海の声が聴きたい。
海の声が聴きたくなるときはどんなときだろうか。
海の声が聴きたい。何かに絶望してるとき僕は海の声が聴きたくなる。
遠い海。物淋しい海。人気のなくどこか色素の薄いような、はっきりしない曇天のしたにずっしりと横たわる深く暗い海。
視界の先に感動は何もなくて、何もかも淀んで見えて、綺麗なものを捉えられなくなったとき、僕は海が見たくなる。
僕の凍りついた心にそっと寄り添ってくれるような荒々しくもどこか繊細さを帯びた海。
魂の叫びを僕は聴く。海の泣き声。海は目の前で悲痛を訴える。すべての悲しみと孤独を海が包み込む。
僕の絶望が海のそれを前にすると、ひどく馬鹿馬鹿しいものに思えてくる。
海は泣くことしかできない。
僕は泣くことすらできない。
海が代わりに泣いてくれてる。
そんな気がした。二月の寒空の下で。

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