nap 43. 帰りたい話
さて、
ずいぶん間が空いてしまったけれども、
別に、まだ書くよ。
「帰りたい」
義務教育が始まってから、働きに出ている今の今まで、家の外では常にそう思っている。
ひたすら書き続けてきたけど、私はとにかくだるがりなので、家に居ないと不安になる。
いつ眠くなるか、いつ身体が怠くなるか、いつ横になりたくなるか、いつお腹が痛くなるか、いつお腹が空くか、いつひとりになりたくなるか。
ぜんぶが不安なので、しばらく外にいると次第に帰りたくなってくる。
もちろん、例外もあるけれど。
家は安心。
自分に必要な薬は一通り揃っているし、
喉が乾いたら誰に了承を得ることもなく水を飲める。小腹が空いたらどんなに粗末なものでも何かかじれる。
誰の視線を気にすることもなく、いつ何時でも横になれる。
なんでみんな、こんなに長い時間外におれるんやろう。
きっと元気で、体力もあるんやろうな。
幼い頃から、今でも、そう思う。
ところが、
帰りたいと思うのは、家に帰りたいということだけではないのかもしれない。
そう気づいたのは、今よりももっと寒い、北の国に住んでいた頃。
「はー、帰りたい」
今まで通り、こう心で呟いたとき、私はとても驚いた。
その時、私は家に居たのだ。
唯一無二、私の部屋。
一番リラックスできるはずのこの場所にいながら、『帰りたい』そう思っていた。
はて、帰りたい、とは。
心身、疲れきっていて、心の中の呟きですら、間違えてしまった。
それだけなのかもしれない。
でもなんだか、それだけでもない気がした。
たぶん、帰りたいと思うのは、
ただ単に家に戻りたいっていうんじゃないのかもしれない。
還りたいとか、
孵りたいとか、
そんな言葉の綾なのかしら。
たぶん、そんな洒落た感じでもなく。
今より力抜きたい、とか
さみしい、とか
あー疲れた、とか
人それぞれ、その時々のSOSかもしれやん。
子供のときに一番はじめに覚えた弱音が、
帰りたい
やったんかもなあ。
ずっと同じ容れ物を使うみんな。
帰りたい?
わたしはぐっすり寝たので出掛けてくるよ。
では。
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