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自分のセクシュアリティをぼんやり自認し始めたきっかけの話②

こちらの記事の続きになっております〜



点呼も終わり、先生たちも部屋に戻ったところで、いよいよ''魔の消灯時間''が始まった。

女子と男子、それぞれが3〜4部屋に割り当てられ、一部屋が大体4〜5人用くらいの広さ。だから、一部屋にクラスの女子全員(20人いかないくらい)が集まるって、なかなかの密度なんすよね。今じゃ絶対許されないディスタンスだわ…(遠い目)

そんなギュウギュウの状態で、なんならちょっと廊下にはみ出してる人もいる中で、ついに恐れていた事態は起きた。



「それじゃあお待ちかね!好きな人暴露大会始めまーす!」


「いえーい!語ろ語ろ♡」


「あ、『好きな人いないです』とかナシね!絶対誰かしら名前出して!ここはもう正直に!」


いやいやいや。

ここはもう正直に言わせてくれ。

いないんだよ。どうしよう。誰か助けて。


大会の発表権はクラスのカースト上位にいるパリピ女子たちから始まり、場内は着々とヒートアップしていった。そんな周りのバイブスに、私は発表前から既にげんなり。

例えばこの集まりが「好きな人がいないという選択肢が許される場」だとすれば、私のモチベーションもかなり変わっていたと思うけど、「存在しない好きな人を無理やり作らされ、挙句みんなの前で発表しなければならない場」というなかなかの公開処刑っぷり。

(というかこの状況、私の他にも何となくイヤだなって感じてた子、いるんじゃないかな…)


いよいよ私の番になった。

怖いけど、好きな人なんていないもんはいないので、ここは正直に言ってみよう!と勇気を出すことにする。

「私は好きな人とかいないんだ。恋愛とか、まだちょっと分からないかな」

その瞬間、ギュルンッと変わる周りの目。

「ウソウソウソ!だからそういうのナシだって〜!」と、パリピの1人が絡んでくる。ここで、適当に流せたり「私はまだ分からないから、みんなの大人な話もっと聞きたいな」くらい気の利いた事を言えていれば良かったかもしれない。しかしその時、まだ自分自身が幼かったのと、クラスでの自分の立場(カースト最下位)などから、もういろいろ余裕がなかった。



「あの……だから…本当にいないんだって…だから、……次の人、お願いします…」


多分半泣きの声だったと思う。馬鹿にされてもいい、殴られても蹴られてもいい…とにかく、この自分の番が過ぎ去ってくれれば。みんなが私に注目してる、この時間が1秒でも早く終わってくれれば。

しかし地獄は続いた。

「夏緒ちゃん、それはさすがにヤバイって…今までほんとに1人もいなかった?🥺」

「そんな隠さなくても…もっと自分に自信持っていいんだよ?🥺」

「モテないからって好きな人を作っちゃいけない法律とかないから!🥺」

「まあ、私も初恋は小6の頃だったし…好きな人なんていつか絶対できるからね、大丈夫!🥺」


もう涙も出なかった。ひたすら心を無にすることに全神経を注いだ。


ここで初めて芽生えた、小さな違和感。

「どうして恋愛なんてしなければならないんだろう」

「恋愛なんて」という考え方は良くないな、と今では思う。でも当時、クラスメイトが目をキラキラ輝かせながら好きな人の話をしたり、誰かの失恋話に共感して涙ぐんでいたり、そういう姿が素直に羨ましかった。

みんなが当たり前に出来ていることが、自分には出来ていないんだ。

人を好きになるのなんて誰にでも出来るのに、恋愛は誰にでも出来るものなのに、私は出来ていないんだ。

わたし、ヤバイのかな。モテないからかな。自分に自信がないからかな。

頭の中でぐるぐると、マイナスな感情がループして止まらない。その一件から、周りと違う自分に対して、確かな焦りと周りへの嫉妬を感じるようになった。

(多分)明日がラストになります…相変わらずダラダラと申し訳ありませんが、宜しければ最後まで読んでくださると嬉しいです😢









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