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関係者マップをつくらずに社会事業を始める危険性


毎年この時期は、地方創生人材支援制度の企業登録の時期です。RCFも自治体への人材派遣可能企業として登録しています。今年の登録内容の検討の中で、やはり派遣時はまず地域の関係者を把握するところからだよね、という話をしていました。

そこでふと最近読んだ本が思い出されました。
NPOの専門家であるキャサリーン・ケリー・ヤヌス氏の『ソーシャル・スタートアップ』。

関係者を把握せずに始めた社会事業はインパクトを出せない

NPOにいると、うんうん、そうだよね、という内容も多いのだけれど、その中でもずしんときたのが下記の言葉。

「私はこれまでも、善意の外国人が多大な損害をもたらすのを目にしてきた。だからこそ、よく知りもしない人たちを『助けよう』などというありがた迷惑なことをする前に、地域の状況と歴史を理解することが重要なのだ

これはアフリカ政治の専門家があるNPOに向けた言葉。

みなさん、覚えているだろうか。インビジブル・チルドレンという若者がつくった組織を。その若者たちはウガンダで「神の抵抗軍(LRA)」がこどもをさらい兵士に仕立てていることを知り、「コニー2012」という活動を開始し、その指導者であるジョセフ・コニーを逮捕に追い込むというキャンペーンを展開した。
1年で880万ドルもの寄附を集め、動画は数億回も再生された。

ところが、すぐに専門家や草の根活動団体に、問題を矮小化・単純化しており、地域の誤った情報を流しているとして、批判が高まり、2年ほどで破綻寸前に陥ったしまった。

もし地域の関係者と連携し、その発信力を活用できていたならば、その課題に対し、大きな変化を生み出せていたかもしれない

地域の関係者を十分に把握せずに課題を設定すると、間違った仮説をたててしまう。そして労力とお金をかけ、何のインパクトも残せずに事業が終了してしまう。いや、むしろそれ以上に状況を悪化させてしまう恐れがあるのだ。

では、どのように整理すればよいのか。

初期仮設と関係者マップを整理しよう

まずは初期仮設を整理する。誰のどのような課題に対し、何をしようとしているのか。ソーシャル・アジェンダ・ラボ リサーチプロジェクト100報告書に分かりやすい資料がありました。

ウズベキスタンの女性の地位向上にむけた自立支援のためのエシカルスカーフ事業が例になっています。

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現状の仮説と課題を整理したうえで、ヒアリングにより仮説検証をしていく流れとなっているのですが、合わせて関係者マップも下記のように整理されている。(わかりやすい!)

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地域に入る場合は、より細かくバイネームで自分の事業に関わるのは誰か、影響しうるのは誰かを把握する必要があるよね。

あたり前のことだけれど、ついつい疎かになってしまう。そして事業開始後に大幅な修正が必要になったり、あるいは想定していた成果が残せなくなったりする。

自戒を込めて書く私でした。

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