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『dancyu』に学ぶ、文章の「つかみ」の書き方
雑誌『dancyu』といえばグルメ雑誌の代表格ですが、グルメ系だけでなく、その他の記事の「つかみ」を考えるときにも参考になります。
たとえば、2023年7月号の記事。
特集「美しいラーメン」で紹介されていたラーメン店「麺笑巧真」のつかみをご覧ください。
「わぁ、きれいね〜」
ラーメン店には珍しい年配のご婦人2人組が目を細めてささやき合う。そっと口をつけた後、「やさしい味」「品がいいわ」とうっとり一言。 その前にあるのは塩らーめんだ。
「麺笑巧真」の一杯は目にも舌にも麗しい。スープは澄んだ黄金色。和の趣を感じるすっきりとした味わいながら、やわらかな旨味がふんわりと膨らむ。
ラーメン店の紹介記事のつかみというと、スープやラーメンの描写や、オーナーや店長の経歴が多いと思いますが、この記事では「来店していたお客様の反応」をつかみに持ってきています。
ラーメンの描写がないのに、「年配のご婦人」「やさしい味」「品がいい」で、上品でおだやかな味わいが伝わってきますよね。
同じ特集の「柴崎亭」のつかみも、参考になります。
カウンターに丼が提供された瞬間、あまりの美しさに、ほうっと客がため 息を漏らす。透明感に満ちたスープの中で絹糸のような麺の束がまばゆい。
注文が入ると、大鍋の湯に金色の麺が放たれる。鍋内を巡った花箸が麺を 上げると、もう麺線は揃えられている。 流れるような手さばきも美しい。
こちらは、「丼が提供される瞬間」と「注文が入ったときの店長さんの動き」にスポットを当てています。それによって、まるで店舗にいるような臨場感が伝わってきて、足を運びたくなりますよね。
共通するのは、店舗を取材した時に、さまざまなところを観察しているからこそ生み出せた「つかみ」ということ。
一人の客として店舗に足を運んだとしても、切り取れる瞬間はたくさんあります。そこに注目すれば、読み手の目を惹く「つかみ」は生み出せるかもしれませんね。
※私が書いた「文章のつかみ」に関する本もよかったらどうぞ!
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