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詩を奏でる本能的直感【2024年創作大賞】

                強くならないと
      
        本当の意味では誰も救えない

   強くならないと

        
         ー 春 ー

新緑の波間を散歩

青空は
天宮から降り注ぐ恵みだね

心地良い風が今日を包む

爽やかな気分な五月の日々
花々が愉快に、新緑は跳ねる
鳥の声が耳へ軽快に響き
この瞬間を丁寧に進む

薫風によって心は開放され
五月晴れは「どうにかなる」望みを与える

美しい季節を共に楽しもう

心地良い言葉がひらめき
多幸感を胸に歩み続ける


         ー 夏 ー

炎天下に溶けゆく影
猛暑が肌に刺さる

浜辺で聞こえる子どもたちの笑い声
夏ならではが 気持ちを満たす

あさがおが鮮やかに咲く
ここにも夏ならではの美しさが溢れる

海に広がるきらめき

遠くで聴こえる船の汽笛
音が思い出を運ぶ

海鳴りの音 波打つ心を奪われる瞬間
切なさがわたしを揺さぶる

「嫌いな人のようになりたくない」

過剰なエネルギー配分を置いている

暑い日差し
夏に溶け込む甘い罠を胸に感じて

海の波は素敵だけど
気分の波って言うと気分屋って認めたくない
暑いからって誤魔化そうかな

         ー 秋 ー

『感謝』を口にするだけなら、ナンボでも言え

人様へ「感謝しています」
告げたところで、板につかない言葉は上滑り

棲家も食べ物も神さまが与えてくれたのだから
神さまに感謝せよと言われても
神さまはそんなことを望んでいるのか、分からん

感謝は
「わたしは何を希望しているか」
ここを明瞭に自覚しないと得られないと思う

希望している物事を手にして実感でき、満足し
逆に、当然だと思っていた物事が手から離れて
芽生える感情が『感謝』

けして当たり前じゃないから、有り難い

人は誰かに言わないだけで
何らかの苦難があったと想像したら
わたしへ優しくしてくれたことに感謝する

人生、順風満帆とは行かないからさ
平穏な日がいかに幸せか
普通と呼ばれるものがいかに大切か
痛みを知るから感謝に繋がる

         ー 冬 ー

儚き者よ
静謐の隙へ眠る
五感は緩やかになくなり
際限ない暗闇が迎える

振り返ると運命の淵が見え
足元に拡がる自由は果てしない

人々の祈りに心を委ねなさい

今は笑っていればいい
好きなことを好きなだけし
我慢から解放して

永久の安寧に身を任せ
飽きたころ
新しい命(めい)を掌で掬い
旅立ちを決めなさい

儚き者よ
安堵の天に眠れ
陽の光、月の光
射す方へ気の向くままに歩いてゆけ

      
     ー あのころはのぞみ ー


赤い風船に手を伸ばす
黒い影の少女は
いつか
赤い愛に手を伸ばし
まっさらなひかりが
黒い心を溶かしてしまう

あなたの持つ花束を覗き込むと
蕾は硬く閉ざされ
触ると朽ちてしまいそうだから
そのままにしておくよ

桜の花弁が空気間で遊ぶころ
あなたの目を見て
わたしは言うの
愛してるって

こんな日が来ればいいと
まだ秋が残る中庭で
紅葉を拾いながら思ったの

     
     ー ともだちは要らない ー


人の感情へ振り回されたのではなく
人に自分を合わせようとしているから
絶望感や座礁した気分に陥る

無意識に不特定多数から認められたいと願う自分がいて、無いものねだりと気づく自分がいる

人は誰かに認められたいと思う感情
誰からも認められないと思い込んだら
生きて行くのがとても辛い

不特定多数に認められようとするのではなく
わたしが
「この人」だと決めた人にだけ努力する

あるがままのわたしがいて
人がボロクソに言おうと変わらないわたしはいる

わたしが自分を受け入れるから、いい


   ー お利口がいると疲れますよね ー


明け方、正義を考えてみた

「正義ってなんだろう」

自分の中へ正義について考えなければ
無関心になってしまう自分がいる

世論が炎上していることを知らなかったり
見ないふりをしてしまうけれど

自分の信じる正義を貫くには努力しなきゃね
不幸と火の粉は、努力しなくても
自動的に飛んでくる

不器用なりに、誠実さで他人との関係を築き
見よう見まねで、丁寧に積み重ねて
知恵がないけど、幸せを手に入れていきたい
目標と理想は持っていたい

テキトーに済ませることやお茶を濁す程度で
手先を動かし誤魔化してなんとかなるほど
人間関係は甘っちょろくないし、人生は短くない

この程度で手に入るものは
ちゃちで脆かったりする

自分なりに一生懸命やるしかない
そんなことは分かっていて
和解する時間より他人から離れる選択など
賢い相手は総じて波風を立たない

最小限の欲でやっているつもりだけど

相手の思い込み、勘違い、我儘、短慮、物忘れ
悪魔だとか、徒党だとか、見えない者が見える人
正面から否定すると激昂し
やんわりと遠回しに伝えても激昂する

一時の感情によって野蛮な振る舞いは
それによって何も解決しない

わたしは非常に疲れて倦怠感が増す
様子を見ている第三者も嫌な気分になる

こういった疲労も、わたしが無関心や
はぐれメンタルになる理由

ああ、潔く他責にしますよ
タガが外れた動物はいますもの

お利口がいると疲れますね

他人の気持ちを考えずに見えるものは、なに?
希望的観測はあくまでも自身の願望と投影

個別に様々な意味を考えるより
まずは前を向いて歩こうか

きっと何か思うことがあるんじゃないのか
今はそう考えている

  
   ー孤独を受け入れ、穏やかに過ごすー


「もしかしたら自分だけがこんな思考かも」
「これの感覚を理解してくれる人がいるかな」
「好きな感触」

しとやかな猫の毛に包まれるような
風通る縁側で本を読んでいるような
無邪気な犬のあくびを見ているような

わたしだけだろうなって孤独を覚えたとき

誰にも理解されない独りぼっちの底に沈み
暗がりで一人迷い続けている

ふと見つけた小さな灯り
それは
自分と同じ感性を持つ人への希望の温もりだった 

  
  ー 他人はそれほど 人を気にしてない ー


誰かに必要とされたい
誰かに特別と思われたい

先に悲しいお知らせをすれば
他人ってのは、自分がどれだけ人格者でも
反対にダメ人間街道にいても
それほど気をしてないのよ

気にするとすれば、実利を与える人より
損や危害を加えた人を意識する

「誰からも必要とされてない孤独だ」
自分を傷つけているのは、常に自分

何かに努力したとき、成功したとき
気持ちにすきま風が入ったとき
他人に見て欲しいかもしれん

でも、見て欲しい願望を持ち続けると疲弊する
他人はそれほど、人を気にしてない

誰かに必要とされたい
好きな人に必要とされたい

わたしもメンタルが落ちたとき
「ひとりぼっち……」途方に暮れる
SNSを見て、誰かが誰かと絡んで楽しそうだと
「わたし、孤立してんな」

しかし、大好きな服屋や本屋、美術館に行き
自分のペースで見て歩ける自由がある
画像を撮影しているときは、邪魔されない

他人から承認されたくても
大量の楽しいや大量の美しいに触れていると
誰かに必要とされるのもいいが
自分が自分を必要としているのに気づいて
今ある自由が、孤独や孤立で
担保される幸福を手に入れたと思い直す

他人から求められたい、施されたい
自分のみの幸せを重視し、自分のみの利益追求
これじゃ生涯必要とされないなと自分を笑う

他人の幸せを願い、何かの役に立ちたい
わたし、どれだけ施したのか振り返ると
リターンがあるだけのことはしてない

もちろんわたしに見る目がなくて
わたしが失敗したらさっさと離れた人もいる

コイツらに復讐する意図で言うと
「あなた達って
甘い言葉や優しさを他人に求めて
自分から慮ることができない輩」

こうなったら嫌われ者の境地を極め
とことん迷惑をかけて生きてやる

わたしから見たら、必要としてないどころか
「くたばれ」と思っているクズ達が
楽しそうにしているのを横目に
わたしも人生を楽しまなきゃなぁって

誰かに必要とされたい
誰かに特別と思われたい
この願望を欲するときは
大体にして自分の気持ちが精一杯のとき

余裕がないときに必要とされたら
共倒れするからね

自尊心を他人に任さないの
それが群として生きるモノの本能だとしても

   
    ー 詩を奏でる 本能的直感 ー


世界の彩りは
喜びと憂いが交差して起こる

ひと降りの雨に命の尊さ
ひと降りの雨に命の脆さ

濡れた路地に広がる静寂
生命の途上で息遣いを交わし
死の時が迫り
そして死を見送る

生を待ち集う人々の笑みや涙
雨に打たれ濡れても
それぞれの魂がここに宿る

喜びが宙に舞い上がる
雨が祝福に変わる
心が潤い輝きを生む

傷みが芽生える懐
喪失の痛みが心に刻まれる音
飽和が涙となって落ちる頃

前が見えぬ水の仕切りが去った朝

雨の匂い、土や草木の香り
子どもの笑い声、鳥のさえずり
濡れた街路の感触、猛暑を縫う冷たい風

一夜の豪雨が被せたものを掘り出す作業

雨駆ける生命の神秘をまとい
人の喜び 人の憂い 人が人であること
詩を奏でる 本能的直感

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