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🏥 母と第一次ペースメーカー事件(中)

前回に引き続きシリアスである。

(前話はこちら)

とりあえず母は、ドレーンをつけて個室暮らしとなった。

時系列が正確なところはもう怪しいのだが、

固定で置いてある↑この記事の出来事があったのは、この事件のすぐ後の出来事だったと記憶している。

当然であるが、この事件については、東京で働いている兄にも連絡した。

さすがに兄も有給を取ってすっ飛んできたが、病院の説明はのらりくらりでちっとも埒があかなかった。

さらに、どう考えても父がボケていた。

やり取りをしている間に、正月を超えて、もう1月に突入していたと思うが、兄にも私にも仕事があった。

兄も忙しくそこまでは休めず、私も2日仕事をしてまた年休で病院へ通うような状態だったが、記憶に残っている出来事を、ぽつぽちと並べていきたい。

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まず父。

父の挙動がおかしかった。

母がそうやって入院していたある日、父は近所の寿司屋で外食し、外食そのものはまだ良いが、飲み過ぎて寿司屋の店主に家まで送ってもらった末、入院している母の携帯に電話を掛けてきて、「今酒を飲んでいるんだ。」と言ってクダをまいたのだ。

病院に行った母に、その話を聞くと、父はしらばっくてれていたが、何しろ同じ町内の寿司屋のご主人が一緒にいて、母に状況を伝えたので、父の所業は筒抜けだった。

私は当然呆れ果てて、その話を聞いて父に真偽を尋ねたが、

「ううん?そんなはずはないなあ。」

と言ってしらばっくてれていた。

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だが、別の日。

私がある日、昼過ぎに病院に行くと、母の病室に父がいた。

それは良いのだが、母が実家が心配だと言うので、父も乗せて帰宅しようかと言うと、父が拒否した。

病院のすぐそばのホテルに宿を取ったので、宿泊して翌日帰ると言う。

実家の様子を見て欲しいと言う母の希望(父が火の元をちゃんとしているか不安だったらしい)で、私は父を置いて帰り、翌日、帰宅するときには駅まで迎えに行くから携帯に電話するように言った。

その駅から自宅まではタクシーを使えば三千円を超えるし、バスで帰るのは大変だろうと思って言ったことだが、翌日、何時になっても父は連絡してこなかった。

昼過ぎて、父と母の携帯に電話したが父は出ず、母が「お父さんなら朝来てもう帰ったよ。」と言った。

夕方、実家の片付けをしながらあまりにおかしいと思って父の携帯に電話すると、やっと出た。

「帰るとき迎えに行くけん電話しって言っとったやろ。

今どこにおるん。」

聞いた私に、父が言った。

「あー。

カレー屋にいる。

あー。

そうか。

梨(仮名)は、帰ってきてたのか?

そうか?」

……昨日のやり取りは?
子供が帰ってきてるの、昨日の今日で忘れるか?
完全にボケてるな?

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さらに別の日、兄が来て、母には聞かせたくないので(病院への対応で不安にさせたくなかった)、兄と私と、それに父で昼飯に行こうと言う話になった。

父は自慢げに

「いい店があるんだ。」

と言って歩き出したが、その足取りはあやふやで、その時点で私と兄は不審さに黙って目を見合わせた。

連れて行かれた先は、いい店とは言うが、三本ほど通りを離れた回転寿司で、まあ回転寿司でもいいのだが、父の応答がこれまたおかしかった。

全般おかしかったのだが、実は脈絡のない会話というのは案外と記憶に残らない。

ただ、おかしかった会話の一つとして強烈に記憶に残っているものが一つ。

醤油いる?」

「ああ、ここは結構美味しいぞ。」

応答になっていない。

耳が遠いのかと言う返事だが、そのほかにも挙動が怪しかったため、兄と私は、そのあたりで、父親が完全にボケているという認識を持つに至ったのだった。

後、こういう状況を聞くと、「お父様もお母様が心配で動揺なさっていたんでしょう。」と擁護に入る人がいるのだが、正直それも勘弁して頂きたい。

母が入院している最中に外食しまくってフラフラしたり、通帳残高をマイナスにしたり、実家(母の所有)を売り払うためのチラシを隠し持ったりするような男なので、父についてはあまり相槌を打ちたくないのだ。

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話を病院に戻す。

病院については、母の手術が失敗するまで、私たちはテレビにも取材されたことのある心臓カテーテルアブレーション手術の権威「神の手」の異名を持つ医師がいる信頼のおける病院という情報しか知らなかった。

だが、実は私の実家からは100キロ離れたこの病院は、むしろ母の実家に近く、母の妹夫婦が近隣に居住していた。

母の手術の件を聞いて見舞いに来た母の妹(私の叔母)がもたらしたのは、その病院に関する真っ黒な噂だった。

噂は噂だが、私がそれを「聞いた」ことは事実なので、噂は噂として、事実は事実として、敢えてここに記す。

噂①:その病院の土地は、元工場なので、土壌汚染地区として住居や病院が建てられるような場所ではなかったが、上の土地をちょろっと浚って、除染完了ということにして、院長が格安で土地を買った。院長は、病院を法人にして、病院に土地を貸し出す形で借地代を取っている。

事実①:その病院は工業地帯のど真ん中に立っている。


噂②:奥さんが趣味で描いた絵を高額な値段で病院で購入して飾っている。

事実②:病院の廊下のあちこちに、素人の手になると思われる絵が飾られていた。(最初は寄贈だと思っていた)


噂③:最上階の個室はスイートルームで、各国の王族や要人だけはベテラン医師が手術している。その家族は、病院が誘致した近隣の高級ホテルのスイートルームに宿泊するのだ。

事実③:病院の最上階の個室の値段は37万円であった。(あと、地方都市にそぐわない高級ホテルも確かにあった)


噂④:この病院は、ベテランの医師はどんどん余所に出して、全国からインターン待遇で若手の経験の少ない医師を箔付けを餌に呼び寄せ、安い給料で働かせている。

事実④:噂を聞いて、当時、私はインターネット上の病院公式ホームページに記載されている情報を調べた。確かに、研修医を募集しており、その給与は、「近隣の病院の当直などを紹介しますので600万円は一応あるでしょう。」(要約)という書き振りだった。

正式な医師で、600万?それも当直医に出張に行って?
勤務医でも最低1000万は超えるだろうと、あまりのことに唖然とした覚えがある。

今確認したらそのページはもうないようだ。体制が改善されてるのを願うばかりだが、具体的に病院のひどかった話は、申し訳ないが次回に送る。

一応第一次ペースメーカー事件が一番ボリュームがあるので、重たい話になるが、お付き合い頂きたい。

(続く)


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高梨
投げ銭歓迎。頂けたら、心と胃袋の肥やしにします。 具体的には酒肴、本と音楽🎷。 でもおそらく、まずは、心意気をほかの書き手さんにも分けるでしょう。 しかし、投げ銭もいいけれど、読んで気が向いたらスキを押しておいてほしい。