SORACOM Discovery2023に行ってきた:IoTとカメラ

ここ最近、カメラを利用してオブジェクト認識にハマっています。
YOLOv8で姿勢推定するhttps://zenn.dev/collabostyle/articles/21ebb9ac52c744

YOLOを使ってオブジェクト検出と座標取得をしてみる

ということで、本シリーズラストはカメラに関する内容をご案内したいと思います。

ベイシアが推進するカメラ活用による店舗業務の省力化

ベイシアさんは、スーパーマーケットやスーパーホームセンターと呼ばれるカインズ、ベイシア電器やワークマンなど非常に多岐にわたる事業を展開されているグループ企業です。
私もお世話になっています。
そんなベイシアさんですが、カメラを活用した店舗業務の省力化を行われた事例を拝聴してまいりました。

商の工業化

として、店舗で「人でしかできないこと」に集中していくための仕組みづくりをすすめていらっしゃいます。
この仕組みづくりでは、現状の姿を正しく言語化、マニュアル化するだけではなく、より良いマニュアルへ改訂し続けており、業務フローの改善に常に取り組まれているということでした。
そうして作成・改訂し続けられているマニュアルは、現在ですでに3400件を超えていて、徹底したマニュアル化を行なっています。
これだけのマニュアルがあると、当然探し出すにも一苦労ですが、そこは検索タグ設定を行うとともに、閲覧端末もiPadを各店舗に4台設置しているそうです。
年間の改定率は15%ということですから、500件を超えるマニュアルが改訂されているという計算になります。
月間のアクセス数は25,000PVで、教育集中期間中は80,000PVにもなるそうです。
こうしてベイシアさんらしさである、おもてなしx効率化のある新しい業務フローを設計して、社内目線を合わせていくのだそうです。
どうりで店舗スタッフの方とは、どなたと話しても気持ちよく接してくれるわけですね。 その背景にはこうした努力があるとすれば、頷けるはなしです。

カメラ活用による店舗業務の省力化とは

ここまでお話ししたように、人でしかできないマインド面をも強化するマニュアル作りやその浸透などはデジタルの力も借りてDX化されていましたが、スーパーマーケットにはそのほかにも在庫管理などもあります。
とくに、生鮮食品などの取り扱いもあるなか、スーパーバイザーの方は店舗まで出向いて、商品の状態を確認して、今後の運営計画を立てる必要があるということで、非常に広いエリアを担当されているそうです。
つまり、単純に考えても移動時間などのコストがかかります。
これらをカメラ活用により省力化したのが今回の事例でした。
SORACOMさんにはソラカメと呼ばれるデバイスがあります。

このデバイスは、クラウド経由で映像の確認からパンチルト対応機では撮影場所の変更などができるカメラとなっています。
店舗内にこれを設置して、リモートから商品状態の確認をすることができます。
これによって、スーパーバイザーの方が、店舗まで出向かなくても、ざっと状況を把握することもできるようになったということでした。
これまで、クラウドカメラについては、例えば子どもやペットの見守りなど、一般家庭内での利用イメージが強くありましたが、こうして映像でリモートで確認できるようになるというのは(当たり前といえば当たり前ですが)大きなヒントを得た気がします。
単に見れるようになるだけでも多くのスーパーバイザーの方が喜ばれているとのことでした。

実録!ラーメン店の現場DX 30日の挑戦

と題した事例紹介です。
株式会社角川アスキー研究所さんが運営されている、「ラーメンWalkerキッチン」で、飲食店DXに挑戦した30日について発表いただきました。
アスキーの大谷イビサさんがモデレーターで、大変わかりやすい内容でした。
ラーメン店ということで、限られた予算の中でのDXです。
月のランニングコストは1万円以内に収めるという条件のなか検証されたそうです。

ソラカメによる来店客属性の把握

ソラカメから受信した映像は、データ送受信用のサーバーを仲介して、Amazon Rekognitionや、Rekognition Videoを用いた人数の把握に利用されていた。
が、しかし、のちに述べるボタンデバイスと比較して、検出率が17.5%程度と低く、期待した水準には至らなかったとのことでした。
これは、エントランスがガラス張りだったので、食券を買う人だけではなく、ガラス越しの通行人まで検出したことが原因で、クラウド側のコストが月25万円以上になってしまったとのこと。
属性分析に前処理を入れて顔写真の重複排除後の顔をもとに属性分析を実施する方針に切り替えたそうですが、帽子やマスクで見えないケースや、顔が見切れてしまい、求める精度にはならなかったそうです。
カメラなどは特に利用環境や被写体の状態に注意が必要という学びが得られました。

ボタンデバイスによる属性の把握

先に述べたカメラによる属性分析が芳しくなかったため、M5Stackをボタンデバイス化したものを活用して、属性を集計する方針に転換されていた。
M5Stackには物理ボタンが1台につき3つ搭載されいるため、複数のM5Stackを活用して、次の属性を集計できるようにしたとのこと。

  • 男性 or 女性

  • 近所の高校生か

  • 日本人かそうでないか

これまで、正の字でカウントしていたが、その方式と比較すると時間帯も記録が可能。
なにしろボタンを押すだけなので、簡単に集計ができる。
初めは店舗スタッフさんに面倒がられるかと思いきや、全く抵抗なく、便利に使いこなしていたとのことでした。
IoTデバイスは利用者によって大きく左右される点は、ターゲットに合わせて綿密に計画する必要がありますね。

カメラ利用時はガイドラインに従いましょう

こうした小型カメラや明らかに施設の設備としての監視カメラ以外のカメラは、人によっては警戒されることになります。
それは、単純にプライバシー保護の観点からでもあります。
カメラを利用したサービス開発の際には、経済産業省が出している「カメラ画像利活用ガイドブック」を参考に法令を遵守して、プライバシー保護につとめた上で対応していきましょう。

いかがでしたでしょうか。
SORACOM Discovery2023では多くの知見と気づきが得られました。
IoTにご興味がある方は、こちらの記事もぜひご参考に!


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