見出し画像

ローマに現存する最も古い大理石建築! ヘラクレス・ウィクトール神殿

古代ローマ時代の建物は、多くの場合、帝国の崩壊後、他の建物の建築資材として使われ、破壊されました。それでも、ローマ時代の神殿が、教会に転用されたため、現在まで残っている場合があります。ローマのテヴェレ川沿いに残るヘラクレス・ウィクトール神殿もその一つです。

古代ローマのヘラクレス・ウィクトール神殿は、西暦1132年より教会として使われています。円柱型の建物の内部には1475年に描かれた聖母マリア様や聖人のフレスコ画が残っています。(現在、中に入ることはできません)

建設されたのは、ローマ共和政時代の紀元前120年。20本のコリント式円柱のうち19本はローマ時代の物で、ギリシャ、ペンテリカス山産出の大理石が使われています。

当時、この辺りは、フォルム・ボアリウム(畜牛広場の意)と呼ばれ、肉類と塩の売買をしていた古代ローマの商業の中心地でした。

神殿内でみつかった彫像がのっていたと思われる台にHercules Olivarius(オリーブ市場のヘラクレス)と彫られていたため、現在はヘラクレスに捧げられた神殿と考えられています。

また、文献にも、金持ち商人がオリーブオイルの取引の守護神ヘラクレスに捧げるHercules Victor(勝利者のヘラクレス)の神殿を建てたと残っています。

しかし、ルネサンス時代には、フォロ・ローマーノにあるウェスタ神殿と同じ円形のため、こちらも「かまどの女神ウェスタ」を祀る神殿と思われていました。

今では、ヘラクレスに捧げる神殿とされているようですが、円形神殿は、女神に捧げられる伝統があった点や、神殿の聖火を絶やさないようにするために巫女が燃え木を用意ていたのではないかと思われる溝の跡が残っていたため、案外ヴェスタ神殿で、間違いではないかもしれません。

19本のうち11本の円柱と9つの柱頭には、北西イタリア、アプアーノ・アルプス産の大理石が
使われており、第2皇帝ティべリウス時代に修復されたものと考えられています。


よろしければサポートお願いします。今後の活動エネルギーとさせていただきます!