見出し画像

私は旅に出た。君は好きにしろ。05

◆働くってどういうこと?

わたしが世界一周に出たとき、貯金残高はたった40万しかありませんでした。そして最初の三ヶ月の東南アジアで20万使いました。そのあと一時帰国したのですが貯金残高は一切増えないまま、勢いでロシアに出国しました。貯金がなくなったら帰ろうって思ってました。


もともとは、バイトでお金を貯めて世界一周しようと計画していましたが、日本でやりたいことが多すぎて全然貯まらなかったので頭を抱えていた時に、「世界一周するの?面白いね!なら、どうやったらタダで行けるか一緒に考えてみよう!」って言ってくれた変な大人がいました(めちゃくちゃ感謝してます)。


その人が言うには「海外に行きたくても時間やお金の都合で長期で日本を離れられない人にとって、あなたの経験は価値になるから、どうやったら自分の世界一周がお金に変わるか考えてごらん。」と。


それから毎週、そんな女子大生の挑戦を面白がってくれる大人たちに囲まれて、あれこれアイデアを考えました。例えばそのときに出たアイデアは、「あなたの分身と一緒に旅して各地で写真を撮ってきます!」とか「いつでも安心!世界トイレマップつくります」とか「現地でしか買えないモノを日本に送ります」とか。


そのうちのいくつかは本当に実現して、直接的な仕事の依頼やクラウドファンディングのリターンのアイデアとして活用され、わたしの旅を資金面で随分と助けてくれました。アイデアと旅が掛け合わさって、価値に変わった瞬間でした。超きもちいい!


もともとはアルバイトなどの「時給制」でしかお金を稼ぐ方法を知らなかった私にとって、自分が移動することや、本来であれば個人の娯楽であるはずの海外旅行がまさかお金になるなんて思いもしませんでした。その考えかたは今でも私の仕事やライフスタイルに深く影響を与えています。

***


さて、実際にやったことは、まずライターの仕事。その日行った場所や人気の観光スポットの写真を撮影し、情報をまとめ、文章を書いて日本のwebメディアに買い取ってもらっていました。だいたい1記事800~4000円くらいになるので、東南アジアであれば1日1記事書いていけば生活できます。

旅の記録を残すことにも役立ったし、その時に文章を書きまくった経験は今、こうして文章を書くのが全く苦痛ではないという点ですごく私の糧になっています。当時はキュレーションサイト全盛期だったので、選ばなければ仕事はいくらでもありました。クラウドソーシングというサービスは在宅者だけでなく、バックパッカーの私にとっても強い味方でした。パソコンが一台あればできる仕事として、ライター業はすごく向いているし、経験がそのまま仕事になるのでとても楽しかったです。海外での恋愛ネタを求められたときは、モンゴルから中国への国境で嫁にされかけた話を書いたら、めちゃくちゃウケたのに恋愛の要素が少なすぎてボツになりました。自信作だったのになぁ。

***

ラオスで住み込みの仕事もしました。日本人ご夫婦の経営する創作料理レストランで朝の仕込みとランチ営業のお手伝い。代わりにお店の上に住み込みさせてもらえたので宿泊費が節約できました。その間ラオスの在住日本人の方々とさんざん関わらせてもらい、実際に海外を旅することと住むことの違いを実際に感じることができました。毎晩のようにビアラオ(ラオスのビール)を飲みながら、仕事のこと生活のこと未来のこと日本のこと、海外にいる目線から色々話しました。

海外に出ている日本人の大人は、今まで自分が日本で関わってきた人とはまた違った世界の見方をしていて、刺激だらけの毎日でした。仕事の内容としては確かに日本でのアルバイトと大きく変わった点はなかったとはいえ、全く慣れない環境でラオス人のスタッフさんと一緒にお仕事するのはとっても新鮮な体験でした。

当時頑張って覚えたラオス語はほとんど忘れてしまいましたが、日本語よりラオス語の語彙が少ないため、同じ発音で複数の意味があって「ラオス人の空気読んで話してる具合はすごすぎる、日本人の空気が読める人とレベル違う」って思った記憶があります。でも、ラオス人が本当に空気を読んで話していたのか、それとも細かいところを気にせず雰囲気で話していたのか、真相は不明です。

***

パリで、自社の製品を販売したいという会社からの依頼で、パリの小売店の調査をする仕事もありました。関税に関することや、現地での需要、類似品の価格設定などを調べて滞在費用を補助してもらいました。ボロボロのジーンズじゃ信頼してもらえないかと思ったので、日本から着物を送ってもらってそれを着て営業にまわっていました。街中で、フランス人の子供たちから超人気者になりました。着付けできて良かった。当時パリでは葛飾北斎展などもやっていて、日本への関心が高かったようです。


それで、日本といえば折り紙だ!と思って、旅中に折った折り紙をアクセサリーにしてフランスやスペインで路上販売もしてみたりしました。読みは見事に外れて、全然売れませんでした。笑 求められていることに適切にアプローチすることでお金が生まれるということを身をもって体験しました。折り紙のアクセサリーって、ヨーロッパの都会だと和雑貨系のお店にありふれているんですよね。ちなみに、折り紙は売れなかったけど一緒にいた旅人が持っていた東海道五十三次のポストカードは飛ぶように売れました。なんでやねーん!

***

モンゴルでウールの製品を仕入れて日本の小売店に卸す、バイヤーの仕事も少しやりました。日本への送金や輸出の手順を手配したり、日本で売れそうなデザインを考えたりするのはすごく楽しかったです。JICAの職員の方にもすごくお世話になりました。自分が見てきた世界を、日本にモノを通じて伝えることができるのはとっても面白かったです。


キルギスで、田舎町にあるフェルト工房に行った時は、そこまでの交通手段がヒッチハイクしかなかったので、人生初のヒッチハイクをしました。
一般的なセダンに、ヒッチハイクでどんどん現地のおばさんおじさんが乗り合わせて、最終的に降り時は10人乗ってました。どこにどうやって入ってたんだ?!

***

それまでの「働く」というイメージは、会社に就職するか小売店などの自営業くらいしかありませんでしたが、帰国してから生き方の選択肢は大きく広がりました。結果フリーランスになりましたが、アイデアと方法によっては「働かなくてもお金は生み出せる」という経験(旅中の経験はすべてわたしにとって働くというよりほとんど遊んでいる感覚)ができたことは、わたしが「働いてお金を稼ぐ」という当たり前から自由になれる方法に気がつく素晴らしいきっかけになりました。


06につづく!


===
著者:山口夏未
リアルタイムに旅を発信中!
ブログ「ナツタビ。」→http://www.natsutabi.com/

無料メルマガ好評配信中!登録はこちら
LINE@登録してくださいっ♪→@nnt0147i で検索!
ここには書けない裏話や、質問受け付けます!

サポートありがとうございます!ありがたく、仕事しながらポップコーンとチョコレート食べます。いっぱい貯まったら、本出します。