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解散危機

 パンクバンド黄門ブラザーズは解散危機に瀕していた。ボーカルのMITOとギターのSUKEが一週間前大乱闘し、それ以降口も聞かぬようになり、昨日両者ともバンドを脱退したいと告げてきたのだ。
 それを聞いたマネージャーの藤井は慌てて事務所にメンバー全員を呼びつけた。
「お前ら、バンドを何だと思ってるんだよ!ようやっとブレイクしようとしてるときじゃないか!それを喧嘩したからって脱退したい?バンドはおままごとじゃねえんだよ!だいたいお前らなんで喧嘩なんてしたんだよ!MITO!SUKE!なんか言えよ!」
 藤井がそう説教している間MITOもSUKEも黙ったままずっと下を向いたきりだった。ベースのKAKUとドラムのHATIはそんな二人を不安そうに見ている。しばらくの沈黙の後ボーカルのMITOが口を開いた。
「とにかく俺はバンドを脱退する。もうSUKEなんかと一緒にバンドは出来ない!」
「俺もだ!てめえなんかと二度とバンドなんかしねえからな!」

 それから藤井はMITOとSUKEにバンドにとどまるよう何度も説得したが、二人は頑として脱退すると言って聞かず、結局二人はそのまま事務所から出ていった。二人が出ていった後、藤井は残ったKAKUとHATIに聞いた。
「お前ら、なんであの二人ああなったんだよ!一週間前にスタジオでいきなり乱闘おっぱじめたっていうけど、なんでいきなり脱退したいだなんて言い出すんだよ?お前ら真相知ってるだろ!早く教えろよ!このままアイツラのどっちかがが脱退したらこのバンドは解散だぞ!どうせ揉め事の理由は女か金かのどっちかだろ?」
 しかしKAKUとHATIは答えない。顔を赤らめたまま黙ったままだ。その彼らの態度に藤井はハッとし、まさかアイツラ……。と思ったのだったがそれはただの誤解であった。

 真相は次のとおりである。乱闘の前日にとある風俗店に行ったSUKEは風俗嬢との話が盛り上がりついMITOの話をしたのだが、すると風俗嬢がその人一昨日来たよといい、笑いながらその時のことを話したのである。SUKEは風俗嬢の話に馬鹿笑いし、そして時間がきて車で送ってもらうために待合室に戻ったのだが、なんとそこにMITOがいたのである。SUKEはMITOの顔を見るなり笑い出し、そしてMITOに向かってこう言ったのだ。
「お前、真正なんだって?剥けないんだって?」

 MITOはSUKEの言葉にショックをうけ、その場を飛び出した。そして翌日にスタジオでの乱闘がおこった。二人は互いを罵倒しながら殴り合っていた。
「うるせえ!俺が真性包茎だからってなんなんだよ!お前だって仮性包茎だろうが!」
「バカ野郎!俺はちゃんと剥けてんだよ!今から見せてやろうかぁ?」
「ああん!早く見せてみろやこら!その短小のちんぽが可愛く剥けてるとこ見せろや!」
「なに?真正のくせに人のチンポのサイズディスるのやめろよコラ!お前のチンポは俺以下だろ!お前こそその剥けてもいねえ肛門みてえなちんぽみせろや!」



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