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ももまろさんへ 創作大賞感想

 このたびは、今回の創作大賞で書かせていただきました『糸』の感想をいただきまして、ありがとうございます。
 とても、うれしく思います。

 遅ればせながら、私も、それぞれの感想を書かせていただきたい、と思います。

 単なる感想で、本当に申し訳ないことではありますが……。

 どうぞ、よろしくお願い致します。

              ※

『夢見るようなあたたかな日々』
 それぞれの視点で進められていく文章は、それこそ、客観、というものからは遠く、各々が各々の視点、主張――もっと言うと、すべての人が、自分のことしか考えていないようにすら感じる、そんなことを思った。
 
 それは特に、最後の章を読んでいて、改めて感じた。

 死、というのを目の前にしてさえ、それらはすべて他人事であり、自分に害がなければ――仮に少しの間あったとしても、日常が戻ってきてしまえば簡単に切り捨てられるようなもの。それは特に、相手にどういう気持ちや想いを持っていたかにもよるかもしれない。
 それでも、それでも……。

 人というものは、怖い、ものだなぁ、と思う。

 タイトルの、夢見るようなあたたかい日々、それがまた怖さを助長させているようにも感じた。

 トリックに関しては、そんなことできるんだ、とすなおに思ってしまった。自分にあまりに知識がなく、全然想像がつかなかった……。

『禁断の檻から流れる水』
 初めに窓ガラスでキンクマが目撃した場面やその後の儀式は紛れもなくホラーの印象を受け、この先、もしかしたらキンクマたちも襲われてしまうのではないか、とハラハラしておりました。
 
 その後の話しの中で、ある意味ではホラーよりも恐ろしい、人、というもの。人に秘められる、性、癖、そして――特に、私には一番恐ろしいものであるが、家族、というもの。

 存命であるにもかかわらず、その想いを残し、思念となってさまよいながらも、今、強く、生きようとしている――いや、生きている、輝いている、その事実が、私にとっては、強く印象に残った。

『俺の危険な感情移入』
 人は見た目がすべて、という、それだけでしか見えていない世界で、自分たちが正しい、と思いこんでしまっている。まさに、危険だと思う。

 個人的には、そもそも、何も知らないでいる人のことを勝手にネタにして自分たちで楽しんでいることそのものが、そもそもどうなのか、と感じる。そうしてそんな自分たちを正当化しているのが、なんとも。

 そうした物足りなさをラムネで表現しているのが、とてもよかった。

 文章から思考が入りこんでくるようで、すっと、読めた。
 実際に、そんなふうに感じられるほど、二人のキャラクターも立っているように、感じた。

『仕事は生活です』
 読んでいて、とても心惹かれた。

 仕事をしていく中で、信頼と信用ほど、大事なものはないと思う。それに合わせて、相手を理解する気持ち、相手の気持ちを尊重して話しをする気持ち、敬意、というものが、コミュニケーションには必要だと思っている。

 山下さんも、立花さんも、それらを意識していると感じる。のに、

 あんなふうに貶され、追い詰められ、心が病んでいく……。

 読んでいて、本当に、悲しくなった。

 もちろん、部下である内野さんたちもどうかと思うが、その上司である方々が、本当に何も見ていないし、何も知らないのに、判断してしまうこの感じが、あまりにリアリティがあり、怒りがこみあげてくる。

 正直に言えば、内野さんがこれから破綻していくさまが見たい、と思うほど、最終章の立花さんみたいな思考に陥ってしまうほど、嫌悪感を抱いてしまったのだけれど、日向さんの言うように、だからといってそれをしていい(望んでいい)わけではない、のだろう。

 人の怖さをより実感する、小説だった。

『覚醒へのプレリュード』
 こんなふうに、救いがあるのなら、いいのに。
 そんなことを感じた。

 出会い、というものは不思議なもので、いいものも、もちろん、悪いものもあって、それを選べるわけでもないし、仮にそれがどちらであっても、運命でもある、偶然でもある、そうして――それは、すべて、自分が選ぶもの、でも、あるのだろう。先に書いた言葉と、矛盾しているかもしれない、けれど。人は、きっと、都合よく解釈をしてしまう。人との出会いはたしかに、選べないものかもしれない、けれど、そこから実際にかかわったり、つなげたりしていくのは、それが無意識にしても、自分、なのだから。

 そうして、きっと、つかみ取ったものも、あるに違いない。

 私としては、暴力から解放されて幸せにつながる(かもしれない)道を選べたのなら、安心を覚える。そんな、安心を、した。
 
 そうして、読んでいて、コロナ、というものの大きさを改めて感じた。実際に、小説を書いたり、読んだりする中で、コロナを意識していることはないし、コロナ以前(そう思ってしまうのもなんだか、と感じるけれど)のほうが長く生きているのに……。なんて、影響が大きいのだろう、と。そんなことを、感じた。

『ペトリコールの共鳴』
 キンクマ――かわいい。
 ありがとう、キンクマ。

 きっと、みんな、誰もが、望んでいる。
 かもしれない。

 こんな救いを与えてくれる、存在。
 こんな癒しを与えてくれる、存在。

 ありがとう、キンクマ。
 ほんとうに、かわいい。

 ……こんな感想で、申し訳でないです。

『詩を奏でる本能的直感』
 読んでいて、とても美しい、と感じた。
 締めくくりに、本当に、よいものだと。

 こんなに、惹きこまれるものが多いのは、とてもうれしかった。

 ありがとう、ございます。

               ※

 とても、惹きこまれるような文章ばかりで、楽しいものでした。
 ありがとうございます。
 
 読解、というよりは、ただの感想程度で申し訳ございません。

『糸』に関しても、あそこまで、様々なものを読み取ってもらえるとは思ってもみませんでしたし、私が書いたものでそんなふうに伝わった、ということそのものが、とてもうれしいことでした。

 私はまだまだ、読解力に関しても未熟もいいところで、感想程度で申し訳ないことです。

 精進、して参ります。

 どうぞ、これからも、よろしくお願い致します。

  


いつも、ありがとうございます。 何か少しでも、感じるものがありましたら幸いです。