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本に埋もれて

 連休は本に埋もれて過ごした。ちょっとした贅沢な週末とも言っていいだろう。私は本を抱きしめ、本を布団代わりにして寝た。なんで本の紙の香りを嗅ぐとこんなに落ち着くのだろう。できるならずっと本に囲まれて過ごしていたいものだ。本で家を作り、本のテーブルでご飯を食べて、本のベッドで寝る。それが今の私が叶えたい夢だ。本!本!本!と本のことばかり考えて夢まで本だらけになってしまった。夢の中に女性主人公の小説の本が出てきたけど、彼女は男性主人公の本に恋をしていた。彼女は自分の想いを伝えようと、自分の本から引っ張り出したロマンティックなセリフを言って男性主人公の本に想いを告白したけど、男性主人公の小説は女が出てこないハードボイルド小説なので女心がわからなくて、言い寄ってくる女性主人公に腹が立って失せろ!と女性主人公の本をピストルで打ってしまったのだ。私は男性主人公の本に向かってやめろ!と叫んだが、男性主人公の本を私の言うことを聞かず何度も女性主人公の本を打って穴だらけにしてしまった。私は激怒のあまりそのまま目覚めたが、目覚めても男性主人公の小説に対する怒りが収まらなくて、夢に出てきた男性主人公のシリーズの小説を見つけ出すと、これは女性主人公の敵討ちだと宣言してそのまま尽く焚き火にくべて焚書してしまった。

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