見出し画像

それは

 それは、本当のことなんだよ。

 ぼくは、見たんだ。

 たしかに、この目で、見たんだ!

 信じてくれないかもしれないけれど。

 それは、本当のことなんだよ。

 いつも、だれもぼくの言葉なんて聞いていないから、信じてくれないのかもしれない。

 けれど、本当なんだ。

 今回ばかりは、聞いてほしい。

 でも、だれもぼくのことを信じてくれない。

 みんな、みんなあいつのことばかり信じて、ちっともぼくの声に耳をかさないんだ。

 なんでなんだ? なんで、なんでだろう?

 ぼくは、本当に見たんだ。

 窓ガラスを割ったのも、ちーちゃんを突き飛ばしたのも、その他にもたくさん、あいつがやったことなんだ。

 ぼくは見た。

 この目で、しっかりと見たんだ。

 あいつは へれっ として、みとめないけれど、全部あいつがやったんだ。

 なんで、だれもぼくのことを見てないの?

 ぼくの声なんて聞こえないみたいに……。

 あいつはたしかに、ともだちも多いし、クラスの盛り上げ役で、先生からも慕われている。

 ぼくは……。

 でも、本当に、見たんだ!

 本当なんだよ、うそなんて、ついてない!

 なんで、なんで、だれも、信じてくれないの?

 なんで、なんで、だれも、聞いてくれないの?

 ぼくは見た、ぼくは見た!

 ぼくは、見たんだ!

 お願いだよ、他にもたくさんあるんだ。

 聞いてよ。

 聞いてよ……。

いつも、ありがとうございます。 何か少しでも、感じるものがありましたら幸いです。