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11/1から東京都でパートナーシップ宣誓制度がスタート 都内に暮らす当事者として感じたこと

今月1日、ついに東京都で“都”としてパートナーシップ宣誓制度がスタートしました。
都内に暮らすセクシャルマイノリティ当事者として、こんなに喜ばしいことはありません!暗いニュースの方が目立つ昨今、本当に明るいニュースだなと思いました。
なので今日は都内に暮らす当事者として、今感じていることを率直に書き残しておこうと思います。


はじめにお伝えしておくと、僕は身体の性は女性ですが心の性を定めていないセクシャルマイノリティ当事者です。身体の性で言うと同性にあたるパートナーとは、一緒に暮らして丸7年ほど。住まいは都内ですが、自治体の関係でこれまでパートナーシップ制度は利用していませんでした。

そんな中突然「パートナーシップ宣誓制度を来年度から導入」と報じられたのは昨年の12月のこと。当時このニュースを見てとても衝撃を受けたことを今でも覚えています。
衝撃を受けると同時に嬉しくて待ち遠しくもあり、当時もこんな記事を書いていました。

本当なら絶対に宣誓したい!と思い、実現したらふたりの記念としてどんなことをしようかななんて考えている反面、本当に実現できるの…?とも思っていました。
「どこかのタイミングで批判されたり反対されたりして、結局中止や延期になるのでは?」と疑っていたんです。だって必ず実施されると本気にして、中止や延期になったら辛いじゃないですか。期待してそれが砕かれるなんてきっと耐えられない。それは宣誓制度の素案への意見が募集されても、受付が開始されても同じで「まだ安心出来ないぞ」と思っていました。
疑ったまま11月1日を迎え、ついに宣誓制度が本当に実施された今やっと「本当に実現(制度が導入)された……」と事実として信じ、受け入れることが出来たといった感じです。

本当に日本の首都である“東京都”としてパートナーシップ宣誓制度が導入されるだなんて、渋谷区と世田谷区が日本で初めてパートナーシップ制度を導入した、2015年のあの頃の僕は信じられただろうか。たぶん信じられなかったと思います。そうなったら素敵だし、そうなってほしいとは願っていたけど「実現は難しいだろうな、だって日本だし」と実際思っていました。
もちろん同性婚とは得られる権利や法的な効力が全く違うし、パートナーシップ宣誓制度が実現したからと言って同性婚を諦めるなんてことはしない。誤解がないよう言っておくと、パートナーシップ宣誓制度は同性婚ではありません。婚姻のような控除や法的な効力はないので、それだけは覚えておいていただけると嬉しいです。
だけどパートナーシップ宣誓制度が東京都として導入されたのは本当にすごいこと!
実現に向け尽力した方々、それを支えてくれた方々、直接的ではなくとも発信したりそれに耳を傾けてくれた人、色んな人の大なり小なりあれど努力や寄り添ってくれた結果がひとつ、実を結んだんだなと思います。

僕が一番すごいなと感じたのは、「今すぐ宣誓出来てしまう」こと。
東京都の宣誓制度はWEBからの申請になるため、家でのちょっとした時間で思い立った時に宣誓出来てしまうんです。異性同士の婚姻届けが役所の窓口が開いてさえいれば届け出られるように、今日宣誓したいと思えば出来てしまう。平日の仕事終わりや、休日のまったりタイムに「今すぐ宣誓出来てしまう」ということはそれだけで驚くべき感覚でした。
実際にSNSで宣誓の報告をしている方の投稿を見ると、おめでとうと祝福しながら、「あれ?もしかして、やろうと思えば今宣誓出来ちゃうの?」と気付いた瞬間は、「異性愛者のカップルってこういう気持ちなのかな」なんて考えました。

先日はわが家を担当してくれているファイナンシャルプランナーにお金の相談をしていて。その際、老後の資産形成と“パートナーに資産を残す”という提案を受けました。
「都のパートナーシップ制度実施で今後利用できる商品の幅はきっと広がると思うので、そういうのも今後チェックしましょう」なんて言ってもらえて些細なことですが嬉しくって。自分たちが諦めてきた色々なサービスを、今後受けられるかもと思うとこの先にも少しは希望が持てます。

彼女にパートナーシップの宣誓のタイミングを相談すると、当時はパートナーシップ制度すら利用できなかったのでその時のリベンジの意味も込めて、当時撮影をしたのと同じ日がいいと言ってくれて僕もそうしたいと思っています。

僕たちは2016年の9月に将来を誓ってフォトウェディングを挙げました。

9月は彼女の誕生日もある、僕たちにとって特別な月でもあります。
他にも初めて付き合った日(何度か別れてやり直すのをくりかえしているので)などいくつか候補はあるので確定ではないのですが、いずれにせよ僕たちがパートナーシップを宣誓するのはもう少し先になりそうです。
写真も撮りたいし、他にも記念になることはないかなと今から楽しく相談しています。

そんな人たちが都内にたくさんいて、まだパートナーシップ制度がない地域にもそれを待ち望む人たちがいることを、当事者ではない方には覚えておいてもらえると嬉しいです。



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