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古代ローマの総合娯楽施設「カラカラ浴場」

古代ローマ人たちは、お風呂が大好きでした。紀元前33年にアグリッパが行った土地台帳記録には首都ローマに170の浴場が記録されていますが、4世紀には大小合わせなんと1000もの浴場があったそうです。なかでもカラカラ浴場は、現在の建物が追加されて改築されているわけでもなく、古代ローマの公衆浴場の様子を知ることができる遺跡として有名です。

カラカラ浴場は212〜216年に、先帝セプティミウス・セウェルス帝の意志を引き継いだカラカラ帝によって造営されました。一度に1600人も収容できる非常に大きな公衆浴場でした。

カラカラ浴場では、お風呂に入って体を洗っていただけではありません。今でいうジムのような体育館で汗を流した後は、3段階の温水浴場「テピダリウム微温浴室」「カルダリウム高温浴室」「フリギタリウム冷水浴室」、さらにサウナのような部屋、プール、マッサージ室となんでも揃いました。しかも、大帝国内の職人の技が集結された、今では美術館に飾られている彫刻やモザイクなどの芸術作品に囲まれてです。そして、満足するのは体だけではなく、11ヘクタール以上の大きな敷地内には大規模なラテン語とギリシャ語の図書館もあり知的欲求も満たすことができました。そして、当時、浴場は、社交の場でもありました。

ただ、イタリアには、火山もあり自然のテルメも存在しますが、カラカラ浴場の地に温水が湧き出ていたわけではありません。地下の炉では毎日何トンもの木炭が燃やされ、水道橋を通ってひかれた水が温められていました。また、アツアツの空気が壁や床の中にはりめぐされたテラコッタでつくられた四角形の管の中に送られていました。木炭を積んだ荷車を牽いた馬が通るための幅6メートル高さ6メートルの地下通路を今でも見学することができます。馬の通行を潤滑にするために、地下にロータリーのシステムがすでに使われていました。

壮麗な豪華さの裏には、汗を流し地下で木炭を燃やすたくさんの奴隷がいたのです。。。


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