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コロナ禍と落語会と私的体験――広瀬和生『21世紀落語史』番外編
新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年の落語界は未曽有の危機的状況に陥った。ここまでの事態になると、今年の初めの時点で一体誰が予想しただろう。『21世紀落語史』では2019年末までの出来事について書いたが、その出版後に落語界を襲ったコロナ禍について、4月末までの推移を個人的な体験を核とした覚書としてまとめてみた。(広瀬和生)
【記号の意味】
●:自分が観た落語会
★:自分が体験したこと
第四章 昇太も動いた――2004年「SWA」旗揚げ/広瀬和生著『21世紀落語史』11050字公開
「SWA(創作話芸アソシエーション)」の結成
「六人の会」の発足から1年後の2004年、もうひとつのグループが始動した。春風亭昇太を中心に、三遊亭白鳥、柳家喬太郎、林家彦いち、神田山陽(講談師)が結成した創作話芸集団「SWA(創作話芸アソシエーション)」だ。これは、それぞれ自分で新作落語(山陽は新作講談)を創作してきた彼らが、集団でのブレインストーミングで新作を練り上げ、共通の持ちネタとして演じよ
落語ロスの方のために――広瀬和生著『21世紀落語史』を公開
光文社新書編集部の三宅です。
新型コロナ禍で、多くの落語会が中止・延期となり、最後の頼みの綱の寄席も休業を余儀なくされました。現状を踏まえれば仕方ないことではありますが、多くの方が落語に飢えている状況かと思います。DVDを観たり、CDを聴いたり、YouTubeで動画を漁ったり、あるいは高座の生配信に接したりして、飢えを凌いでいることでしょう。ないとわかると、ますます欲しくなるのは人間のサガかもし