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赤坂の片隅で博多に迷い込んだ夜

ねぎらーめん 博多らーめん 和@赤坂


 それは偶然だった。

 赤坂見附から赤坂駅へと向かう道をいつもと違う道を通った帰り道。
 ふと、横道に目を向けたら、何やら良さそうな灯りがあるのに気がついた。特に店に入ろうと思ったわけでもない。ただ、何の店なんだろう? との興味でメニューだけでも見ていこうという気になったのだ。

 博多濃厚豚骨。看板と提灯がそう主張していた。

 そういえば赤坂って豚骨らーめんのお店があまりない気がする。考えても「じゃんがら」くらいしか思い浮かばない。いい場所を見つけたなと思った。今度、赤坂に来たら入ってみようと思った。

 しかし、そこで僕は重要なことに気がついてしまった!
 濃厚を謳っているのに、店外に豚骨臭がほとんど感じられないなんて!

 これは大変に重要なことだ。濃厚豚骨系は臭い店が多い。食べるとその臭みも気にならないことが多いのだけど、そもそも入る前から豚臭い店に一体誰が入るというのだろうか? と常々僕は思っている。ちなみに新橋の「バリ男」(博多豚骨ではないけど)なんかは10m離れた位置くらいから豚臭い。店の前を通るだけで嗚咽してしまう。だから入る気にならない。「じゃんがらラーメン」もかつて原宿店に入ったことがあるのだけど、食べる前に匂いで気持ちが萎えた。しかも食べたらあっさり系豚骨で、なぜこんなに臭くなるのか? 疑問に思う。「なんでんかんでん」もそう。新宿西口に戻ってきた店にはまだ行ってないので、今はどうか知らないけれど。
 反対に無臭系だと「一蘭」「一風堂」「博多風龍」あたりのあっさり豚骨チェーンになる。それはそれで嫌いじゃないのだけど(僕は一風堂でバイトしていたこともある)、そうじゃない濃厚系を食べたい時もあると思うんだけど、意外とそういう店は東京には少ないんだよなぁ。東京で食べられる博多豚骨でイチオシは「田中商店」。ほぼ無臭で、店内に入ると若干匂いはするけど、そこまで気にならない程度。しかも食べたら、臭みがないどころか、抜群に旨い。多分、博多も含めて今まで食べた豚骨らーめんの中で一番好きだと思う(博多はそんなに多く食べてないので、実際はわからないですけど)。濃厚なのにさっぱりした味で、多分、博多の人に食べさせてもヤバいと言わしめるラーメンだと確信している。ただし、夜しかやってなく、ヤバいくらい連日並んでいる。夜の予定を田中商店シフトにしなければ食べられないらーめんなのだ。だからしょっちゅう行くわけにもいかない。

 だから僕の行動圏で、旨い博多豚骨はないものだろうか? と長い間探し求めていた。もしかしたら、この「博多らーめん 和」は、僕が求めていた店なのかもしれない…。

 そう思った途端、入って確かめるしかない気分になった。

 店に入っても、ほとんど豚骨臭はしない。素晴らしい。それを確認してから、券売機を眺めて、ネギらーめんを選ぶ。ついでにハイボールも頼んじゃおう。いいよね。

 カウンター越しに店のお姉さんに食券を渡し、バリカタで注文する。
「替え玉は1杯無料ですので、タイミングでお声かけてください」
 と言われた。
 そんなに腹へってないから、替え玉いらないかもと思ったけど、「はい」と返事をしておいた。

やみつきモヤシ 辛子高菜

 すぐにハイボールが出てきたので、カウンター上にあったやみつきモヤシという辛もやしを小皿に取って、それをつまみに飲み始める。やみつきモヤシも辛子高菜もフリーだ。あと、にんにくも生ニンニクをクラッシャーで潰すタイプが置いてある。いい感じに博多だ。

生にんにくと紅しょうが
やみつきモヤシでハイボール

 バリカタの割には数分の時間があって、ラーメンが出てきた。一風堂でバイトしていた僕としては、バリカタならスープとチャーシューを調理しても1分くらいで提供できるという感覚がある。
 しかし、出てきたラーメンを見て、なるほどと思う。

ネギらーめん

 泡がちゃんとできている。この脂泡は、空気を含ませるように攪拌してできるものなのだ。ブレンダーでもできるけど、そういった様子はなかったので、ちゃんと追い焚きしながら、攪拌してこの泡を作っているのだ。その分の時間はかかる。しかも、この店、スープは豚骨と水だけで作っているという、かなりの本格派らしい。さて、どうだろう、期待に応えてくれるスープなのだろうか? 蓮華で一口飲む。

 あー、いい感じ。旨い。濃厚な口当たり、それでいて豚臭はなく、後味はさっぱりとすらしている。これはいい店を発見したぞ!

 と、僕は一瞬、博多の中洲にでもいる感覚を味わっていた。それくらい東京にいて、博多を感じる味だった。

 ここ数年で食べた豚骨の中でも、かなり上位に旨い店だと思う。ただ、最近、家系や魚介豚骨などの濃い味に慣れてしまったせいもあり、新宿の「わ蔵」などと比べると、少しパンチが弱い気がしたので、ニンニクをクラッシャーで潰して入れてみることにした。

 ワオ! 旨し!

 なるほど、これかもしれない! ニンニク一つでラーメンは味変する。

 さらに、やみつきもやしを少量入れて食べてみる。
 ワオ! これも旨し!
 今度は、辛子高菜を入れて食べてみる。
 ワオ! これも旨し! あ、結構辛い。入れすぎは注意かも。と思ったら、カウンターに「入れすぎると辛い」と注意書きが書いてあった。
 ちなみに紅生姜はデフォルトで相性良かったです。

 チャーシューは好みが分かれるところかな。僕はまあまあって感じ。
 ネギは抜群にいい感じでした。どろりとしたスープにも相性バッチリ! オススメです! ネギが嫌いじゃなければ、絶対に入れた方がいいと断言します。

 とりあえず、食べ終えたなと思ったところに、女性の店員さんがやってきて「替え玉無料ですよ! 硬さはどうします?」と聞いてきたので、思わず「カタめで」と替え玉を頼んでしまった…。

 替え玉は一瞬で出てきた。そりゃそうだ。
 やっぱりスープが旨いんだな、と改めて思った。
 カエシのタレを追加で入れなくれも、元々のスープの強さがあるから、替え玉一杯くらいは何も足さなくてもめちゃめちゃ美味しく食べれてしまう。で、ちょっと食べすぎたかもしれない…。

 赤坂に近い他の駅なら、濃厚博多豚骨もあるかもしれないけど、ここ「和」は、割と都内でも有数の旨さなんじゃないかと思う。

 もし、赤坂あたりで豚骨らーめん食べたくなったら、僕はここを一番に推そうと思います。
 ホント、初めて発見したお店ですけど、かなり旨いです!


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