課題、提出いたします。

月に2回、800字の文章を書き続けて7年。2022年6月に教室は終わってしまいました。…

課題、提出いたします。

月に2回、800字の文章を書き続けて7年。2022年6月に教室は終わってしまいました。 課題を送るときのメールタイトルは「課題、提出いたします」。 拙いですが提出した課題や日常の雑感を公開していきます。 かなりプライベートな内容もあるので、ちょっと恥ずかしい(*ノωノ)

最近の記事

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プロフィール

まえさわりな 1984年生まれ、岩手県盛岡市在住。三児の母。 2014年10月から市内の文章講座に通っていましたが、 2022年6月に終了してしまいました。 もう一つのアカウントで取材記事も公開中。 興味のある方はぜひお立ち寄りください。

    • プリズン・ブック・クラブ

      プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年 紀伊國屋書店 アン・ウォームズリー 著 向井和美 訳 ざっくり紹介● 本を通じて、囚人たちは自らの喪失感や怒り、孤独、贖罪について吐露し、異なる意見にも耳を傾けることができるようになっていく。カナダの刑務所内で開催される読書会を中心に、人間の変化を描くノンフィクション。 ざっくり著者紹介● イギリス出身。全米雑誌賞を4度受賞したほか、カナダ・ビジネス・ジャーナリズム賞、およびインターナショナル・リージョナル・

      • 福島県いわき市モニュメント「きみと」

        福島県いわき市勿来(なこそ)地区にある 岩間海岸のモニュメント「きみと」。 「私たちの(き)記憶を(み)未来に(と)共に届ける」 という意味が込められています。 東日本大震災の記憶を次世代に残したいと、 地域の津波被災者642名が体験を語り、 音声や映像として記録。 それらを納めたタイムカプセルが、 モニュメントの下に保管されています。 2018年9月に設置され、震災から20年後の 2031年3月11日に掘り起こされる予定です。 海岸では釣竿を担いで歩く釣り人や 天気が悪か

        • 五味太郎作品展「絵本の時間」3

          五味太郎さんは350冊以上の著作を持つ絵本作家。 サンケイ児童出版文化賞や ボローニャ国際絵本原画展賞など 国内外で高く評価されています。 と、プロフィールは書いてみたものの 私自身は「小さい頃これ読んだ!」という 思い入れのある作品は、たぶん、なく 自分が親になってから知った作家さんです。 色使いやデフォルメ、構図と もう全部のセンスが良過ぎます。 この展覧会は、原画展。 私と同い年の「ばったくん」をはじめ 「百人一首ワンダーランド」「ことばのいたずら」 「くじらだ!」「

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          鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

          鳥類学者だからって、 鳥が好きだと思うなよ。 新潮文庫 川上和人 著 ざっくり紹介● 鳥類学者である著者による 「生き物を愛する人にも、 そうでもない人にも、 絶対に楽しめる、 汗と笑いの自然科学エッセイ」です。 1 看板に偽りあり クレームをつけたいわけではありません。 タイトルの重要性を改めて痛感しました。 という話です。 「このタイトルを見て、 鳥の悪口が書き連ねられているなんて、 思うわけがないだろう。 看板に偽りがあって当たり前じゃないか」 と皆さん思われ

          鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

          瓶のぞき

           佐々木龍大さんが取り組む正藍染めは、最小限の天然素材を発酵させて染める伝統的な技である。  約100日間、藍の葉を発酵させてつくるすくも、広葉樹の木灰、水。この3つだけで藍を建てる。「建てる」とは発酵や薬剤を利用して水に溶けない青色色素インディゴを水溶性に変化させ染液を「つくる」こと。建て方にも室町時代から続く「発酵建て」と産業革命以降に発明された「化学建て」とがある。現在は化学建てが主流だという。石炭由来の顔料から染める場合は「インディゴ染め」と呼ぶらしい。  1つの瓶に

          岩手山

           さわや書店のブックカバーで、宮沢賢治の「岩手山」という詩に初めて触れました。短い詩ですが、何度読んでも私には理解できませんでした。 そらの散乱反射のなかに 古ぼけて黒くえぐるもの ひかりの微塵の深みの底に きたなくしろく澱むもの  理解できないのは、私が詩を読み慣れないということもありますが、岩手山の印象が私とはまるで違っていたからでした。  2038メートルある岩手県最高峰の岩手山は、角度によって印象が異なります。八幡平市からは岩肌が露出し、火口の辺りも見えるため、荒

          絵本の記憶

           保育園の頃、寝る前は母に絵本を読んでもらっていました。  「よい子とママのアニメ絵本」シリーズというスーパーでも400円くらいで買える、ほぼ正方形の絵本です。世界の偉人伝やアンデルセン童話などから構成される「せかいめいさくシリーズ」と「にほんむかしばなし」シリーズの2つがあり、1冊46ページに1話が収録されていました。  「赤ずきん」「シンデレラ」「かちかち山」「鶴の恩返し」など何冊持っていたかは忘れてしまいましたが、眠るまで数冊読んでもらった記憶があります。  枕元のスタ

          温かな香気

           生まれて初めてテレビ電話を使った。先月の中旬である。相手は入院中の父だ。  数日前の朝、夜勤帰りの父が十二指腸潰瘍で倒れた。  茨城の母から突然のメールが届いたのは、その夜だった。入院したこと、その経緯、傷をふさぎ輸血をしたので大丈夫、とある。慌てて電話すると母はすぐに出た。腹痛はなかったが、最近の血便とめまいは気づいていた、という。腸にあいた穴から血が漏れて、緊急搬送されたとき体内の血液は半減していた。危ないところだったと医師は母に告げたそうだ。  小学四年の冬に母は再婚

          父と私

           最近は東北でも、両親の暮らす関東でも地震が頻発していて、そのたびに父と連絡を取り合っています。 「地震あったけど、大丈夫だった?」 「大丈夫。ありがとう」  普段は短い安否確認だけですが、10月8日夜に関東で起こった震度5強の地震では、いく分長いメッセージを送り合いました。翌朝、ニュースを見て連絡すると「線路の安全確認で電車が運休して、上野駅で足止めをくっている。夜勤明けの身体にはこたえるけど、自分も、茨城の自宅にいる母も無事だよ」。父からのラインで一安心したことを覚えてい

          コケモモジャム

           深緑色の硬いふたを開くと、ほのかな紅を宿した闇が詰まっていました。少しひるんでしまい、気持ちを落ち着けてから、改めてビンをのぞきます。  目を凝らすと、暗がりにはおもちゃのビーズに似た薔薇色のコケモモが、いくつも輝いていました。  甘味の少ない酸っぱいジャムで、本場フィンランドではミートボールに添えるソースに使われるそうです。日本では「リンゴンベリー」と呼び、輸入食品店で手軽に買えます。  コケモモジャムが食べたくなったのは、映画館通りで映画「TOVEトーベ」のポスターに出