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私は旅に出た。君は好きにしろ。03

◆可能性という贅沢さ


初めて世界に飛び出したのは大学1年生の春休みでした。サークルの友達と二人でドキドキしながら、まだピカピカのバックパックを背負って。シンガポールとインドネシアにたった1週間だったけれど、その時の高揚感が全身に染み付いて忘れられなくて、まんまと海外にハマってしまいました。海外旅行は中毒性あるよ、これほんと。

いつも使うコミュニケーション手段である言語が共有できないという不便さは、当たり前に話が通じて当たり前に文字が読めるという常識が一瞬でひっくり返った出来事で、良い意味で「日本の当たり前」を疑う姿勢を身に付けるのに役立ちました。日本の中から見る日本と日本の外側から見る日本は全然違った。

初めての海外が、わたしを2度目、3度目の海外に駆り立てた理由は自分の可能性の贅沢さを知ってしまったから。

おじさんはわたしたちにこう言いました。
「日本国籍のパスポートにどれくらい価値があるか知っているかい?日本人に生まれたというだけで、君たちは世界のほとんどの国へ自由に行くことができるんだよ。」

その言葉がずっと胸につかえていて、わたしは行ける環境にいるんだから行かなきゃ。と勝手な使命感に燃えてしまったというわけです。


日本に生まれた段階で、悲しいかな世界は平等にはできておらず、わたしたちは世界の中でもかなり幅広い将来の可能性を持っているみたいです。もちろん、そんなこと海外へ行くまで全く気がつかなかったけれど。

***

初めてインドへ降り立った私は、なんとなくの知識しかなかった「カースト制」について、ひりひりと肌で感じました。
旅人の多くが衝撃を受け、胃腸への激しすぎる洗礼にあい、自分の体力と消化器官の限界を経験したあと、ハマる人と二度と行かないと宣言する人に完全に別れるクセの強すぎる国、インド。
わたしはたった10日間の滞在でしたが、そこで感じたのが、生まれた段階での可能性の差。

遅延した電車を待つ間、ホームを歩き回る裸足の子供たちを観察していました。ちなみに遅延の理由は「牛が線路を歩いているから」。インドでは牛は神様らしいから牛渋滞での電車の遅延は珍しくないらしい。その神様のおかげで私はその子供達を見たんです。
彼らはきっとカースト制で言えばかなり下の方の身分。乗客が捨てるペットボトルをひとつひとつ集めて、大きな袋に入れていました。ひとつのペットボトルを争って、取っ組み合いの喧嘩を始める子供もいました。その様子を眺めながら横を通り過ぎる、綺麗な服と靴を身につけて親に手をひかれる彼らと同じくらいの歳の子供。

彼らの将来の可能性が、みんな平等にあるとはとても思えなかったし、実際に生活がままならない状況で、夢や仕事について色々思い描くことが簡単じゃないことは容易に想像できました。

ひとりの子供が近づいてきて、わたしにお金をねだりました。あまりにも哀しげな表情だったので、飴をひとつあげると、それまでの表情が嘘のように笑顔になって、その哀しげな顔はその子供が生きるために身につけた演技だと気がつきました。

また別の子供は、伸ばしたわたしの手から飴をひったくるようにして取り、すごく鋭い視線でわたしを一瞥したあと走っていきました。

インドに行くまでなんとなく想像していた、貧しい子供たちの哀しげで、世界を憂うような表情は勝手な私のイメージだけでした。現実はそれと違い、彼らは生きるためにもっともっと必死でした。

さらにわたしが驚いたのは、その子供たちの輝いた目でした。ペットボトルを集める子供の注意を引きつけた、道端の靴修理職人を見つめるその目は、インドとか日本とか関係なく、同じ世代の子供が共通して持つ、好奇心に溢れた輝きに満ちていました。
それは彼らの苦しいであろう生活からは想像できない、生きた瞳でした。

生まれた場所は違っても、みんな同じでした。


***

そのとき思い出したのはあの、私に海外へできる限り飛び出して行くことを決意させてくれたバリ人のおじさんが、出会った時にわたしに聞いたこと。
「俺から見たら日本は、豊かで綺麗で安全で、幸せに生活できるのが当たり前の国なのに、どうして日本人はみんな気難しい顔をして、苦しそうに生きているんだい?」

答えられませんでした。今も答えは出ていません。でも、その気難しい顔の誰かが、少しでも笑顔の時間になれる空間や、楽しめる時間や、新しい選択肢をつくっていくこと、自分自身の無限の可能性に気がつけるきっかけを一人でも多くの人に広げて行くことを心に決めています。

日本が好きだし、日本を誇りに思うから、そんな日本の中に、せめてわたしの身近な人たちには、笑顔でいて欲しいから。まあそんな気難しい顔の人もまわりに多くはないんですが、苦しくなりすぎた時にふと思い出してもらえる存在でありたいと思っています。あなたにも、私にも、無限の可能性がある。

今が人生の中で一番若い瞬間だから、残された時間はどんどん減って行くから、今から行動を起こす為に私にできることは、こうやって自分の体験してきたこと、考えたことを文章にして繋いでいくこと。



04に続く!



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著者:山口夏未
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