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「ごめんね」の言い方 @2~4歳児

登場人物のご紹介
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2歳の女の子:Uちゃん(2)
3歳の女の子:Iちゃん(3)
4歳の女の子:Sちゃん(4)
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ある日のお昼ご飯中のこと。

Iちゃん(3)、Sちゃん(4)と僕との3人で、
昔ながらのキャラクターが書いてある
4つ足の長方形のテーブルでご飯を食べていた。
部屋の隅っこで、こじんまりと。

大人にはちょっと狭いのだが、
それでもこうやって和気あいあいと食べるひと時が
僕にとってはとても気持ちいい。

ちびテーブルには、いつものようにぬかふりかけが置いてある。


ちびテーブルから少し離れたところには
木の大きなテーブルでご飯中の子どもたちが数名。

大テーブルでご飯を食べていたUちゃん(2)が、
ちびテーブルに置いてあったふりかけの入った茶碗を取ろうと
やってきた。

Uちゃんはまだ2歳なので、
手を伸ばして茶碗を取ろうとするとこぼれてしまう。
この時も、ふりかけを運ぶ際に、ちびテーブルにこぼしてしまった。
Uちゃんらしいな~と思った。
小さい頃から、ごはん関係はよくこぼしていた。


その瞬間のこと。


Iちゃん(3)とSちゃん(4)の表情が変わる。
和気あいあい ⇒ つんとした雰囲気 だ。
ふりかけが、2人のごはんにもかかったからか。


S(4)「U~、ごめんなさいって言ってないよ~」
I(3)「そうだよU~」


言葉とは裏腹に、どちらかというと笑っているようで、
表情こそムスっとはしているものの
怒っているというより、伝えているという感じだ。


さて。二人にご指摘を受けたUちゃん(2)。
どんな反応をするのだろうか。


U(2)「ごめんなさーーーい(^皿^)」
おちゃらけた感じに、笑って答えた。


おぉ、言った!


ちなみにUちゃん(2)は、少し前までは言葉の発音がはっきりせず、
最近になって分かりやすく話せるようになった頃だった。
仲間とのやりとりで、こういう場面があったときも、
「いや~~だよ~~~!」と笑って答えるような子だった。

なので、「ごめんなさい」が出たことにちょっと驚いた。


すかさず、Uちゃん(3)、Sちゃん(4)の表情を見てみる。


Sちゃん(4)は笑顔だ。

Iちゃん(3)は・・・


あれ?まだ表情が曇っている。
ここは介入することにした。


さんた「ん、(その顔は)ちゃんと言わないとダメってこと?」

この時はあえてこう言ってみた。明らかに納得していなかったからだ。
(今思えば「その顔は、どんな感じ?」とかでよかったか)

誰かが納得していないことがある時は、
その場を流さないようにしている。


するとIちゃん(3)はこう答えた。


I(3)「そうだよ、「ごめんなさい・・・」って」


このIちゃん(3)の「ごめんなさい」は、
すごくすごーく気持ちを込めて、ゆっくりと頭を下げて、
とても丁寧な感じ
だった。


S(4)「そうだよ!」
Sちゃんも続いた。


ちょっと聞いてみた。


さんた「ん、どうやって言えばいいの?」

I(3)「ちゃんと相手の目をみて、
     「ごめんなさい・・・」って言わないとだめ



ぐっさーーーーー・・・



果たして自分は、
こんな風に人に謝れているだろうか?

反省・・・


やはりIちゃん(3)の「ごめんなさい」には、
すごく気持ちがこもっている感じだった。


Uちゃん(2)から反応はなかったと思う。
だが、こういう場面では近くにいたUちゃん(2)も、
そしてその場にいた子どもたちみんなも、
必ずこの話を聞いているのだ。


一見、2歳の子に対して3歳と4歳の二人で
「ごめんなさいって言ってないよ」
と指摘することは、大人からすると厳しく見えるかもしれない。

でもこういうとき。

年上の子たちは『怒っている』とか『不満がある』というよりも
感覚的には『伝えている』とか『教えている』とか、
『成長を願っている』という感じにみえる。

責めているわけではない、ようにみえるのだ。
本当のところは、子どもたちにしか分からないかもしれないが。

__


「ごめんね」のとき。
言葉だけではダメ、ということだ。


反省とともに、2人を尊敬した。



大人はちょっと気を抜くと、
「ほら、ごめんねって言いなさい」と
子どもに”言葉だけ”を言わせる。

だが、そこに”気持ちを込める”ということまでは
なかなか伝えることは難しい。


そしてそもそも、
大人だって夫婦で喧嘩などしたときに
心を込めて「ごめんね」ということは本当に本当に難しい。。。
まして目を見て、なんて・・・(汗)

大人は簡単に言葉だねで終わらせてしまう。


前々から「ごめんね」「いいよ」という保育はしていなかった。
気持ちのない「ごめんね」にも、本音ではない「いいよ」にも、意味も心もないと思っていたからだ。

なので、この子たちは「ごめんね」と言われても
納得していない時は「いやだ!」と言える子たちだった。


振り返れば、Uちゃん(3)もSちゃん(4)も
「ごめんね」を言う時はいつも真剣な表情だった。

場合によっては園から家に帰ってからも
「今日のこと、「ごめんね」した方がいいかな…」とか考えており、
翌朝「昨日はごめんね」と言う子たちだった。



Uちゃん(3)とSちゃん(4)は、
「軽い言葉だけではだめ。気持ちを込めるんだよ」と言っている。

二人は、ここにいるのだ。
いつも、ここにいたのだ。


もちろん、こんなことは保育中に教えていない。たぶん、家庭でも教えてはいないだろう。

子どもたちは、本来みな”ここにいる”のかもしれない。


#子どもに教えられたこと

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