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タヒチより暑い東京

呼吸をするのも大変なぐらい暑い暑いトーキョーシティ。

東京ってこんな暑いところだったっけ、と歩きながら住んでいたころの夏の記憶を手繰り寄せてみたものの、私の肌が知っている東京はこんなに暑くなかったような。はて。
年々亜熱帯化しているのでは日本、そのうち植物の様子も変わっていくのかもしれないなどと思いながら全く涼しくない上野公園を歩く。暑い。すべてを嫌いになりそうなぐらい暑い。年を重ねて汗をかくのも腕を出すのも怖くなくなったことだけが救いだった。


マティス展 at 東京都美術館 へ


色!とにかく色が楽しい空間だった。
この色の隣にこの色を置くのか・・・と感嘆せずにはいられない色彩の面白さと心地よさ。鮮やかな色に加えて白の使い方がとても綺麗だった。
正直デッサンはハテナとなるところもあったけど、なんとも愛らしい。彫刻もそう、人間を愛らしい存在として捉えているのだろうなと思わせるフォルムの数々。最初から最後まで「心地いい」と思った展覧会だった。
多分このひとも海の中を観たことがあるひとなんだろうな、と思いながら作品を眺めていた。


一番最後に展示されていた、マティスが最晩年に手がけた礼拝堂(南仏・ヴァンスのロザリオ礼拝堂)のエリアがとても印象的だった。
最後まで人間と色を探究し続けた先に辿り着いた作品が「礼拝堂」というのも、結局神かという気持ちにもなるけれど、人間だけが神の存在を信じ、神の存在を必要としているものね、と納得に近いあきらめのような感情にもなる。

「神を信じているかどうかにかかわらず、精神が高まり、考えがはっきりし、気持ちそのものが軽くなるような場」

というコンセプトで作られたマティスの礼拝堂。マティスがよく使うあの鮮明な青と黄色のひかりが清潔な白壁に反射している様子を見ていたら、あまりにも綺麗で心地よくて、なんだか泣きたくなってしまった。神の存在については自身もいま折り合いをつけている最中だったので、この礼拝堂のコンセプトと映像はすくわれる思いだった。
ほんとこういうのがいいよ。ねえ、神様、見てるか。



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