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焚き火を囲って

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古来、人類は焚き火を囲っていろんな物語を紡いできました。このマガジンには頭の中の何事かを言語化した記事を入れています。ゲームネタ、時事ネタ、ノウハウが多め。
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#エッセイ

あの頃はゲーム音楽だけを聴いて楽しめるなんて知らなかった

あの頃はゲーム音楽だけを聴いて楽しめるなんて知らなかった

コンサートホールの片隅でじっと耳を澄ませていると、崩壊したザナルカンドの街並みが脳裏に甦ってきた。現実/夢の世界から夢/現実の世界に召喚され、長い旅を経てやっと帰ってきた故郷はそこになく、これから待ち受ける最愛の人の死を考えないようにできるだけ明るく振る舞おうとしていた。

ほんのわずかな平和な時間を勝ち取るために、顔も名前も知らない人たちのためにユウナが死んでいいはずがなく、なのに何もかも受け入

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初めて行った美容室で「お帰りなさい」と言われて

初めて行った美容室で「お帰りなさい」と言われて

20年以上美容室を利用していても、いまだにどうオーダーすればいいのかよく分からない。あまりにも髪に関する語彙が少ないのと、希望の髪型が別にないので、「とりあえず前髪を短くして全体はそれに合わせてください」に近しいこと以外に何も言えない。

だから正直、2か月に1回も美容室に行かないといけないのが面倒で、つい伸ばしっぱなしにして前髪がうっとうしくなりすぎ、観念してホットペッパービューティを開くことに

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何年かバーチャルな東京に住んでいたときの話――そしてmeet-meの思い出

何年かバーチャルな東京に住んでいたときの話――そしてmeet-meの思い出

目覚めると、僕は原宿に向かう。毎日1回、タダでガチャをやらせてくれるからだ。3等が出た。まあ、1等でも6等でもそんなに嬉しい景品はもらえないから、これは儀式のようなものだった。近くにあるトレードボックスを眺めてめぼしいものがないか確認するが、今日はこれといったものがなかった。

あ、そうだ。今日は16日、鍵の日だ。毎月、6のつく日には無料で鍵がもらえる。なぜか? 6とLockをかけているらしい。そ

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