんだ。 ABCは先生に教わるって! だって先生は俺の……」
「言わないで! それ以上言っちゃダメ! ……もう! なんてこと言うの? 先生の顔真っ赤になっちゃったじゃない。しょうのない子ね。じゃあ今からABC教えてあげるからこっちにきて」
「ホラホラそんなに硬くならないで。もっとリラックスして。じゃあ始めるわよ」
「はい!先生!」
「いくわよ!Aの次は?」
「Bです!」
「それじゃBの次は?」
「Cです!」
「ここまではどんな子でも出来るわ。次からが本番よ! じゃあCの次はなに?」
「ぐわぁぁ〜! いきなり難問が来たよ。なんだろう? なんだろう? Cの次はなんだっけ? ちくしょう思い出せねえよ!」
「頑張るのよ! ここは大人になるためには絶対に乗り超えなきゃいけない階段なのよ! 先生ヒントあげるわ。おばさんたちが猫避けに使っている丸いものはなに?」
「ああ! CDだ。答えはDだ!」
「次はDの次を答えて! もう先生にはヒントは教えられない。これからは自分の力で答えるのよ!」
「無理だよ先生! Dの次なんてわかんねぇよ! ああ! ああ! なんだよ! 答えが全然思い浮かばねえよ!」
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