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うつ病を治そうとするのは寝れない時寝ようとする努力に似ている

読んでくださってありがとうございます。
自分は機能不全家族で育ち、精神疾患(うつ病等)で苦しんだ経験があります。

今回は自分の経験談をもとに
うつ病を治すのはなぜ難しいのか
うつ病を良くするヒントについて話したいと思います。

うつ病を治すのは寝ようとする努力に似ている

題名にも書いてある通りなんですけど
うつ病を治すのは寝れない時に寝ようと努力することに似ています。

ベッドに入ってもう随分経つのに眠れない。
あれ?今何時なんだろう。もう1時半じゃん。
明日大事な予定があるから
7時には起きなきゃいけないのに。
今からだと6時間睡眠確保できないなあ。
睡眠時間6時間切ると、体調悪くなるんだよな。
ああ、何とかして寝たい。

このような経験は誰でもあると思います。
でも「寝よう寝よう」と思って頑張ってもどんどん頭は冴えるばかり。
努力することがかえって寝る時間を遅くします。

うつ病を治そうと思うと、これと似たようなことが頭の中で起きています。

うつ病の人は休んでいるようで休んでいない

うつ病を治すにはどうすればいいのでしょうか。
仕事や学校を休んで家で薬を飲んで
しばらく寝ていれば治るのでしょうか。

傍から見ると、休んでいるように見えます。
しかし、うつ病の人は発想の転換をしない限り
本当の意味で休むことは出来ていません。

うつ病というと、気分がずっと落ち込んでいて死にたい気持ちを抱えているというイメージがありますがそれだけではありません。

うつ病の症状の一つに
罪責感と無価値感
という症状があります。
これがうつ病を長引かせる原因の一つです。

うつ病の人はうつ病を何とかして治して
以前のように頑張りたいと思っています。
しかし、その思いが自分を追い込んでいます。

何もせずベッドに横たわっている時でも、
「世の中の人は真面目に昼間働いている。今は寝ていなければいけない時間なのに。自分は何をやっているんだ。」と
昼夜逆転し体たらくな自分を責めています。

うつ病の人でも症状が軽い時は外に出られます。
外に出ることは引きこもっているよりは
健康的で気分転換になると一般的には思います。

しかし、うつ病の人は外に出た時も自分を責めます。

周りの人を見ると、
うつ病の自分とは違って活動的に見えます。
「皆、仕事や学校に行ってて偉いな。でも、自分は何もしないで昼間からふらついているダメな人間だ。生きている価値なんかない。」と責め続けています。

うつ病の人はそんなことを一日中ぐるぐると考え
自分をいじめにいじめているのです。
これでは気分が悪いのは当然です。

うつ病を治そうと思えば思うほど、
うつ病は治るどころか悪化していきます。
じゃあ、どうすればいいのでしょうか。

発想の転換。うつ病を受け入れる

ここからはうつ病を治す考え方について書いていきます。
まず一つ目に大事なのは
うつ病を受け入れる」ということです。

うつ病の人は
皆から社会から親から友達から望まれているように周りの期待に応え、早く元気になりたいと思っています。

しかしその思いが強いと
一日中気分が落ち込み、何をしても楽しめない自分を「頭」で拒否します。「自分はいつまでうつ病で周りに迷惑をかければ気が済むんだ。」
と元気になれない自分を責めるのです。

寝れない時に寝ようとすると、どんどん頭が冴えて寝れません。
しかし、一度寝るのを諦めると、
急に眠気がやってきて眠りに落ちることがありませんか。

うつ病もこれと一緒です。
うつ病の症状を嫌なものだと拒否せず、
そういうものだよなと受け入れるのです。

これが出来るとうつ病は悪化する方向から
回復する方向に向かいます。

「病者の役割」という考え方

ここでうつ病を受け入れるのに
役に立つ考えを紹介します。
対人関係療法の「病者の役割」です。

この考えで大事な点は2つあります。

病者の役割」の大事な考えの一つ目ですが
うつ病の状態は本人にとって基本的に望ましくないもので
自分の意思でコントロールすることが出来ないもの
だと考えます。

わかりやすいように一つ例をあげます。

インフルエンザになった時、
熱が早く下がってほしいと思うのは当然のことだと思います。
でも、自分の意思でいきなり熱を36.0℃に下げようと思ってもできないですよね。熱という症状はコントロール出来ないわけです。

うつ病もそれと同様に考えます。
うつ病になると
気分が落ち込んだり
意欲がなくなったり
死にたいと思ったりします。
でも上記のようなうつ病の症状は、
悩んでる本人は頭で考えてもどうしようもできないよ!って考えです。

頭で考えてもどうしようもないことは
もう受け入れるしかないです。

ネガティブに考えたくなくても、考えちゃうわけです。
元気を出したくても、元気が出ないんです。
死にたいなんて思いたくなくても
勝手にそういう考えが浮かぶんです。

だって、それがうつ病の症状だから。

元気になれない自分を責めてしまう。
この自分をまず受け入れてあげます。

「元気になれないのはしょうがない。うつ病だから」
「自分を責めるのはうつ病の症状だからしょうがない。」

こんな感じです。
回復とは逆に向かっている感じがするかもしれません。
でも、これがうつ病の回復の一歩になります。

非常に逆説的です。
変化するにはまず受け入れる。
変容する為にはまず受容が必要です。

うつ病を治す(変容)⇔うつ病を受け入れる(受容)
という対立した構図になってます。

この一見矛盾することを両立させることが
うつ病を治すベクトルに向ける鍵になります。

だからうつ病を治すのは難しいのです。

「自分はこんな風には思えない。
何となく理解は出来たけど、こういう風に考えられない。
だから自分は良くならないんだ。ああ駄目だ。」
と思う人もいるかもしれません。

でも、こういう考えを受け入れられない
自分も受け入れてあげましょう。
今までとは違う考え方なので、
受け入れるのが難しいのは当然です。

病者の役割」の大事な考えの二つ目ですが
自分が休むことを受け入れるということです。

インフルエンザになると
社会で働くことは治るまではある程度免除されますよね。
うつ病もそれと同じだと考え、
社会的な責任はある程度免除されると思いましょう。

自分いじめの癖を手放す

うつ病の人は、病気になっても尚、頑張っています。自分を責めることに躍起になっています。
しかも、気付かぬうちに無意識で行っています。

「うつ病である自分」と「理想の自分」
のギャップから自分を責めます。

「自分は頑張りが足りない」
「これができないなんて人間失格だ」
「甘えるな。みんなは当たり前に出来る。」
「役に立たない自分なんて消えた方がいい」

頑張りがきかないのも、
元気がないのも、身体が動かないのは
うつ病の症状だから仕方ないです。
まずはこれを受け入れましょう。

また、自分いじめをしている自分も受け入れましょう。
「また自分いじめをしてる、ああ、やってしまった。だから自分は良くならないんだ。」
こんな感じだと、また自分を責めてます(笑)
自分いじめをするのはうつ病の症状だから仕方ないのです。

でも、自分いじめはうつ病を悪化させます。
自分いじめをする癖から抜け出しましょう。

自分いじめをやめる為には、
まず自分が自分をいじめていることに気付くのが大事です。
そもそも気付くことが出来ないと、やめることは出来ませんからね。

自分いじめなど思考している自分に気付くためにはマインドフルネス瞑想がおすすめです。

マインドフルネス瞑想の詳細は下記参照下さい。

また、自分いじめをしている時はなぜか気付かないのですが
自分から他の人に置き換えてみると
いかに自分を追いつめているかがわかります。

「お前は頑張りが足りない」
「役に立たないお前なんて消えた方がいい」

なかなかひどい言われようですよね。
これを自分に対しては平気で行っているのです。

自分に対しても他の人に向けるように思いやりを向けてみましょう。
「あなたは頑張っているよ」
「あなたは必要とされる存在だよ」
こんな言葉を自分にもかけてあげるのです。

余談ですが、自分を思いやることをセルフコンパッションといいます。

自分に対して、思いやりを向けてあげられない人は、自分を思いやれない自分にも思いやりを向けてあげましょう。

自分を思いやれないのは、今までの成育歴などで他の人から否定されてきた生き方をしてきたからかもしれません。
その中で自らを追い込んで今まで頑張ってきた自分に思いやりを向けてあげましょう。

うつ病は不幸印のギフト

うつ病はとても嫌な病気です。
「この苦しみから解放されたい」
うつ病にかかった人は誰もが思います。

でもその苦しさにはメッセージが込められています。これを考えることはうつ病を治すきっかけにもなります。

その苦しさの原因の一つに頭の独裁があります。

「頭」
頭は理性の場所。
「~すべき」「~してはいけない」
mustやshouldの思考。
過去の「後悔」や未来への「不安」はここで生み出される。逆に「今・ここ」については苦手で正しく捉えられない。
自分の「心」と「身体」に対して何でもコントロールしたがる傾向を持っている。

「心」
「~したい」「~したくない」
want toやlikeの思考。
「頭」と違って、「今・ここ」に対して焦点を当て、シャープに反応する。

「身体」
「心」と密着に連動している。「身体」と「心」は一心同体。「心」に元気がなくなると、「身体」も元気がなくなる。
「普通がいい」という病から引用
「頭」による独裁
現代人の多くは、「頭」が独裁者のように振舞っている。「心」=「身体」は「頭」に監視され、奴隷のように統制されている。

ある程度のところまでは我慢してくれるが、その我慢が限界にくると反乱を起こす。
「心」がストライキすれば、うつ状態になる。暴動を起こしたら、躁状態や感情の爆発。それすら許されない場合「身体」の方から不調を訴える。
「普通がいい」という病から引用

うつ病自体はとても嫌な病気です。
しかしその苦しい症状は、
「この生き方はもう限界だ!」と
「心」と「身体」がSOSを出していたのです。

自分自身の話ですが、
小さい頃から親の価値観に押し付けられ
「~すべき」という呪縛に囚われてました。
親から物理的に離れた時でも自分自身に暗示をかけ続けていました。

「勉強をしなければならない。いい大学に入るべき。
「人に対して怒ってはならない。優しい人でいるべきだ。
と世の中の価値観に沿うように生きてきました。

そして、「~したい」という思いを
知らず知らずのうちに頭が抑圧していたのです。

~すべきという思考は自分いじめに繋がります。

うつ病という病気の症状は
自分いじめばかりしている
生き方が限界だと教えてくれていたのでした。

長くなりました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。


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