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府中の市場でいい仕事

「煮干し中華そば」 中華そば たま河@府中

 府中に大東京卸売センターという市場がある。
 築地や豊洲みたいな卸売市場が、意外と方々にあるものだというのを、つい最近知った。都内だけで20以上もあるんだって。へえ。
 早朝は業者の人が多いが、もちろん一般の人も気軽に立ち寄って買い物ができる。

 その府中にある大東京卸売センターで一日ロケがあり、僕は午前中に別件があったので午後から合流することにした。

 お昼を食べないままで市場に到着した。もしかしたらロケ弁余ってるかもとは思ったのだけど、せっかく滅多に来ない場所にいるのだから、ここで何か食べようと思う。市場だしね、なんか美味しいものありそうでしょ?

 思ったよりも場内は広く、また飲食店もたくさんあった。海鮮丼のお店や刺身食堂的なお店はもちろん、中華、とんかつ、そば、うどん、韓国チキン、なんとロシア料理まである。なかなか悩ましい。ただ、やっぱり市場だけに新鮮な海鮮が食べられる贅沢さは捨てがたい。しかもなんと新鮮な魚が食べられるお店が4つもある。刺身の定食、海鮮ユッケ丼、マグロ丼もある。どれにしようか?

 ってことで、ラーメンを食べることにした。
 What’s?
 そう言われてもそこにラーメン屋があるからだとしか答えようがない。僕は刺身よりラーメンの方が好きなんだもの。刺身は夜に酒のアテでつまむくらいで十分なんだもの。しかも、いい感じのラーメン屋が市場内にあってしまったのだもの。

 「たま河」はこじんまりとした店内にラジオの音声が流れているというノスタルジー溢れるお店。うん、雰囲気あるねぇ。
 店の外にも券売機にもラーメンの種類が写真付きで置いてある。こういうの必要だよね。たまにおしゃれ店内のラーメン屋で、一切写真とかなく、お品書きとスープや麺のこだわりを文字だけで伝えてくるところあるけど、あれ、困る。たとえばチャーシュー3枚とか書かれていても、そもそもどのくらいの大きさのチャーシューなのかとかわからないじゃん。なので写真は見せて欲しいと思うのだ。

 それはともかく「たま河」のメニューは中華そば、八王子らーめん、白味噌らーめんの3つが中心なのだとわかる。券売機の最上段にその3つが大きく並べてあるから。下段には他にも色々あるが主軸はこの3つで間違いない。中でも僕は「中華そば」に惹かれた。写真に書かれた“平打ち縮れ中太麺”という文字が僕を誘う。好きなんですよね、こういう麺。しかも魚介と豚鶏からとった出汁にまろやかな醤油で作る無化調スープらしい。絶対旨いヤツだこれ。券売機でも一番左上に座してるメニュー。つまり、この店のスペシャリテである。特製もある。「特製中華そば」いいじゃん! これ以外の選択肢はない。
 券売機のボタンをポチる。
 「煮干し中華そば」を買った。
 What’s?
 そう言われてもさぁ、僕だって特製中華そばを食べたいんだよ。だけど、ちょっと大きめのポップがあり『煮干し中華そば 平日のみ1日限定10食』なんてアピールしてくるんだもの。限定10食なのに、まだ売り切れてないんだもの。人は限定に弱いんだもの。思わず、そっちのボタン押しちゃったんだもの。
 「煮干し中華そば」は、通常の中華そばを煮干しテイストにしたものらしい。

煮干し中華そば

 なかなか旨そうなビジュアル。スープを飲むと確かに煮干しらーめんなのだけど、いわゆる「凪」みたいなニボニボしたヤツではない。上品で旨い。柔らかいスープ。麺は細麺…。ぐぅぅぅ。平打ち中太麺食べたかったな、と思うが、これはこれで美味しい。スープにもバッチリあっている。八王子ラーメンもそうだけど、玉ねぎのアクセントがすごく効いていて良い。チャーシューも柔らかくボリュームもあって、素敵。しっとりしてて旨し。メンマも自家製らしい。文句のつけどころがない。強いて言えば、パンチみたいなものは少ないところくらい。店主、いい仕事してんね。

 初めてのお店だけど、かなり旨いらーめんだった。こういう場所でいい仕事しているラーメン屋さんもあるんだなぁと思ったら、意外と有名なお店みたいだ。4年連続でラーメンWalkerに掲載されているらしい。結構、みんなこういうところくるんだね、と思ったけど、業者の方たちも食べるだろうから当たり前か。

 ロケ地としても時々使われている場所なので、また来ることもあるだろう。その時は何があっても絶対に「特製中華そば」を食べようと心に誓う。煮干しもそうだけど、他にもえび味噌とか生姜醤油とかもあったので、危うくそっちを押さないように気をつけないと。というか、次来るときに、また別の限定メニューあったらどうしよう? むやみに限定メニューは追加しないでおいてほしい。

 いい仕事を食べさせてもらったので、僕もいい仕事をしようという気分になった。さて、合流していい仕事するぞ!


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