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上野の森美術館(東京都台東区・上野駅/モネの情景)

国内外の美術館に点在しているモネの作品を一堂に集めて開催している、モネの集大成とも言える美術展「モネの情景」上野の森美術館で開催されている。連日に継ぐ満員で非常に混雑している中、どうしてもこれは見ておかなくてはならないと訪問することに。時間制で予約を受け付けているもののいずれも満席になっており、スムーズに見学するのは大変な状況。それでもモネを見ておきたい衝動に逆らうことはできないのは仕方のないこと。

モネというと、美術にそれほど詳しくなくても『睡蓮』の連作が知られているところだろうか。いわゆる印象派の旗手としてサロンで活躍してきた人物。パトロンのいることが当たり前だった近世ヨーロッパの美術界において草の根のアート活動で価値観を塗り替えた人物の一人として知られている。今回の「連作の情景」というタイトルの企画展において、各所に点在している作品の中から同じテーマで描かれた作品を並べて比較しながらモネの作風の移り変わりを感じることができるのも面白いところ。

これはポーラ美術館

入口からモネの『睡蓮』に合わせて絵の中を歩く、という体験型の展示が開催されているのが面白い。親子連れも多く、この辺りは子供が特に楽しんでいる様子が見てとれる。展示室では印象派になる前のモネ、印象派と呼ばれて以降のモネ、テーマへの集中、連作の画家、晩年に住んだシヴェルニーで描いた作品、といった形で構成されており、時代ごとに、あるいはテーマに織り交ぜながらモネの作品が展示されている。

これはリヨン美術館

モネの作品の特徴としては風景画が知られているのだけれど、印象派と呼ばれる以前のモネは人物像も多く描いていた。特に『昼食』では、その後のモネの作風にあまり見られない黒を基調とした作品もあったりして新鮮でもある。フランスを中心に活動した作家なのでどちらかというと暖色、淡い感触といった太陽の光をイメージさせる作品が多いだけに、こういった試みは却って新鮮だったりもする。

モネ『昼食』は屋外に巨大なパネルがありんす

個人的に注目だったのは『クルーズ渓谷』の連作(曇りと日没の様子を同じ視点からほぼ同時期に描いた作品)が並べられて展示されていることや、ロンドンに架かる『ウォータールー橋』が三作品やはり時間の流れによって色彩を絶妙に変化させていることがわかる展示(曇り、夕暮れ、日没)方法など。同じテーマで描かれていても自分のお気に入りの作品を選んでみるのも面白いかもしれない。

ウォータールー橋その1
ウォータールー橋その2
ウォータールー橋その3 これが一番すき

展示室は1階と2階で構成されている。ヨーロッパの画家がたくさん多く題材としたエトルタの崖もいくつか紹介されている。いくつかの作品は写真撮影が可能。とはいえかなり混雑しているので正面から向き合って撮影するのは難しいかもしれない。トイレはウォシュレット式。

代名詞ともいえる睡蓮もね


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