100%超インフレで集団略奪が横行するアルゼンチン…救世主は極右の自由至上主義者?【TV TOKYO International】(2023年9月15日)

100%超インフレで集団略奪が横行するアルゼンチン…救世主は極右の自由至上主義者?【TV TOKYO International】(2023年9月15日)

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自由至上主義とは、個人の自由権を絶対的に重視し、それに制約を加える国家の役割を最小限度にとどめようとする思想です1。ミルトン・フリードマンは、自由至上主義の代表的な経済学者で、市場経済における選択の自由を擁護し、政府の裁量的な財政政策やインフレーションに反対しました2。彼は1976年にノーベル経済学賞を受賞し、多くの国々で政策助言を行いました2

アルゼンチンでは、1970年代以降、経済危機やインフレーションに苦しんだことで、自由至上主義への支持が高まりました3。1976年から1981年まで、アルゼンチンでは第一次新自由主義改革が行われましたが、これは金融面の国際化や対外債務主導のバブル経済をもたらし、通貨・金融危機に破綻しました4。1991年から1999年まで、アルゼンチンでは第二次新自由主義改革が行われましたが、これは通貨ペッグ制度や財政緊縮政策を採用しましたが、経済成長や貧困削減にはつながらず、2001年には再び通貨・金融危機に陥りました5

ナオミ・クラインは、自由至上主義がアルゼンチンをダメにしたと主張する本『ショック・ドクトリン』を書きました6。彼女は、自由至上主義の改革は社会的不平等や暴力を招き、国民の意思に反して強制的に実施されたと批判しました6。しかし、アルゼンチンでは、自由至上主義への支持は完全に消えたわけではありません。2023年8月に行われた大統領選挙の予備選では、独立系で極右のリバタリアン(自由至上主義)経済学者であるハビエル・ミレイ氏が予想外にトップに躍り出ました7。彼は、アルゼンチン版トランプとも呼ばれており、国家の介入や規制を最小化することを提唱しています8

アルゼンチンで自由至上主義が流行っている理由は一概には言えませんが、おそらく以下のような要因が考えられます。

  • アルゼンチンでは歴史的に政治的不安定さや腐敗が深刻であり、国家への不信感が強いため、国家の役割を限定することに魅力を感じる人々が多いかもしれません。

  • アルゼンチンでは経済危機やインフレーションが繰り返されており、通貨ペソの価値が急落しています。そのため、通貨安定化やインフレ抑制を重視する人々が多く、自由至上主義の経済政策に期待を寄せるかもしれません。

  • アルゼンチンでは経済成長が低迷しており、貧困や格差が拡大しています。そのため、経済活性化や所得向上を求める人々が多く、自由至上主義の市場原理に希望を見いだすかもしれません。

  • アルゼンチンでは新型コロナウイルスの感染拡大により、厳しいロックダウンや規制が行われています。そのため、個人の自由や権利を守りたいと思う人々が多く、自由至上主義の思想に共感するかもしれません。

以上のように、アルゼンチンで自由至上主義が流行っているのは、現状に不満や不安を抱える人々が多いからだと言えるかもしれません。しかし、自由至上主義は必ずしもアルゼンチンの経済や社会の問題を解決する魔法の杖ではありません。過去の経験からもわかるように、自由至上主義の改革はしばしば不安定さや不平等さを招き、国民の幸福度を低下させる可能性があります。そのため、自由至上主義に盲目的に従うのではなく、アルゼンチンの実情に合わせたバランスの取れた政策を探ることが重要だと思います。

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