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半径二メートル先の芸術がぼくの世界をまた変える。|手と仕事 #7

どうも、最近芸術にどっぷりハマっています、なおとです。

今年の9月から一年間かけて『手と仕事』という自主企画を始めました。
ものを作る手、空間を作る手が主役。
物や空間をつくる人、つくる手にフォーカスして、実際に作り手の方の工房やアトリエ、お店などにお邪魔して製作風景やなどを撮影させていただいてます。
100人撮ったら写真集にします!
100人の手と仕事の個展も開きます。
詳しくはインスタにて公開しています。
https://www.instagram.com/mononome.12/

カフェの店主の一面を持ちながらも、カメラマンとして活動しているぼく。
最近なんの因果か芸術関係の方の写真を撮ることが増えてきてね、そういうところの情報がやってくるようになったんですよ。

カフェの営業中、お皿も洗ってお客さんはまったりしていて、なんだかちょっぴり眠くなっていた時だったかな、カフェの営業と100人の撮影と仕事での撮影がピークの時でさ、ぼくの住むまち長野県松本市ではそのときちょうど 『FESTA まつもと』っていう10日間の大きめの芸術イベントが行われていた。

それなのにぼくはそのイベントに顔を出すこともできないくらいに時間に追われていてね、正直悔しかったよ、何かないかって探して探して、インスタのストーリーを流し見していたら突然飛び込んできた。
店から近くで夜やっていて、知らない名前のアーティストが魅せるなにか。

『ダン詩ング』対して洒落た名前なわけでもないそのイベント、なにをやるのかとイベント概要を見てみても『朗読に合わせて踊る』これ以外の説明は特に書いていない笑。
でもそんななんでもない、小さなイベントでぼくにとっては大きな変化があっ日になった。


詩人のウチダゴウさん
ダンサーのmaekonさん

会場に着くとあたりは真っ暗。屋根裏のような構造の中に通されると、まばらに置かれた椅子とぼんやりと照らす電球が天井からぶら下がっている。

一人、二人と参加者が席につき、何が始まるのかとぼくは緊張してしまった。
ぐっ、、と重くなった空気の中で一人の男性が声を出す。
詩人のウチダゴウさんだ。
ウチダゴウさんの書いた詩を本人が朗読をして、空気がさらに重たく、けれど熱を持ちはじめる、これがぼくにとって朗読の世界にはじめて触れた瞬間だった。
 
そしてその声に合わせてmaekonさんの即興のダンスがはじまった。
声の抑揚や言葉、空気に合わせてアニメーションダンスを主とした踊りが始まってまばらに座る観客たちの前や後ろやと動き回る。

ぼくの目の前でmaekonさんが踊る、声に合わせて表現する。
激しいダンスのせいか、呼吸する音が聞こえて、ぼくはハッとする。
あまりの衝撃にぼくはまばたきも息をすることさえも忘れて苦しくなっている、息を吸うと血が一気に体を巡って体温を上げる、声と動きに反応して心臓の音も早くなる。苦しい、くるしい、。こんな感覚は時初めてだ。

頭のてっぺんからつま先まで表現者だったmaekon さんを見て、とにかく感動していた。
ぼくの視界二メートルで行われる表現に、ただただぼくはそこにいるしかできなくて、あまりに無力。

プロの表現者の前ではぼくはただの人間だった。
実はこのイベントに参加する前に、もしかしたら写真撮れるんじゃないかってあわよくばと思ってカメラを持っていたのだけど、ただの文鎮だった。


あっという間の2時間が終わりを迎えて、お二人が談笑し始めてようやく空気が軽くなる。見ていただけなのに死ぬほど疲れた。
 
帰り支度を進める参加者の方々、ぼくも上着を着てカバンを背負って、ふと思う。本当にいいのかって、こんなに感動したものを見せてもらってなんの挨拶もなしに出ていっていいのかって、、、いやダメだろ、でも明日の仕込みはまだ終わってない。そんなのこのイベントに来る時点で遅くなることは覚悟していたじゃないか。そうだ。って自分に言い聞かせてお二人と話せる機会をぼくは伺った。

ウチダゴウさんの詩の原稿が買えるってことなので、買う名目で列の最後尾に並んで、財布を開く。一人、一人と列は短くなってぼくの番。

お気に入りの詩を一枚購入して、ウチダゴウさんとお話しする。
maekonさんともお話しする。
『あ!そのインスタ知ってる!!』
びっくりだ、いや衝撃だ。
確かにイベント前にmaekon さんのインスタはフォローしたけど、まさかそんなじっくり見てたなんて感動!しかも【手と仕事】のことまで知っているんだからもっと驚き。
緊張していたのが嘘みたいに、夢中で話す。

結果、翌日の『ダン詩ング』の撮影をさせていただけることになったり
手と仕事にもご協力いただけることに。

翌日はスタッフのように会場入りして、入念にカメラの設定をする。
昨日よりも観客が多いせいか、椅子は綺麗に並べられて列を作る。

ゾロゾロとやってくる人たちの中にはぼくの知人も何人かいてびっくりしている。(イベントに来たらぼくがカメラマンをやっているのだからそりゃ驚くだろう)

カメラから見る世界は少しだけ寂しい、その世界の中にぼくはいないから。一歩下がったところから見ないとぼくは没入して、シャッターを切ることを忘れてしまう。だからこれでいい、初日にあんなにいいものを見れたのだからいいのだ。


あの時、勇気を出してよかった。
あの時、時間を作って行ってよかった。

あの日のぼくの行動が、今のぼくの人間関係を作り出した。
ダンサーと詩人という二つの表現者との関係が始まった。

後日聞いた話によると、お二方ともう一人の方がこのイベントを主催していたのですが、初日の帰り道にぼくの話題がちょっと出たって聞いて。
それだけで喜ぶんです。めっちゃちょろいです笑笑

まだまだ芸術の中にぼくは居続ける。

美味しいご飯に使わせていただきます