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『テレワーク』は英語なの?

テレワーク。英語のように見えますが、じつはあまり見かけません。

英語では remote work とか working from home という表現の方が多く、teleworking という言葉を見かける機会はさほど多くはありません。

日本語では、おそらくこの teleworking の -ing が省略されて<テレワーク>と呼ばれるようになったのでしょう。

tele- という綴りは、身近な英単語にもよく登場しますね。

telephone  電話機
telepathy   テレパシー
telescope  望遠鏡

どれもれっきとした英単語なのですが、じつはギリシア語・・・・・からつくられています。

tele- は、ギリシア語で「遠く離れた」という意味をもっています。
だから、どの単語も、ほんとうはこんな意味なのです。

telephone 遠くから「音(ギリシア語 phōnēが届くもの
telepathy  遠くから「(苦しむ)気持ち(ギリシア語 pathos)」が届くこと
telescope  遠くを「しっかり見る(ギリシア語 scopeōもの

電話も、テレパシーも、望遠鏡も、「確かにそんなモノだ!」って思えませんか?じつはこれ、英語の綴りをみればわかる・・・・・・・・・仕組みになっているんですよ。(笑)

あ、そういえば、

「英単語なのに、なんでギリシア語?」

と不思議に思われるかもしれませんね。

これは、日本人が漢字・・で新しい熟語をつくったり、英語・・から新しいカタカナ語をつくったりするのと同じ感覚です。英語圏の人たちは、新しいコトバををつくるとき、ラテン語・・・・ギリシア語・・・・・をつかうことがとても多いのです。

……というより、日本人も英語・・だと思って、ギリシア語・・・・・を日常的につかっています。スマートフォンの フォン(phone)も、テレパシーも、シンパシーも、コトバのもとはギリシア語なのですから。

さて、それではテレワークの work はどうでしょう。
こちらは昔からあるれっきとした英語ですね。「働く」とか「仕事」という意味でよくつかわれます。

というわけで、日本人がつかっている<テレワーク>というカタカナ語は、

tele- 「遠く離れたところで」 + work 「働く/仕事」 → 在宅勤務

ギリシア語と英語のあいのこ・・・・です。しかも、日本風アレンジの効いた<和製英語>に近い感覚になります(笑)

カタカナ語も、こんなふうに語源で分解して読み解いてみると、<本来の意味>がきちんとわかって楽しいものですね。

そうそう、英語で「テレワーク」と伝えたい場合には、

名詞: remote work / working from home
動詞: work from home

としておくほうが無難でしょう。

この記事がすこしでもみなさまのお役に立てば幸いです。

◆最終更新
2021年10月20日(火) 10:41 PM

※記事は、ときどき推敲します。一期一会をお楽しみいただければ幸いです。

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