見出し画像

【体験記】ヨーロッパでの1年間の交換留学を終えて

大学3年生後期から4年生前期にかけて、1年間ヨーロッパで交換留学をしました。

北欧デンマークの、Aarhus BSS(Aarhus University)というところです。

人生初めての海外で右も左も分からない状況でしたが、何とか1年間やり通し、無事日本に帰国しました。

ということで、このページでは私の留学体験記を備忘録として残しておこうと思います。

留学を検討している方やもうすぐ出発するという方に、リアルな留学ってこんな感じだよっていうのをお伝えできればと思います。

また、最後の方には留学の振り返りとアドバイスも書いているので、参考にしてもらえればと思います。

ちなみに、留学をするにあたってかかった費用や持っていってよかったものを以下でまとめていますので、気になる方はご覧ください。


留学の振り返り

出発前まで

交換留学という事で校内の選考を色々と受けて、最終的にデンマークという北欧の国に決定しました。

元々別の国を第一志望としていたので、最初はどこやねん見たいな感じでしたが。笑
(流石にデンマークの名前は聞いたことありましたけどね^^;)

まぁそうはいっても、とりあえず交換留学には派遣してもらえるので、ありがとうございますという感じで、できるだけいろんな経験して成長して帰国したいなぁ~と思っていました。

ちなみに私の留学の目標は、

  • 大学院入試の準備

  • 自分の思い描いている将来的なキャリアのための学習

  • 語学力の強化(英語)

でした。正直言って海外に興味や憧れはそこまでなかったです。残念ながら。

留学を決める前から大学院への進学を希望していて、そこで専攻を変えたいと思っていました。自分の所属する大学ではそれに関連する授業を履修できないor履修できてもレベルが高くない状況だったので、じゃあその授業がある大学に留学してそっちで授業受けるか~と考えたのが主な理由です。

あと留学に際して奨学金がもらえそうだったので、自己負担少なくと生活できるし、バイトをしない分勉強にいっぱい時間を割けるようになるなと思ったのと、海外で生活してたら生きてるだけで語学力が伸びそうだったので、大学院入試の準備や人生経験として一石二鳥以上の価値があるなと感じたのもあります。

1年間の留学なら履歴書に書けるので、経歴もキラキラしそうですしね笑

そんな感じで派遣が決まってから、派遣先大学への出願、入居する寮の手続き、入国の書類提出、履修登録などを順々に済ませていき、気づいたら出発が近づいてきました。

渡航するまでに色々込みで40万くらい一気に飛んでいって、ビビり倒してたのが懐かしいです。

8月:人生初海外

8月下旬に日本を出国しました。

大阪→バンコク→コペンハーゲンの旅程でした。

初めての海外だったので、飛行機の乗り方からあんまりよくわからなかったのですが、まぁ何とか耐えました。

当時は期待と不安が入り混じった何とも言えない気持ちで、逆に冷静に淡々と旅程を進めることができました。

途中、バンコクで乗り継ぎをする必要があったのですが、そこで人生で初めて生で日本語以外で書かれた標識や広告を見ました。タイ語のあのミミズみたいな文字が印象的でしたが、特に不安に思ったりせず「おぉこんなもんか」となりました。意外と何も感じないもんなんですね。

何とか丸1日かけて、デンマークのカストラップ空港に着いた時は、現地時間が午前7時にもかかわらず疲労困憊でした。ただ空港から一歩出てみると、夏にもかかわらず湿度が低く肌寒い気温で、また街を歩いている人たちも the 白人 みたいな人たちばかりで、あぁ、ここはもう日本ではないんだなと実感し、少し気が引き締まる思いでした。

コペンハーゲン カストラップ空港

そこからバスで、これから自分が住む予定の寮に行き、契約をすまして、デンマークでの生活がスタートしました。

最初の食事は茹でたジャガイモと安売りのサラダでした。自分の自炊能力の低さにむなしくなりました。

9~11月:病み期

さぁいっぱい友達作って授業も頑張ってついてくぞ!ということで、いろいろとアクティブに動いていた時期です。

幸い、大学側が留学生用にいろいろとパーティーなどを開いてくれたり、留学生と現地ボランティア学生で構成されるバディグループを作ってくれたりして、最初の方は新しい出会いが多く大変楽しかったです。

しかしながら、私は典型的な日本人学生と同様に、スピーキングがあまり得意でなかったので、他の国からきている留学生のみんなの爆速で砕けた英語を聞いて相槌を打ったりにこにこしているのが精一杯でした。
僕にとっては、イギリス、シンガポール、ベトナムの友人の英語を聞き取るのが難しすぎてしんどかったです、、笑

そんな中で"can you speak a little more slowly?"とか言えばよかったのですが、会話の流れを遮るのに抵抗を感じたのと、自分のプライド的に何としてもこれについていきたいと思ってしまったので、ひたすら頑張り続けていました。


寮の近所

そうしているうちに、だんだん自分の英語に自信が持てなくなってきて、英語をしゃべるのが苦痛でしかなくなってしまいました。徐々に他人と会話しない環境を選び、家にもひきこもるようになりましたね。

またちょうどそのころ、日本にいたときから付き合っていた彼女に浮気されていることが発覚したり、日照時間の減少からいわゆる 冬季鬱(winter depression) みたいな感じになったりしてました。

英語がうまく喋れない、好きだった彼女と別れる、軽い鬱、という3重苦でメンタルが最悪の状況でした。

正直マジでつらかったです。

このころはもう何もやる気にならないんですよね。
朝起きてもなんか気づいたら夕方になってる感覚で、普通にどうにかなってしまいそうでした。2週間くらい家から出られなかった、、

12月:やりたいことをやる!

引き続きメンタルは最悪の状態でしたが、日本人の友人などが気にかけてくれて、少し生きる活力を得ました。
また、引きこもってても何も始まらないなと(ムリヤリ)思い、とりあえず今やれることをやろう!とポジティブに考えるようにしました。

ということで、気分転換に筋トレを始めたり、本格的に大学院の入試対策を始めたりしました。

朝5時に起きてジムで筋トレした後、すぐに大学の自習スペースで18時までひたすら自習するという生活がここからスタートしましたね。12月、1月は大学のテスト期間でもあったので、自分がとっていた授業のテスト勉強も兼ねていました。

そういえば授業についてですが、皆さんは留学先の授業というと何かを発表したり周りとディスカッションをしたりと、比較的アクティブなものを想像されると思いますが、私は留学中は基本的に理論系の授業を多くとっていたので、ずっと座学でした。

履修していた授業の風景

理論系ばっかり取っていたので、テストに関してはほぼ日本とシステムが変わりませんでした。2時間くらいのペーパーテストが大半。

しかしながら鬼門だったのが、一部の授業にはペーパーテストに加えて口述試験があったという点です。私がとっていた授業は日本では大学院で開講されるような内容で、試験ではそれの中のランダムなトピックを教授2人に対して0から解説していくというものでした。

英語がそこまで流暢ではないのに、大学院レベルの内容をプロの前で0から解説しなければならないということで、心臓がバクバクでした。
ジェットコースターの落下する直前と一緒の感覚だ!!みたいな感じに思ったのを覚えています笑

結果、教授たちに詰められまくったのですが、何とか単位を取得することができました。振り返ってみるといい経験だったと思います。もちろんもう一生やりたくないですけど、笑

そんな感じで、12月はクリスマスがあるということで町中はキラキラしていましたが、自分はそんな事お構いなしにひたすらやりたいことをやってました。ちょっと辛かったですが、何とか耐えました。

このあたりから、自分がやりたいことに集中するようになり、現地学生や他の留学生との交流が少なくなっていったと思います。しょうがない。

1~3月:のびのび期

日本以外の多くの国は、夏に前期がスタートして、1月2月あたりから長期休暇が始まります。

私の大学も1月から長期休暇がスタートしました。

ちょうど私が留学をしているタイミングで、日本の友人も何人かがヨーロッパ内の別の国に留学していましたので、この長期休暇でその子たちと一緒に1週間前後で西ヨーロッパを周遊してきました。

イギリス→アイルランド→ポルトガル→スペイン→フランスと周っていろんな観光スポットに行ったり、おいしいものを食べたりしましたね。

ロンドン橋とテムズ川

ただ大学生の貧乏旅ですので、やりたくてもできなかったことが多かったのが残念でした。

しかし社会人になって絶対にまた遊びに来るぞ!という気持ちになり、今後の勉強などのモチベーションアップにつながったのがよかったです。

また、私はすごく仲のいいポーランド人の友人が2人いて、彼らに会いに行ったりもしました。ポーランド料理とポーランドの歴史を存分に解説してもらって、非常に濃い旅でした。

ただ、ポーランドにzubrowkaというめちゃくちゃ美味しいウォッカがあって、それを友人とバカスカ飲んでしまい翌日二日酔いで動けず1日無駄にしてしまったのが痛かったです、、笑

一通り旅行が終わってからは、またひたすら筋トレと勉強を頑張っていました。

筋トレはベンチプレスが40キロくらい伸びたりしましたし、勉強も専門分野に加えて周辺分野を広く学んで、非常に有意義な時間でした。このころには英語のモチベーションも上がっていて、ある程度難なくコミュニケーションが取れたりしていました。頑張らない戦法、良かったです。

4~6月:ラストスパート!

さて、ラスト3か月は日本に帰る準備期間でした。

私は大学院への進学を希望していたので、研究計画書の作成や大学院入試の対策に追われていました。

同じ大学に留学していた日本人留学生の中でも、留学終了後は日本で進学、就職しようとしている人が大半で、私と同じように院試に向けて準備している子、オンラインで就活している子、などいたので、みんなでキャンパスの自習スペースに集まって黙々と勉強や作業をしていました。

当時は謎の団結感がありましたね笑

日本人以外の友人たちには、
「日本人の子たちみんな毎日夜遅くまでシリアスにパソコンに向かってるけど何してるの?」
みたいに言われることも多くて、なんか面白かったですね。

日本人の社畜魂がみんな遺憾なく発揮されていたようです。

帰国直前にはベルギーに旅行に行きました。ブリュッセル、アントワープ、ゲントを回って、ムール貝食べてワッフル食べてお酒飲んでました。非常に楽しかったです。

22時のゲント。ヨーロッパの夏の夜はこんな感じ。

ちなみに、個人的にベルギーはマジで最高の国です。ご飯美味しい、お酒が充実、建築物キレイ、観光しやすい、(オランダ側は)英語もガンガン通じる、という素晴らしい世界なので、是非皆さん行ってみてください。

1年間の留学を終えて

良かったこと、悪かったこと

冒頭で書いた通り、もともと自分は大学院で専攻を変えたくて、それのための授業を履修したり、独学のための十分な時間を確保するのが目的の留学でした。

その点では、当初の目的は達成しており非常に有意義な1年間だったと思います。

留学生枠なので、現地の学生ほど大学の授業を詰めて取る必要はなく、また奨学金を頂いていてバイトもする必要はなかったので、毎日自由時間ばっかりでした。大学受験並みに勉強してました。

他のどの留学生よりも図書館に籠ってた自信はあります。

いつも勉強してた図書館

ただし、先述したように、冬に英語に自信を無くしてしまったり、色々とメンタル的にキツいことが多くあって、現地の人や他国からの留学生との交流といった、いわば「現地でしかできないコト」を経験する機会から逃げてしまった期間がありました。

まぁそこで無理に頑張っていたらホントに潰れてたと思うので、頑張らなくて正解だったとポジティブに考えていますが、逃げたという点では、現地で得られるはずだった経験を捨ててしまったと同義だと感じてしまいます。

なのでここは少し残念に思う部分ではあります。

また、勉強ばっかりしてたからというのもありますが、そこまで積極的に英語を喋る機会がなく、そこまで熱心に英語について努力しなかったので、1年間留学していた割にはそこまで語学力も高くなってはいないと思います(もちろん、ずっと日本にいた場合よりは明らかにできるようになってますが)。

学んだこと、気づいたこと、考えたこと

留学に行ってみて初めて気づいたことはたくさんあります。

第一に、ヨーロッパの文化や宗教、社会構造や国同士の関係性、言語特性など、色々と深く知ることができました。
「この人たちはこういう考えの下こういう行動をしているんだな~」みたいな点を、感覚的にとらえられている気がします。

加えて、日本を外側から見ることで、ヨーロッパとはホントに全く違う国なんだなぁと改めて感じました。同じ人間ではあるけど、社会を動かす原動力というか、向かう方向がやはり異なるんじゃないかな、と思った場面が多数あります。
またその延長線上で、普段何気なく接していた日本の慣習や伝統に対して新たに疑問を持つようになりましたし、逆に良さを見つけることもできました。

意外なことに、日本の政治に対する興味も湧きました。
この国ではこういう考え方があって、こういう制度が成立してきれいに社会が回ってるけど、これを日本で導入するとどうなるんだろう。とか、日本にはこの法律ないけどなんで上手く行ってるんだろう、とか、社会制度に関して気づく部分が多いんですよね。その分、もっとこうすればいいのに、、とか、これは大切に守っていかないと、、みたいな意識が芽生えました。
今では主体性を持って社会参画したいと心の底から思うようになっています。

現地の人とかかわりを持つ中で、多様な考え方や価値観に触れ、自分の視野の狭さに気づかされました。それによって生き方の幅みたいなものが広くなったように思い、少しこれからの人生が楽になったように感じます。
一方で、"自分"を持つ大切さも身に染みて理解しました。一度日本という社会制度の外に出てみることで、自分の生きる意味、価値などの点も改めて考える機会が増え、心にたまっていたモヤモヤを言語化する良い期間だったなぁと改めて思います。

外国でマイノリティ(アジア人)として生きることは非常に新鮮でした。
実際に現地でアジア人という事で危ない目にあったこともあり、人種差別などの社会問題も自分にとって一気に身近な存在になりました。同時に、日本人であることを誇りに思うようにもなりましたし、もっとほかの国の人々のことが知りたい!仲良くしたい!という思いが強くなりました。

あとこれは北欧に行ったからだと思いますが、"幸せ"とは何なのか、定義付けを深く考えることができました(北欧各国って世界幸福度ランキングでいつも上位なんですよね~)。何をするのが楽しくて、何を求めて生きたいのか、何をしなくていいかという自分の問題も、他人の幸せとはなにか、どのようにすればみんなで幸せになるのか、という他者の問題についても色々と考えてました。

総じて、学力、教養、精神の面で、大きく成長した1年だったと思います。

正直海外には特に興味や憧れはなかったのですが、留学して本当に良かったです。

交換留学という機会を提供してくれた私の所属している大学、金銭的な支援をしてくれた親と日本留学支援機構には頭が上がりません。

留学に行く人へのアドバイス

これから留学に行く人に対して、僭越ながら自分なりにアドバイスをしてみたいともいます。

ただ、基本的に自分の経験から書いているだけなので、バイアスが大いにかかってるかと思います。すべてを鵜呑みにはしないようにだけよろしくお願いします。

  • あなたの留学の目的や留学先でやりたいことって何ですか。今一度思い返してみて、運要素が大きいものになっている人は要注意です。例えば「仲のいい友達をいっぱい作る」とか、「現地の文化を体験しまくる」とかですかね。友達を作るにしても、気の合いそうな人がいるかどうかは運ですし、自分みたいにふさぎ込んでしまう可能性も大いにあります。現地の文化に触れるのも、そもそも滞在先に自分が楽しめるだけの濃い文化があるのか問題とか、紹介してくれる人や環境に出会えるか問題とかいっぱいあります。何か一つでもいいので、留学という機会を活かせる、"一人でもできる目標" を持っておくといいんじゃないかなぁと思いました。そうじゃないと、もしその目標がツイてない方向に進んでしまったときに何もできなくなってしまいますし、生きるのがしんどいです。最悪マジでノイローゼとかになると思います。

  • まぁ結局、留学は全般として運要素が強いと思っています。何も事前情報がないままいきなり海外に飛んで、半年または1年留学するわけですから。過度な期待はせず、かといってフットワークは重くせず、適度に肩の力を抜いて楽しんでください。いい経験がたくさんできると思います。

  • とりあえず現地で使う言葉(多くの人は英語かな)は、日本にいる間は死ぬ気でリスニングを頑張っておいてください。特にカジュアルの極みみたいなワードチョイス+スピードのやつに食らいつく練習をしておいた方がいいです。留学先で雑談ができなかったら結構しんどいですよ(経験済み)。

  • 日本食は案外頑張っていっぱい持っていかなくても大丈夫かもしれません。大学があるような町だと、大体近所にアジアンマーケットがあると思いますし、そこである程度の物は手に入ります(値段高いしクオリティ低いですけど)。

1DKKは20円くらいです。恐ろしい値段、、
  • 北欧に行く人である程度小柄な人は、衣類を結構持っていったほうがいいかもしれません。あっちの服は大きすぎる可能性があります。

  • ヨーロッパに行く人は、ヨーロッパ中を死ぬほど旅行してください。時期を選べば飛行機がアホみたいに安いです。デンマーク~ロンドンが片道2000円とか、アイルランド~ポルトガルが3000円とかの世界です。ヨーロッパの北側の人たちはRyanair、南側の人たちはEasyJetが相棒になります。

ヨーロッパ最大の格安航空会社 Ryanair
  • とりあえずお金は日本で貯めまくっときましょう。そしてヨーロッパでは使いまくりましょう。いろんな経験しましょう。すべてがこれからのあなたの人生を形作ります。

  • どうしてもつらくて日本に帰りたくなったら、躊躇わずに帰りましょう。留学なんかよりもあなたのメンタルヘルスが最優先です。実際に私の友人も数人がどうしても耐えられなくなって帰国していますし、ネットでも「留学 つらい」「留学 帰りたい」の検索がいっぱいあったりするので、みんなが経験する問題なんだと思います。怖がることはないです。

最後に

長くなってしまいましたが、以上が私の留学体験記です。

色々と楽しい事や辛いことなどがありましたが、結果的には素晴らしい経験でした。

留学を検討している方も、これからまさに留学をする方も、この記事を読んで何か留学成功のヒントを得てもらえると幸いです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?