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二度と見れない光景を目に焼き付けて
いよいよお別れの時がきた。この場所ともしばらくお別れね。楽しい時はあっという間。ここで見た景色。ちゃんと目に焼き付けていくよ。同じ景色は二度と見られない。青春が戻ってこないように、次に同じ場所で見る風景は全く別のもの。だから消えないようにこの目に焼き付けていくんだ。
行き交うのは私と同じように元の場所へと戻って行く人たち。今から旅立つ人たち。迎えにきた人たち。様々な人たちがターミナルを歩いている。再会する恋人たち。私の前でキスをする。なんて馬やましいんだろう。私には誰もいないのに。
「そんなことはないよ。僕がいるじゃないか」
「ま〜た出てきたかストーカーめ!また網走にぶち込まれたいか!」
「いや、僕まだ何もしてないから捕まる理由なんてないよ。今君とあったのはただの偶然なんだし」
「へぇ〜、じゃあ全然違う便で来たのね。で、あなたまさか帰りは同じ便ってことはないわよね」
「確実にないね。だって僕飛行機予約していないんだし。ここへは天かす生姜醤油全部入りうどん食べに来ただけだよ」
「あーそうですか!じゃあバイバイ!二度と私の前に現れないでね!」
ストーカーが去り私は搭乗口へと向かう。時間は私を現実へと引き戻すようにあっという間に過ぎていく。ゲートで呼び出しがかかって私は立ち上がる。さようなら今日の私。さよなら今日の世界。
飛行機は私を乗せて飛んでゆく。今回の旅行はホントに楽しかった。いいことだらけだった。最後に例のストーカーが来たけどそれはもう些細なこと。彼とは永遠にさようなら。到着までしばらく眠るわと思った時だった。突然場内アナウンスが流れたのだ。
「当機は後方から今戦闘機に付け狙われている模様!よって今から不時着を開始する!
だがそのアナウンスをぶった斬って戦闘機からの無線が飛び込んできた。
「僕だよ。君この飛行機に乗ってるんだろ?自衛隊からかっぱらった戦闘機で迎えにきたよ。今君の飛行機にドッキングするから僕の戦闘機に乗りなよ。そして二人で当て所もない旅を始めよう」
ああ!まさかコイツが飛行機操縦できるとは!なんて恐ろしいやつなの?私はパイロット室に駆け込んで叫んだ。
「今すぐあいつを撃ち落とせ!」
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