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長崎でキャリアチェンジした先輩方のお話を聞く

軍艦島に行く予定が天候により上陸ができないとのことでキャンセルする。お天気自体は良かったので近所のグラバー園へ。大学生のときにお友だちと来て以来なので、15年ぶりくらい。

スカイロードなるエレベーターとエスカレーターを足して二で割ったようなものに乗る。住民の方も普通に使うようで、さすが坂の多い長崎。

グラバー園には車椅子用の道がちゃんと整備されているけど、基本は坂。長崎は地形的にバリアフリーが難しい土地であり、足腰が不自由な方が住むには苦労が多い街かもしれない。

グラバーさんは主に貿易の場面で力を発揮した優秀なビジネスパーソンで、日本の工業化を牽引した一人であり、キリンビール設立の立役者でもある。キリンビールにはいつもお世話になっているのでグッと親しみ。

早めの夕飯にしようと決め、小腹を満たすべく角煮まんを食べながらひたすら歩く。

予約優先の店……?
最安値の長崎産はっさく
地名がメルヘン

結局お腹が空き、ホットサンドの文字に惹かれてカウンター5席の小さなお店に入る。

店員さんは元保険屋さんで、ずっとお店がやりたいと思いながら子どもが自立するのを待ち、ついに先月このお店を開いたとのこと。「やれると思って始めたけど、動き始めてからいろいろ不安なことが出てきた」と言っていた。

お店を始めたい女性は多いけど、「本当にやりたいならすぐにでも始めた方がいい」とお姉さん。先日取材した会社員と飲食店を両立している女性も同じことを言っていた。

いろいろな人に取材をしてきたけど、結局のところすてきな人たちは「思い切って何かを決める」ことをしている。違いはタイミングや思い切り方であって、自分が納得できる生き方をするには「勇気を出してやってみる」が不可欠。わかってはいるけど、それができないから人は悩む。

お姉さんのお店のイラストは保険屋さん時代のお客さんが描いてくれたとのこと。開業に向けてたくさんの人の助けがあったとも言っていた。

眼鏡橋の近くだからメガネ

無駄なことは何一つないとよく言われるけど、それはあくまで結果論。打算なく目の前のことを大事にするから結果的に無駄にならないのであり、無駄だと思って適当に生きていたら本当に無駄になるのであろう。なんとなく入ったお店だったけど、思いがけず良い話が聞けた。

今日の眼鏡橋

夜はおでん屋さん。牡蠣のおでんで一生酒が飲める。ナイス出汁。

マスターは大学から東京に出て、編集プロダクションを経てフリーの編集ライターをやっていた人。思いがけず同業者。38歳で長崎に戻り、地元では仕事がなく料理の道にキャリアチェンジしたとのこと。「素材を組み合わせてより良く仕上げるという意味で、編集と料理は同じ」と言っていた。今や料理歴が編集歴を追い越したらしく、感慨深そうにしていた。

レタスのとろろ昆布のおでん

長崎の出版社の出版物の質が良い気がしていて、聞いてみたら「樂という雑誌がすごい。紙の質も印刷もこだわりが変態」とマスター。何かの賞を受賞しているそうで、調べたら日本タウン誌・フリーペーパー大賞の有料誌部門で大賞を受賞していた。

先日買ってみた同じ会社が出しているガイドブックも良質。るるぶ的な情報は今やネットで拾えるからもうちょっと踏み込んだ情報がほしいけど、とはいえ専門誌や本を読むのはしんどい、みたいな人のニーズをいい具合に満たしてくれる。長崎は切り口が多いから企画するのも楽しいだろうな。

今が旬のわかめのおでん

マスターは中学生の夏休み、友だちと2泊3日で五島を自転車で一周したことがあるそう。「スタンドバイミーみたいな感じ」というので、死体を見に行ったわけじゃないですよね?とウィットがにじんだジョークを飛ばしたら、少し声をひそめて「実は自殺の名所を見に行った」とマスター。かすってるんかい。

良いお店だったけど、原曲の良さが際立つJ-POPのカバーアルバムがかかっていたのだけ気になった。誰が歌っているのかは不明。

あっさりめのみたらしくらい甘い焼きおにぎり

少し遠くのお風呂に行こうかと思ったけど面倒になってやめ、代わりにスカイロードを再訪。なるほど夜景スポット。

昼間

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