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【ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団】史上最悪の学校生活と最愛の人との別れ

引き続きハリー・ポッターシリーズについて語らせてほしい!の記事です。「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」では、魔法省がホグワーツに介入し、最悪の教師アンブリッジが生徒たちを支配し始めます。これまで楽しかったホグワーツでの生活が一変して地獄になってしまうおそろしさといったら…!

「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」の感想文は⇩

ここからは「賢者の石」から「死の秘宝」までの小説と映画、「呪いの子」の脚本、「ファンタスティックビースト」シリーズの映画に関するネタバレがあります。未読、未視聴の人はご注意ください!


不死鳥の騎士団復活

ヴォルデモートが再び力を取り戻したことで、対抗勢力である不死鳥の騎士団も復活します。しかし、何も知らされずダーズリー家に缶詰めにされているハリーはストレスとイライラを募らせていました。

「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」は、ダンブルドア言葉足りなすぎ問題が勃発する巻ですね。誰よりも偉大で誰よりも賢いダンブルドアですが、人よりも多くのものが見えてしまうあまり、誰にも言えない秘密もたくさん抱えています。そして、何より時間がない!ダンブルドアにしかできないことが多すぎて、誰かに指示を出すときにいちいち説明している暇がないんです。だから、とにかく自分を信頼しろ、そして言うとおりにしろという言い方になっちゃうんですね。

ダンブルドアが自分の計画を成功させるためにいろんな人を思い通りに動かそうとするのは昔からのことで、ファンタスティックビーストシリーズでもそういうシーンが度々出てきます。そして少なからずそれにうんざりしている人もいるというのもたしかで、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」ではそれが形となって表れてしまうんですね。

そしてハリーの嫌なところも見えてしまうのがこの巻。スネイプに散々傲慢だ目立ちたがり屋だと言われてきたハリーですが、これまで人とは違う経験を重ねてきたからこそ、自分は人よりも優れているはずだという感覚がさらに強くなっています。

ハーマイオニーやロンが自分よりも多く情報を持っていたり、自分よりも重要なことを任されるのはおもしろくないし、大人たちから子ども扱いされるのは不当だと考えています。そして前々から見え隠れしていたことですが、ハリーはハーマイオニーに説教をされるのがめちゃくちゃ嫌いで、それがどんなに正論でも絶対に聞き入れません。心の奥底では常に自分の方が正しい、自分は同級生にはできないことを成し遂げてきたと思っているところがあるのに、人前で褒められるとそんなこと思ったこともないという態度を取るのは謙虚といえるのかどうなのか…。そんなハリーを見て、スネイプの言っていたこともあながち間違いではないなと思ってしまいました。

そしてどんなに嫌がられてもハリーのためを思っていつも説教してくれるハーマイオニーは貴重な友人だと思います。逆にロンはハリーに対してコンプレックスがあり、ハリーに嫌われることをちょっと恐れているところがあるので基本的にはイエスマンです。もしハリーにハーマイオニーというストッパーがおらず、周りがイエスマンの取り巻きばっかりだったら、ドラコやジェームズやダドリーのようないじめっ子になっていた可能性もあるなと思うんですよね。

パーシーの反抗期

ウィーズリー家にも危機が訪れます。三男のパーシーが父アーサーと大喧嘩して家を出て行ってしまうのです。ホグワーツを卒業したパーシーはアーサーと同じ魔法省に就職しますが、アーサーとは違い出世を望んでいました。しかし、マグル贔屓のアーサーのことを見下している人間も魔法省には少なくなく、パーシーはそんなアーサーの息子だということで嫌な思いをすることもしばしば。そこで反抗期モードに入っちゃったんですね。

またタイミングも最悪で、ダンブルドアが宣言したヴォルデモート復活を魔法省は真っ向から否定し、ダンブルドアと不死鳥の騎士団を噓つきに仕立て上げ排除しようとします。魔法省で出世したいパーシーはダンブルドア陣営だということが明らかな父とは決別するしかなかったのです。

とはいえ、勉強を頑張って!優等生で卒業して!いいところに就職して!という教育をしてきたのは母のモリーなわけで、パーシーは真面目にその道を行こうとしているだけなんじゃないかと思わなくもないです。貧乏大兄弟の三男として優秀な兄たちに負けないよう、やんちゃな弟たちの手本となるよう、両親の期待に応えようと頑張っているパーシーのことはどうしても嫌いになれません。

ロンが監督生になったことを知ったロンのママが「これで子ども達全員だわ!」といった時のジョージの「おれとフレッドはなんなんだよ。お隣さんかい?」という返しが好きで、この優等生こそ正義という教育方針の中でフレッドとジョージがグレずにまっすぐ育ったのは奇跡だなと思いました。成績以外のところも見てあげて…!ママ…!

アンブリッジによる恐怖政治始まる

今までハリーにとっても読者にとってもホグワーツは楽しくてワクワクする場所だったのに、アンブリッジが来たことで地獄へと様変わりします。アンブリッジのことは360°どこから見ても大嫌いなんですが、何より許せないのが体罰の罰則です。書いた文字が手の甲に刻み付けられる羽根ペンの醜悪さには吐き気がしました。この時ハリーが刻まれた傷は2年経ってもまだ残っていますからね。許せないです。

ハリーから闇の魔術に対する防衛術のレクチャーを受けるために組織されたダンブルドア軍団も、アンブリッジに見つかりひどい目に遭わされます。ダンブルドア軍団の存在を密告したのはチョウの友達のマリエッタでしたが、そもそもチョウには、最初から乗り気ではないマリエッタを無理矢理連れてくるんじゃない!と言いたい。ハーマイオニーがかけた裏切り者をあぶり出す呪いによって顔に吹き出物を刻み付けられたマリエッタ。これ本当に消えないんですよ。マリエッタの顔には次の年の新学期になってもまだ傷跡が残っていました。怖いですねぇ。ダンブルドア軍団の招集を伝える偽のガリオン金貨のアイデアといい、どんどん冴えわたるハーマイオニーの魔女としての能力には感心します。

そして外の世界では死喰い人デス・イーターの集団脱獄があり、魔法使いやマグルが惨殺される事件が相次いで起こるように。何がおそろしいって、ホグワーツには死喰い人デス・イーターの子どももたくさんいることです。死喰い人デス・イーターの子どもと死喰い人デス・イーターに家族を殺された子どもが一緒に生活しているという歪さに震えます。

ダンブルドアがいなくなってからのアンブリッジはさらに増長します。権力にすがりつき、ハグリッドやマクゴナガル先生を卑怯なやり方で排除し、生徒に磔の呪いをかけようとします。そんなアンブリッジの最後にはスカッとしました。よくやった!ハーマイオニー!

フレッドとジョージの商才が覚醒

フレッドとジョージはこの年にホグワーツを退学します。2人はハリーにもらった1,000ガリオンで悪戯グッズの研究と発明を続け、悪戯専門店を開くための準備を進めていました。

テストの結果は散々な2人ですが、学校教育という場が肌に合わなかっただけで魔法の知識と扱い方はピカイチ。実際、彼らが発明した悪戯グッズには高度な魔法が使われています。

ホグワーツで市場調査と商品の宣伝をみっちり行い、学校を飛び出したフレッドとジョージ。翌年には悪戯専門店「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ」をオープンするからたいしたものです。しかも特許をバンバン取って、通信販売サービスを立ち上げ、ガリオンをがっぽがっぽ稼ぐ大起業家!ビルやチャーリーやパーシーとは違った形ではありますが、双子だってちゃんと優秀なんですよ!ママ!見てる?

今までいろんな悪戯をしてきたけど常に退学にならないための一線は守っていたところや、最後にアンブリッジを散々やり込めて英雄になって去っていくところ、ポルターガイストのピーブスの尊敬を勝ち得たことなどなど、どこを取ってもかっこいい双子でした。

フレッドとジョージがゲーゲートローチの宣伝をしているシーンで思ったんですが、消失呪文で消したものっていったいどこに行くんでしょうか。ハーマイオニーが魔法薬の授業の終わりに掃除をするときにも使っていたこの呪文、消失した先には恐ろしいものがたくさん溜まっている気がして怖いです。

ドビーのことがどんどん好きになる

「ハリー・ポッターと秘密の部屋」で散々ハリーを困らせたドビー。映画ではしばらく登場しませんが、小説ではこれまでも頻繁に登場していました。マルフォイ家から自由になったドビーは、その後ホグワーツで働きはじめます。ハリーの役に立ちたい、ハリーのために働きたいと奮起するドビーは頼もしくて愛おしいです。

ハリーの初恋

チョウ・チャンのことを密かに思い続けてきたハリーですが、ここにきてやっと思いが通じます。しかし、去年はセドリック・ディゴリーと付き合っていたチョウは、セドリックの死を乗り越えられないままハリーに気持ちが動いていることに罪悪感を持っていました。

情緒不安定なチョウと過ごすうちに、女の子って遠くから見てるときはかわいいけど近くに来たら面倒だな…と思うようになるハリー。大丈夫、チョウは女の子の中でもだいぶ面倒なタイプだよと言いたくなりました。そんなハリーに女の子目線でのアドバイスをするハーマイオニーが頼りになります。ティーンエイジャーの男の子ばかりで集まってどんなに考えても女の子の気持ちなんて一生わからないことは間違いありません。でもチョウからするとそんなハーマイオニーとハリーの距離感は気に入らないらしく、より一層関係がこじれてしまうんですよね…。

シリウスとの別れ

「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」の終盤では、シリウスが死んでしまい、その喪失に打ちひしがれるハリーが痛々しいです。しかもシリウスの死は避けようと思えば避けられたというのがつらい…。シリウスがクリーチャーに優しくしていたら、ハリーがシリウスへの伝達手段に暖炉ではなく両面鏡を使っていたら、真っ先にスネイプを頼っていたら…。後悔ポイントがあまりにも多すぎてハリーを慰める言葉が思い浮かびません。

そう、シリウスはハリーに両面鏡を渡していたのです。対になっている両面鏡は、遠い場所で過ごす2人が片面ずつを所持することで連絡手段になります。でもハリーはこの鏡の存在をすっかり忘れていたんですね。なんてこっただよ本当に…。ハリーがシリウスを失った悲しみを引きずったまま、物語は「ハリー・ポッターと謎のプリンス」につながっていきます。

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」の感想文は⇩

「ハリー・ポッター」シリーズの小説はサイズ違い、デザイン違いで複数出版されています⇩

最終巻のその後を知りたい人はぜひ「ハリー・ポッターと呪いの子」を読んでください⇩

映画ファンには20周年同窓会企画の動画もおすすめです⇩

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